表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第11章 荒れ狂う海
322/337

第320話 沈む巨体、そして


(たた)()けるぞ!!」


 到着した時にはもう、オルカルミアルは美羽の攻撃で上陸を阻止(そし)され。瀕死(ひんし)状態(じょうたい)まで追い込まれて沖へ逃げようとしていた。


「美羽!!」


<わかってる! ーー 上手く合わせてよね! 大蛇(オロチ)!>


<誰に言ってる! お前こそ我に合わせよ! ゆくぞ!>


<<蒼雷(そうらい)九頭竜波(くずりゅうは)!!>>


 (ここの)つの頭から(はな)たれる強力な青い稲妻(いなずま)の光線がオルカルミアルの頭に直撃し、全身にひび割れた皮膚へそのまま走って行くと内部へ侵入。そして、"絶縁体"とかを無視して大ダメージを与え、オルカルミアルが大きく悲鳴(ひめい)をあげる。


「ひび割れた皮膚の下ならダメージが通る!! そこに向けて攻撃するぞ!!」


 皆に言った後に無線で海上自衛隊、米海軍、両方に俺は魚雷やミサイル攻撃を頼み。次々とオルカルミアルに浴びせる。


<クオッオオォオオオン!!>


 ここで絶対に仕留(しと)めてやる!!


『全員、一旦(いったん)下がってくれるかしら?』


 ミラさん?!


 ミラさんから連絡を受け、ここで絶対に仕留(しと)めてやりたいのになんでと思ってそっちに振り向くと。


「危ないわよ?」


 物凄い勢いで海上を飛びながら俺の横を通り。オルカルミアルの近くまで行くと背中に飛び乗る。


 パイルバンカー?!


 右腕に巨大なパイルバンカーが装備されていた。


「そろそろおねんねの時間よ?」


 ひび割れた皮膚の下に向けてパイルバンカーが打ち出され。ミラさんは背中に飛行を可能としたフライトユニット、"アマリリス"って装備で勢いよく離れる。


「離れなさいって言ったでしょ?」


「おわッ?!!」


 俺は"Skylla(スキュラ)"に乗って海上の上にいたけど。

 戻ってきたミラさんに襟首(えりくび)(つか)まれて一緒に離れる。


 くる! 苦しいって!!


 ーー 瞬間。

 オルカルミアルの背中で巨大な爆発が起こり、オルカルミアルは悲鳴(ひめい)をあげながら海中に(しず)み始めた。


「ーー エッ?!」


「パイルバンカー式、地中(ちちゅう)貫通爆弾(かんつうばくだん)よ。ようやく本国から届いたからトドメに使ったのよ」


 ……マジかぁ。


 その爆発する瞬間を見ていたからわかる。

 間違いなく、その一撃でオルカルミアルは死んだって。

 爆発は1度だけだったけど、内部まで到達したからなのかあきらかに背骨らしい白い物や、内臓(ないぞう)が吹き飛んだのが見えた。

 そして、……俺は窒息(ちっそく)しそうになっていたところでようやく、ミラさんは俺を離してくれたんだけど……。ミラさんに運ばれてる途中で"Skylla(スキュラ)"が足から外れてそのまま海に落ちた……。


「きゅ! 急に! はな! 離さないで!」


「あらゴメンなさい」


<大丈夫?>


「ア、アクア! 助けて!」


 海に落ちた俺は窒息(ちっそく)しそうになってたからか(おぼ)れ。そこに来たアクアが背中に乗せてくれたからなんとか(おぼ)れて沈む前に助かることが出来た。


<泳げないのになにしてるの?>


 違うんだアクア……。

 俺は泳げなくて(おぼ)れかけたんじゃなく、ミラさんのせいで(あや)うく死にかけたんだ……。


 言ってやりてえけど言えない。

 だって、ミラさんは巻き込まれないように俺を助けてくれたんだから……。


『目標の心音(しんおん)微弱(びじゃく)。まだ生きてるようです』


 ちっ、あれでまだ生きてるのかよ。


 無線からそんな知らせを受けつつ、それでも内臓(ないぞう)が飛び散るまでの爆発を内部で受けたんだからその内、死ぬだろうと思っていると。


『ソナーにて目標が再び移動を開始! 移動速度はかなり落ちてますが、どうやらミランダ大尉の方へ移動してるもよう』


「上等……、俺が引導(いんどう)を渡してやるよ」


<あっ、じゃあ私達がトドメを刺してくるね~>


 アクアが俺を振り下ろして海中へ潜るとそこへ、追いかけてきたダークスやトッカー、銀月(ぎんげつ)、ノワールと、泳げる奴らが次々とオルカルミアルに向けて潜っていく。


「……俺の出番は?」


「やらせてあげなさいな」


 ……まっ、いいか。


 それからと言うもの。

 海中から派手に暴れてる音が聞こえてきて、海がまた荒れる。

 けどオルカルミアルが全然こっちに来る気配が無いどころか、徐々に荒れていた海が静かになり。それから少し時間が経った後、アクア達が海面に顔を出した。


<ママ~! やっつけてきたよ~!>


<お疲れ様アクア。銀月(ぎんげつ)も>


<海中ではアクアやノワールがいたため、あまり派手な雷撃(らいげき)を放てませんでしたが(とどこお)りなく、トドメを刺してきました>


<うん、了解。それで死体は?>


<それが……>


 銀月(ぎんげつ)の話しによると、倒したオルカルミアルの身体の一部をトッカーやアクアが食べつつ。そこへ血の匂いを()()けて集まったサメとかに食われながら海底に(しず)んで回収(かいしゅう)が難しくなったらしい。


<ですが母上(ははうえ)、身体の一部だけですが回収(かいしゅう)して参りました>


 そう言うと銀月(ぎんげつ)は足で掴んでいた肉塊(にくかい)を美羽に見せた後、それを取りあえず自衛隊に渡して俺達は引き上げることにした。


状況(じょうきょう)終了(しゅうりょう)


『了解、状況(じょうきょう)終了(しゅうりょう)


各自(かくじ)(すみ)やかに撤収(てっしゅう)せよ。ーー 終わり』


 海上自衛隊と米海軍も引き上げ。これでやっと東京湾は勿論(もちろん)、こっちの世界の海を守る事が出来たと思う。

 だけど脅威(きょうい)が完全に取り払われた訳じゃない。

 東京湾にはオルカルミアルより弱いとは言え、まだまだ多くのモンスターがいる。

 それにもう……、オルカルミアルを倒したところで生態系が崩れてるのは間違いない。

 これからの課題が山積(やまづ)みだから俺達も協力出来る事は出来るだけしていくつもりだ。


 14:42


 【オルカルミアル 討伐完了】


 【死者多数 重軽傷者多数 行方不明者多数】


 オルカルミアルの討伐に成功したってニュースは世界に広まり。多くの死者を出してしまったものの俺達は称賛(しょうさん)されることになった。

 でも俺達はそんな称賛(しょうさん)なんてどうでもいいんだ。

 夜城邸に戻ると……、そこでダリアが死んだ事を知らされたからだ…………。

 毎度(まいど)思うけどさ。なんで毎回親父さんが辛い思いをしなきゃなんねえんだって思う。

 そりゃダリアは敵になっちまったけどさ、そんなダリアは結局、親父さんと一緒に帰って来ようとしてたんだ。

 それなのに……、凶星十三星座(ゾディアック)の誰かなのか他の兄妹がやったのか知らねえけど。

 ……絶対に許されたことじゃねえだろ。

 どこの誰がダリアを殺したのか。それが解ったら俺達でそいつを必ず殺してやる。

 親父さんにはもう、(つら)い想いをしてほしくないから。

 そう固く誓い。

 俺達は次に"埼玉エリア"をどうにかしようと、政府の役人や自衛隊のお偉いさん、アメリカ軍の代表にミラさんを(まじ)えて話し合いをすることになった。

 美羽はと言うと。


「またノリちゃんの影に大蛇(オロチ)に入ってもらって、なにかあったら来るから私は行くね」


 って言うと、颯爽(さっそう)といなくなる。

 それを、親父さんは「行かせてやれ」って言って止めない。


 まぁ、親父さんが許すなら別に良いけどさ。せめて行き先とかちゃんと教えてほしいんだけどな。


 でもまぁ俺の影に八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の一部がいるなら別に、なにかあれば連絡は取れるかもだから良いんだけどさ。

 それでも、なんだかやっぱり寂しいってのはある。

 それでオルカルミアルを討伐してから1週間後。

 さっき言ったお偉いさん達が夜城邸に集まり。"埼玉エリア"をどうやって奪還(だっかん)するかを話し合ったんだけど、そこを縄張(なわば)りにしていたルークがもういない筈だから楽に終わると思っていたらそれは大間違い。

 ルークがいなくなったことで、その"埼玉エリア"はまたとんでもない奴に支配されていた事が(のち)の調査で判明する事になる。


どうも皆さん、Yassieです。

ようやく、ようやく次回から新章へ突入致します。

最近まで仕事が急に忙しくなり、なかなか続きを書けずにいて申し訳ありません。

最近ではゲームをする時間が出来まして、こうして続きを書ける時間も増えました。

また、応援などを頂けますと大変嬉しく思います。

では皆様。次回新章もお楽しみにお待ちくださいませ。

新章はある程度のページが出来ましたら公開していきます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ