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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第11章 荒れ狂う海
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第314話 荒れる海 4


「やっと来たの?」


「うるっせーなー! それはこっちのセリフだバカ!」


 水上ボート"Skylla"で追い付くと、いきなり辛辣(しんらつ)な事を言われたから言い返したけど、それでも来てくれたことが嬉しくて俺の顔はニヤけてたと思う。


「相手の距離までざっと200。アクア! 先行して向こうの出方を見て!」


<わかった~>


 え? アクアが喋ってる?


<母上、アクアだけで宜しいのですか?>


「うん大丈夫。いざって時は空中に逃げるよあの子なら」


<だと宜しいのですが>


 あれ? 銀月って言うか、千月(ちづき)も喋ってる? あれ? おかしいなぁ……、いつの間に何言ってるか分かるスキルを手に入れたんだ?


 それは俺の勘違いって事がこの後すぐ分かった。


「なぁ憲明、気のせいかなぁ、なんかアクアとかが普通に喋ってるように聴こえたんだけどよぉ」


「……やっぱ喋ってたのか」


 コイツ、アクア達に何しやがったんだ?


 そう思って美羽を見ると、美羽が誰かと"念話"してる様子だった。


 八岐大蛇(ヤマタノオロチ)と話でもしてるのか?


 すると。


「ここで止まって!!」


「なんだよ?!」


 俺達を急に止めると、美羽は不適な笑みを見せながらその理由を口にした。


「今から大蛇(オロチ)が大規模攻撃をするからそれに巻き込まれるなだってさ」


「大規模……、はア?!」


 直後、俺達の後ろから馬鹿デカい火球が幾つも飛んでくる。


「マジか……」


 勿論その火球を飛ばしたのは八岐大蛇(ヤマタノオロチ)だ。

 直径20メートルはある火球が雨を蒸発させ、周りを赤く照らしながらオルカルミアルに向けて飛んでいく直撃し、大爆発。

 もう俺達が出なくても美羽と八岐大蛇(ヤマタノオロチ)だけで討伐完了するんじゃねえのかって思える威力。

 なのに、オルカルミアルが大ジャンプする姿を見るとその体は無傷じゃねえか。


大蛇(オロチ)の火球を食らって無傷? ちょっとノリちゃん! どうなってるのあのモンスター!」


「俺に聞くな俺に!! "鑑定"で見たらネームドだし! アイツはカズが密かにテイムしてたのか可愛がってたモンスターなんだろ!! だからなのか知らねえけど結構ヤベー奴なんだよアイツは!!」


「それを早く言ってよ!!」


「言う前に飛び出したのどこの誰だよ?!!」


「……んじゃ私も"鑑定"で確認してこようかな」


 こ、このヤロ~……!


 そうこうしてるとオルカルミアルが津波(つなみ)を引き起こしながら俺達の目の前まで接近し、アクアが進路妨害しようと噛みついているのが見えた。


「美羽!!」


「"吸収"、"絶縁体"、"全耐性向上"、それに……、確かにカズがテイムしてたんじゃないかって疑っちゃうスキルがあるね」


 (ひたい)にうっすらと汗を(にじ)ませつつ、美羽は笑っていた。

 その目は全然笑っちゃいねえけど。


「行くよ銀月、ステラ」


 銀月の背から飛び降りると、美羽は荒れる海の上に静かに(たたず)み。


「…………瞬雷(しゅんらい)


 足元に音を立てながら電気を帯電させて走り出す。

 その姿にお前は忍者かって言いたくなる。


「おいで、"青い彼岸花(リコリス・ラジアータ)"」


 何も無い空間に突然、美羽にとって二振りの愛刀"青い彼岸花(リコリス・ラジアータ)"が青い輝きを放ちながら現れると握り締め、オルカルミアルに対して高速攻撃を繰り出す。

 それと同時に海ほたるからダークスが何度も"超電磁砲(レールガン)"を浴びせ、空からトッカーが物凄い勢いで落ちてくるとそのままオルカルミアルに体当たりをぶちかまし、動きが鈍ったところにオルカルミアルの目の前にヴィラが出てくると、"悪運乃瞳"を発動させながら先端が槍状になった尻尾を頭に深々と突き刺す。


「さすがに一気にこれだけのダメージを与えられたらたまったもんじゃないでしょ」


「馬鹿!! 逃げろ美羽!!」


 不穏な事を口にしたからなのか、オルカルミアルが尾ビレを使って美羽を攻撃して海中に沈む。


「美羽!!」


<クオオッオォォオオオオン!!>


 うぐッ?!


 鼓膜(こまく)が破れるんじゃってくらいの強力な咆哮に耳を塞ぐと、気づけば俺は海中に沈んでいた。


 …………何が……おきたんだ。


 思考が鈍いし力も出なきゃ体が思うように動かせない。

 ただ目の前には巨大な影だけが写っていた。


 ……攻撃、された……のか…………?



「………………うっ」


 気絶していたのか、目を覚ますと俺はアクアの背に乗っていた。


<あっ、起きた。ママ~! 起きたよ~!>


「……ここは」


 目眩(めまい)がする中、周りを見ると美羽がオルカルミアルと激しい攻防戦を繰り広げていて、銀月とステラが美羽のサポートをしながら攻撃している。


「なにが……」


<アイツの"超音波(エコーロケーション)"にやられたんだよ>


 ……マジか。


「ねえ大丈夫?!」


「…………美羽」


「よかった……。アクアはノリちゃんを安全な場所まで連れてって」


<は~い>


大蛇(オロチ)!! 早く動きだけでも止めて!!」


<無茶を言うな!! こやつに近づくだけで我の力を()()()()のだぞ!!>


 …………は?


「じゃあなんで私達は平気なのよ!!」


<お前達がまだ()()()()だろ!!>


 意味が、分からねぇ……。


「なんであんなモンスターを育ててたのよもう!! どんどん()()()()()()じゃん!!」


 強くなってる……だと?


「なにしてるのアクア!! 早くノリちゃんを連れてって!!」


<うん!>


「………は? なんで……だ? なんで、あんなに強くなってんだよ……」


 アクアに運ばれる中、俺は美羽達の話が気になって"鑑定"でオルカルミアルのステータスを見ると、そこには目を疑う事になっていた。


「ど……なってんだよ、くそっ……たれ……。あのバカ……、とんでもねぇ……バケモンを育てやがって…………」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前 メルヒス ((メス))

 種族名 オルカルミアル

 Lv.610   SSSランク

 体力15000   魔力8600

 攻撃12000   防御14500

 耐性12000   俊敏5200

 運88

 スキル

  超音波 炎魔法 水魔法

 ユニークスキル

  吸収 自己再生 絶縁体 全耐性向上 成長

 アルティメットスキル

  冥竜王乃加護 海王乃加護

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 レベルやステータスが上がり、"成長"ってスキルが新たに存在している。

 この時の俺はなにがどうなってそんな事になってるのか理解出来ないまま、アクアに海ほたるまで運ばれるとそこで御子神のおっさんが俺を(かつ)いで建物の中に運んで休ませようと横にしてくれた。


「ここでしばらく休んでろ」


「……あんがと」


「礼なんざ良いから寝てろ。おい村中! こっち来てコイツを見ててくれ!」


 あっぁ…………。


 意識が遠くなっていく感覚が分かる。

 運んでもらってる時も意識が途切れ途切れに何度かなってたけど、安心しちまったからなのかもしれない。



「はっ!!」


「うわあっ!! ビックリしたな~も~!!」


 村中の兄ちゃん?!


「俺! どれだけ寝てたんだ?!」


「い、1時間くらい……?」


 1時間?!


 まさかそんなに寝てたなんて思ってもいなかったから飛び起きて外に出ると。海が荒れるなか、皆が必死になってオルカルミアルと激しい戦闘を続け、ダークスが今にも角が焼け落ちるんじゃねえかってくらいの熱を帯びながら"超電磁砲(レールガン)"を撃ち続けている。


「ダークスやめろ!! 角が凄いことになってるじゃねえか!! 少しは休め!!」


<キュルララララララ!!>


 なに言ってるかわかんねえけど、一樹が頑張ってるのに自分だけ休んでられないって言ってるのかそれでも撃つ。

 それに、最強角の八岐大蛇(ヤマタノオロチ)が何故か衰弱(すいじゃく)してるし、美羽の動きが悪くなってるようにも見える。


 ここで全員下がらせるか……? でもそんなことしたら後を追って逆に被害を出すかもしんねえし……。

 どうしたらいい…………。


「お困りのようですね」


「?!! ……マ、マスター?!!」


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