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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第11章 荒れ狂う海
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第303話 エリア調査 4


 この日は"筑波山つくばさん"の調査だ。

 2つに別けるチームに、自衛隊、それにジャオルのおっさんが率いる"サムライブレイド"も2組に別ける。

 A班のリーダーは俺で、サーちゃんとテオの2人と自衛隊や"サムライブレイド"の人達。

 B班のリーダーは一樹が率い、レイナ、ジャオルのおっさんを含めた"サムライブレイド"の人達に自衛隊。

 この作戦が成功するのかどうかなんて解りはしないけど、取りあえず挟み撃ちして見つけることが出来たらラッキーだ。


「では何かあれば赤い発煙筒で合図を出し、確認出来次第、照明弾で応えることにしましょう」


「そっすね」


 無線機で確認し合えば良いだろって思うだろうけど、通信状況が悪くて難しいからその方法しか無い。

 そんな調査をしてるさいちゅう。


 11:07


 "東京水没エリア"でとある動きがあったのを、この時の俺達は知るよしも無かった。


「こちら"わかさ"!! 東京湾近海の調査中"オルカルミアル"と遭遇!! 並びに護衛艦"もがみ"轟沈ごうちん!! 繰り返す!! "もがみ"轟沈ごうちん!!」


 海洋調査艦"わかさ"が東京湾の近くを調査中、"東京水没エリア"を支配している"オルカルミアル"と遭遇し、護衛艦"もがみ"が攻撃されて沈んだ。

 東京湾を出た"オルカルミアル"はその後、海底に姿を消したと思うと、今度は小笠原諸島近海に現れてそこを縄張りにしたのかずっと居座っていた。

 まさかそんな事になってるとは知らない俺達は"茨城エリア"を調査し、遭遇したモンスターと戦っていた。


 11:52


「見つからねぇ……」


「そうですね……、いったい、どこにいると言うんでしょうか……」


 合流地点まで進んだのは良いけど、まだ見つからない。

 正直ここまで見つからないとイラついてくるし、めんどくさくなってくる。


「遭遇したのはトカゲ型モンスターばかりですが、名前は解りますか?」


「確か……、"サウラフルス"……、だったかと思うっす」


 "サウラフルス"。

 あずまさんはトカゲ型って言うけど、どっちかって言うと恐竜型に近い。

 大きさは5メートル。

 "パラサウロロフス"みたいな頭をしてるけどれっきとした肉食獣で、二足歩行もできる四足歩行型。

 尻尾の先はトゲ棍棒みたいになってるから、それを振り回して攻撃をしてくる。

 群れてたのかそんなモンスターが4匹から6匹と集まっていて、その群れに出くわした俺達はそれぞれの場所で戦闘をした。

 まぁランクが低かったしレベルも低いから俺達の敵じゃ無かったけどな。


「でもアレは見るからに古代種じゃねえか?」


「だね、"パラサウロロフス"に似てたし」


 おやサーちゃん、パラサウロロフスを御存知なんですかい?


「でもパラサウロロフスって草食恐竜だったっすよね? つーかサーちゃん、恐竜の事知ってるんですか?」


 一樹がサーちゃんに聞くと、「だって私だよ?」って言われ、不思議と俺達は納得した。

 なんでかって言うと、サーちゃんはカズの事が好きだったし、俺達なんかよりカズを知ってる事があるから。

 だからカズが恐竜の事が好きって事や爬虫類が好きって事を、当然の如く知ってるって訳だ。


「思ったんだけどさ、ここのボスってもしかしたら恐竜型なのかなって思うんだけど、皆はどうかな?」


 それは俺も思った。

 だけど、だとしてもそれらしい影が全然見えないのはなんでだって思う。

 もしかしたら俺達のその考え方が間違ってるのかも知れない。そう思えるくらい、なんの痕跡こんせきも見つからねえからなんだ。


「恐竜型のボスだとしたら、かなりの大型って考えられるもんな。それなのに鳴き声すら聞かないし、足跡とか不思議と痕跡こんせきが無い。……探しかたが間違ってるのか?」


「だとしたら根本的な見直しが必要だぜ?」


「だよなぁ……。……ッ!」


 一樹と話をして、俺が何気に空を見上げたその時……。

 ……そいつはそこにいた。


「か、一樹……」


「あ? んだよ?」


 空に向けて指をさし、一樹に声をかけると一樹も気づいたのか絶句した。


「……そりゃ見つからねえ訳だ」


 ソレは空の上にいた……。

 飛んでるって言うより、浮いた状態で。

 俺と一樹が空を見上げて固まってる事に気づいた皆も空を見上げ、そこにそいつがいるのを見つけるとやっぱり皆、絶句して固まった。


「あ、アフティオ……、ありゃ、"アフティオアメス"だ」


 "アフティオアメス"。

 推定ランクはSS。

 蛇みたいな長い首を持ち、尻尾は頭や体を合わせてもまだ長い。そしてまるで山みたいな、城の形をした感じの島みたいな甲羅って言うか、外骨格を持つ古代竜の1種。

 発見された化石はほとんど無く、それでも頭の先から尻尾の先まで200メートル以上もあった化石を奇跡的に発見された馬鹿デカいモンスター。

 正直本当に実在してたのかって疑いたくなるような存在だ。


「……勘弁してくれぇ、あんなの、絶対俺達なんかが手を出したらマズイ奴じゃねえか……」


「「うんうん」」


 さすがにマズイと思ったのか、皆、いっせいにうなずいた。

 どのくらいの高度にいるのか解りはしねえけど、見るからに雲より上にいるそいつは、おそらく見つかった化石なんかよりもっとデカいだろうな。


「んじゃ……、取りあえず帰りますか~」


「そうですね」


「そうしましょ」


 うん、ここは何もしないで帰ったほうが身のためですからね、うんうん。


 カズが持っていた文献で"アフティオアメス"がどんなモンスターなのかって記述きじゅつは無かった。だけどそんな文献があったところで役にたつのかって聞かれたら、そんなのその時にならなきゃ解らないって事しか答えられない。

 今解るのは、手を出したら間違いなく簡単に殺されるって事ぐらいだ。


 ……ちっ、ほんと、厄介な奴を隔離してくれてたなあの馬鹿。

 おそらく300メートル以上はあるぞ……。350……、いや400?


 そんなモンスターが離れると姿が消える。


 認識阻害にんしきそがいかなにかか?

 ……きっとそうなんだろうな、オマケにノワールの"索敵"にすら引っ掛からないって事は、ステルス戦闘機みたいにレーダーに映らないような特殊な能力を持ってるのかもしれない。

 ……欲しい能力だな。


 そう思うと自然と顔がほころんでるのが解る。

 ノワールの"悪食"でその能力を取り込むことが出来たら、きっともっと強くなる筈だからだ。


 まってろよ? "アフティオアメス"。

 いつかお前を倒してノワールの強化に利用させてもらうぜ。


 この後、俺達は学園都市に行って勉強したり、討伐クエストをこなしつつ、国が出した【オルカルミアルの討伐】を目標に行動するようになるけど、"オルカルミアル"もまた強力なモンスターで、討伐が難航する。


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