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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第11章 荒れ狂う海
304/337

第302話 エリア調査 3


 14:03


「「あぁ……」」


<……シュルルルルゥゥ>


 俺達の願いは無惨に打ち砕かれた。


「べ、()()()……だよな? あっ、あははっ、ひ、久しぶりだなぁベリーさん……」


<シュルアッ!>


 うん、やっぱ目の前にいるのはベリーで間違い無かったのかぁ……。


 願いむなしく目の前にベリーが現れ、俺達全員はベリーの顔を下から見上げて呆然ぼうぜんとしていた。


「はっ、はははっ、げ、元気にしてたかな? ベリーさんや」


<シュルアッ!>


 あっ、そうですかそうですか、元気にしてたっぽいですね~、あははっ。


 なんで俺がここまでビビってるのかって言うと、ベリーは先生のパートナーであり、その先生は俺達を裏切ってカズの所に行っちまったから。

 つまり今のベリーは俺達の敵であり、ベリーにしても俺達は敵。


 あぁ……ヤバい……、緊張でなんか吐きそう……。


 どうにか笑顔を作れてるとは思うけど、目の前にいられるとさすがに怖くて吐きそうになった。


<シュッ、シュルアッ、シュルルアッ?>


 うんゴメン、なに言ってるか解らない。


 すると。


「誰かと思えば貴方達だったのね」


「……こ、これはこれは、久しぶりっすね、先生……」


 軍帽を被り、エロかっこよく軍服を来た先生がベリーの頭の上からこっちを見下ろしていた。


「エロかっこいいじゃないっすか」


「うっさいわねぇ」


 30代とは聞いてるけどそうとは思えない程の美貌びぼうを持つ先生は、やっぱ種族が"ヴァンパイア"だからなのか、超絶美人で若く見える。

 そんな先生がなんでエロい着方をするのか俺は解る。

 理由は何時でもヴァンパイアモードになって戦闘しやくする為だろ。


「んで先生、今日はなんでここにいるんすか? カズの近くに居なくていいんすか?」


「今日は野暮用で来てるだけ。あの子なら今、部屋でおとなしく寝てるわ」


「そっすか。んじゃもう1つ質問してもいいすか?」


「なにかしら?」


「ベリーはこのエリアのボスで間違いねえんすかね?」


「……直球ね。でも正解はバツ、ここの頂点にいる子はまた別の子よ」


「それを聞いて安心したっす。正直、ベリーとは戦いたくないっすからね」


 マジでよかったぜ、ベリーの能力はある程度知ってるけど、はっきり言って真正面から行ったところで勝てるような相手じゃねえのは解りきってるからな。


 そこで俺はベリーのステータスを見ようと、"鑑定"を発動させた。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前 ベリー 性別((オス)

 種族 アラフェル=メレフ

 Lv.202   SSランク

 体力5350   魔力4620

 攻撃2400   防御2300

 耐性2000   俊敏1950

 運100

 スキル

  熱感知 索敵 猛毒精製 毒無効 麻痺無効 剣鱗けんりん 死霊術師

 ユニークスキル

  死者之息吹 自己再生

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 勝てるわけねーだろッ!!


 Sランクならまだしも、SSランク。いや、Sランクでもキツすぎるけどよ。

 それにベリーは赤い霧でゾンビを生み出す力を持ってた筈だけど、それって"死者之息吹"や"死霊術師"の力で生み出してるのかも知れない。

 そして次に俺は先生のステータスをつい見てしまい、……そこには見てはいけない事柄があった。

 ……それは見るべきじゃなかったと思う。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前 鬼頭朱莉 性別(女)

 種族名 ヴァンパイア

 Lv.1867   Zランク

 体力10600   魔力18700

 攻撃10085   防御9680

 耐性11000   俊敏21000

 運110

 スキル

  血流操作 血液吸収 血液変換 韋駄天 変身 身体変化 催眠術 怪力 身体能力強化 念動力

 ユニークスキル

  眷属化

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ……正直さ、ここまでは別に良いよ、別に……。

 スキルなんてさすがヴァンパイアって言いてえくれえの能力だし。

 問題はその後だ……、そこにはとんでもないスキルがあってゾッとしたし鳥肌が物凄い……。

 それを話してえけどそれはまだ言えない……。でも言えるのは、「あっなるほど、だからそっちに行ったのか」って納得出来るスキルを持っていたからなんだ。


「……正直知りたくなかったぜ」


 すると先生は俺を睨み、ベリーの頭から飛び降りるとフワッと、俺の目の前に降りて来て胸ぐらを掴んでまた睨まれた。

 当然ブチギレてますって顔で。


「見たわね?」


「……は……い」


 返事をすると、俺はそのまま先生に投げられた。


「憲明?! ッ……先生!!」


「黙りなさい、これは知ってはいけない事を知った彼への罰なの」


「なんだよそれ!!」


「解ってるのかしら? 私は今や貴方達の敵なのよ?」


 その通りだ。

 一樹がいくら何を言っても、今の先生は俺達の敵……。


 いっそ全部ぶちまけちまったほうが楽なのかな……。


 先生に投げられた俺は瓦礫がれきの上でそう思ったけど、言ったら言ったでまた面倒な事になりかねないと思って黙ることにした。


「大丈夫か?!」


「……あぁ」


 テオが心配そうな顔で駆け付けてきてくれたけど、俺はあまりのショックで立つ気力が出ないまま空を見上げていた。


「誰かに言ったら、解ってるわね?」


「……でもいつかバレるぜ?」


「……その時はその時よ。さっ、行くわよベリー、早めに用事を済ませて帰りましょう」


「帰る? ちょっと待てよ先生、ベリーがここのボスじゃねえんすか?」


 そう聞くと先生は「違うわ」とだけ言い、ベリーと一緒にいなくなった。


 違うのか……、それはそれでまだよかったぜ……。


 ベリーが相手になるとなったら今の段階だと逃げたほうがまだ良い。

 それに俺はベリーと戦いたくねえし。

 その先生とベリーがいなくなった後、俺が何を見たのか言えって言われたけど言えない。

 言えばきっと後悔する。


 14:38


「いい加減なにがあったのか答えろよ」


「しつけえなぁ……、なんだって良いだろ別に」


 一樹がしつこく何があったのか聞いてくるから俺はイライラしていた。

 それはその時がくるまで何があっても言えねえから答えられないけどよ……、感が良い奴ならなんとなくはわかっちまうと思う。

 だから一樹は、「先生がそうなんだな?」って言うからそれで「あぁ」って答えると、「やっぱそういう訳だったのか」って、ボソッと口にした。


 17:00


「日が落ちてきましたし、今日はこの辺にして引き上げましょう」


 あずまさんの提案でその日は調査をやめ、一旦引き上げる。

 他のエリアにいるボスはすぐ判明したのに、どうしてこの"茨城エリア"だけなにも進呈が進まないのか不思議に感じるが、それが自然ってものであり、本来なかなか見つからない事が正しい事だと俺は思う。

 他のボスは自分こそが頂点に君臨しているって主張してるみたいで、向こうから姿を表していたぐらいだ。

 俺達の知る野生動物もそうだけど、知能が高く、より狡猾こうかつで、ひっそりと姿を隠してその時が来るまでジッとしてる奴の方がもっと危ない。

 おそらく"茨城エリア"にいるボスはそんな奴なんだと思いながらジープに乗り、その日は戻った。


 11月16日


 10:26


 その日のメンバーは昨日とほぼ一緒。違うのはその日、サーちゃんも調査に同行に加わった事ぐらいだ。


「私よりもイリスちゃんの方が適任だと思ったんだけどな~、ほら、"索敵"能力とかあるし?」


「それならノワールとかも持ってますよ。それに昨日、帰った時に何が問題か話したじゃないっすか。"索敵"にですら引っ掛からないような奴ですよ? ってことはきっと知能が高いし狡猾こうかつかも知れないって」


「このエリアのタイプを考えるに、爬虫類が濃厚なんだよね? だったらシーちゃんでも良かったんじゃない?」


 確かにあの人のパートナーは蛇型モンスターだし、かなりデカいってのもあるから牽制けんせいするにもかなり有利だと思う。

 だけどなぁ……。


 俺は思った。

 ヴィラがいたら逆に警戒して出てこなくなるんじゃねえかって。

 人数なのか? それとも連れてるパートナーが強すぎるからなのか? なんなんだって考え、今回はサーちゃんを加えつつ、チームを2つに別けて行動することにした。


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