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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第11章 荒れ狂う海
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第300話 エリア調査 1


 カズが冥竜として復活してからあっという間に数ヶ月が経った11月。

 こよみではもう冬になる。


「だいぶ寒くなってきたなぁ」


 寒がりなイリスは厚着になり、若干じゃっかん震えながらその日、茨城エリアの筑波つくばまで俺達は足を運んでいた。


 11月15日


 ーー 茨城エリア ーー


「んで? 今日はなんの調査なんだ?」


「調査と言うより案内だな」


 その日、俺達は数人の自衛隊の人達と、チーム"サムライブレイド"の人達を案内する為、3台のジープに乗って来てたんだ。

 "サムライブレイド"のリーダーは"ジャオル"のおっさんで、全員がサムライですか? って言いたくなるような甲冑かっちゅうを装備している。

 それと調査をして解った事が幾つかある。

 まず1つ、絶滅した筈の古代種がどうしているのか。その理由はカズが別の場所で守っていたけど、向こうに行ったからなのかそこに通じるゲートが開いて解放されたから。

 2つ目はそれとは違う場所のゲートが開き、そこからモンスター達が来ている事。

 3つ目に、向こうから運ばれてきた植物の種子しゅしが発芽し、こっちでは見ない植物が次々と範囲を拡大してる事。

 4つ目、"東京水没エリア"は主に水棲モンスターが多く、中には"チスイ"とか雨が降ってても普通に活動するモンスターが徘徊はいかい。"神奈川エリア"は異世界の植物が物凄い早さで成長するからジャングル状態になりつつあり、獣型や昆虫型のモンスターが支配しつつある。"茨城エリア"もジャングル状態になりつつあるけど特殊で、様々な古代種がどこよりも多く存在し、あとは爬虫類型が多く支配している。"千葉エリア"はそこまでジャングルになってはいないけど、そこは獣型と鳥型が支配。"埼玉エリア"は鳥型や昆虫型が多く支配しているけど、そこには俺達の因縁の相手がいる。


「んで今回はジャオルのおっさん達を"茨城エリア"を案内しつつ、俺達が確認してるモンスターの他に何かいないかを調べる」


「了解だ」


「うむ、前のいくさでは役にたたなかった代わりになんとか役にたたねばな」


 ジャオルのおっさん達は冥竜軍を止める為に動いてくれたけど、力及ばずで止めることが出来なかった。

 だから役にたてなかったからなにかをして挽回ばんかいしたいって動いてる。


「しかし憲明よ、おぬしのノワールはまた随分と成長したな」


「まあな」


 この数ヶ月、ノワールは"触腕しょくわん"の訓練を続けている。

 ムクロみたいに両肩や両腰から生えてるってわけじゃなく、ノワールは両肩にしかないんだけど、それでも初めは1本動かすだけで精一杯でさ。まぁ、訓練してるお陰でようやく"触腕しょくわん"を自由に動かせるようになった。

 とは言えまだまだぎこちないって思えるけど。

 それに体もまただいぶ大きくなって、もう少しで母親のアリスを追い抜くんじゃって思う。


「ところで憲明よ、各エリアにはボスがいるのだろう?」


「そういやそうだった」


 調査して解った事がまだあった。

 ジャオルの言うように各エリアにはボスが存在しているんだ。


 "オルカルミアル"

 "東京水没エリア"にいて、基本的に東京湾内を縄張りにしているけど水没した場所を中心に、陸にも上がってくる。

 その見た目を簡単に説明すると、クジラとエイを合わせたような見た目にウミウシを足した感じの姿で、体長約100メートル近くはある巨大なモンスター。


 "デモン・スライム"

 "神奈川エリア"の中心部にいて大きさはざっと50メートル。いつだったか話を聞いたことがある"グランドスライム"とはまた違う形で進化したスライムで、過酷な環境下で生き延びる為に頂点捕食者になった存在。


 "ゼルブリア"

 "千葉エリア"のボスだ。

 黒い角を生やしたキツネみたいなモンスターで、後頭部から首回りにかけて白と黒の体毛に守られ、体には渦巻き状の黒い模様。

 大きさは6メートルあり、群れを作って行動している。

 その中でも群れのボスはもっと大きいし、かなり頭が良い。


 "デスタニア"

 "埼玉エリア"の空を支配している俺達の因縁の相手、そこのボスが"ルーク"だ。

 本来は埼玉エリアにいるけど、東京水没エリアは勿論、千葉エリアとかに飛んでいくのを何度も見ている。


 だけど"茨城エリア"のボスの姿をまだ確認出来ていない。

 って事で今回はその調査になったんだ。

 各エリアのボスとされるモンスターは正直強い。

 俺は"鑑定"でなんとかそいつらのステータスとかを見ることに成功したけど、どれもSランクだ。

 凶星十三星座(ゾディアック)達と戦えたんだから戦えると思うかもしんねえけど、それは単にアイツらがまだ復活したてだから全盛期の力を出せてなかったからだ。

 けどムクロは違う。アイツは俺に対してまだまだ力を制御していたからな。


「それにしてもあのバカ、余計な事しやがって」


 ほとんどのモンスターやエリアボスは、あのカズが保護したり隔離していた連中だ。

 だから俺達はなんとなく"茨城エリア"のボスが何か、解る気がした。

 "茨城エリア"は古代種の他に爬虫類型が多い。って事はだ、おそらく"茨城エリア"のエリアボスはきっと、爬虫類型のモンスターの確率が高い。

 そんな俺達のメンバーとして来てるのは、テオ、一樹、レイナ、それで俺の4人。

 テオはしばらくの間まだ怒ってたけどそれは仕方ない。理由はこの間の件で戦いに参戦できず、ゼオルクの外でずっと待機させられるだけ待機させられて、結果的に何もしないまま帰ることになっちまったからその事でまだ怒っていたんだ。


「それにしても11月だって言うのになんか暑いな」


 11月と言えばもう冬で寒く感じる筈なのに、何故かジメジメするし暑い気がするな。


「そろそろ休憩するとしましょうか」


 自衛隊の1人、その隊のリーダーをしている"あずま"二等陸尉にとうりくいに休憩しようと言われて、俺達はジープから降りて弁当を食おうかとした。


「憲明危ない!」


「んぶッ?!」


 テオが危ないと言って急に俺の頭を抑えたから、俺はそのまま顔を、持っていた弁当に突っ込んだ。


「おいテメェ……テオ……、何して……」


 っと顔を上に上げようとした瞬間、何か黒い影が俺の頭があった所を通りすぎた。


「な、なんだぁ……?」


 その影を追っかけてよく見てみれば、それは"ルーク"だった。


「テッ……テメェ……ルーク……、……べっ! 弁当が台無しじゃねえェかコノヤロー!!」


 お袋がせっかく作ってくれた弁当がグチャグチャになり、俺はブチギレて"炎の弾丸(ファイヤーブレッド)"をルーク目掛けて撃ちまくった。

 だけどルークは何が面白いのか、ニヤッとした顔をすると何処かへ飛んでいなくなる。


「クソッタレ!!」


「お弁当1つでそんなムキにならなくても……」


「いやいやテオ、今日の弁当はアイツのお袋さんが作ってくれた弁当だぞ?」


「あぁ……」


 一樹とテオが俺をあわれむ目を向けつつ、俺は悔しさで泣き叫んだ。


「チックショーーーーッ!!」


 まぁその後、皆が弁当をわけてくれようとしたけどさ、別に顔を突っ込んでグチャグチャになっただけだから俺はそのまま食べたよ。

 だって、そのまま捨てるなんて事、勿体無くてできねえし。


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