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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第10章 始まる滅びの時
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第282話 ダークスターとルシファー


 同時刻


 ーー 八王子 ーー


 そこではルシファーとダークスターが激しい戦闘を始めていた。


「こちら"八王子"! ダークスターとルシファーが戦闘を開始! ダークスターによってなんとかルシファーの進行の食い止めに成功! しかし! 戦闘が激しくダークスターの援護に入れません!」


 壊滅状態だった自衛隊員が本部である"特別対策本部"にそう伝えると、柳は冥獣軍と冥王軍と合流し、共に冥竜軍の進行を食い止めるようにと通達を出す。

 しかし、その上空で2人は激しい戦闘を繰り広げているせいで下手に動けない。

 動けばルシファーの攻撃が来る。


「駄目です! ルシファーの猛攻が激しく! ダークスターが我々を守ってくれていますが下手に動けません!」


『分かりました! では隙を見てそこから脱出するようお願いします!』


「了解!」


 そんなやり取りがされている中、その上空では。


「どうしたダージュ、人間を守るだけで何も出来ないのか?」


<ふん、貴様は昔から変わらんな>


「そう言う貴様は昔に戻ったつもりだろうが本質は何も変わってないではないか!」


 周囲に幾つもの魔方陣を展開するルシファーは、ダークスターに対して闇色の魔力弾を浴びせるが、ダークスターは自衛隊を守る為、その場を動かず身を呈して守ることしか出来ない。


<(まずいな、早くこの場から離れてもらわねば被害が拡大する一方だ)>


「どうした! そこにいる人間達の命など貴様にとってはどうでも良い命だろ!」


 確かにダークスターにとって人間などどうでも良い存在だった。

 長い間、彼は人間を憎み、その性格はネジ曲がってしまっていたのだから。

 しかし、彼はシリウスだった憲明と再会したことで昔の彼に戻る切っ掛けが出来、世界を見て廻った事で再び戻る事が出来たのだ。

 故に彼はルシファーの言葉に怒り、ネジ曲がっていた時の性格となって怒鳴った。


<俺様は確かに人間が嫌いだった! だがこの世界を見て廻った事で俺様は考えを改める事が出来た! それの何が悪い! それともなにか? 貴様はそこにいる人間を狙い、それを守る俺様に攻撃をしなければ勝てないとでも思ってるのか?>


「なっ?!」


 その瞬間、ルシファーの攻撃が止まった。


「よ、よくもぬけぬけと……そんな事が言えるな貴様……殺す、貴様は私の手で殺してくれる!!」


<貴様に俺様を殺せるかどうか見物だな!!>


「ダーージューー!!」


<おい! 今のうちに行け!>


「了解! 感謝する!」


<ふんっ! 感謝するなら憲明に言え!>


 2人は共に冥竜王・アルガドゥクスの配下であり、仲が(こじ)れる筈は無かった。

 ダークスターが裏切ったからだろうか? だがルシファーはゼストに言われている。

 裏切ったかもしれないがそれはもう1人の和也の性格よりも、昔のアルガドゥクスを(した)っているが故にそちらを選んだのだからと。

 つまりそれは裏切ったように見えるが別にアルガドゥクスを裏切った理由に含まれていない。

 "竜国"にも人間が暮らし、共に生活をしているからだ。

 では……、それは何故なのか?


<貴様は何時まで()()()()()()()()()()()()()?>


「黙れーー!!」


 ルシファーが得意としている攻撃は魔法、その中でも核撃魔法を得意としているのが。


 "殲滅の赤(レッドエクシクション)"


 それはルシファーが冥竜王・アルガドゥクスの"月の雫"を見たことで編み出した、オリジナルの核撃魔法。

 その威力は核爆弾相当であり、一撃で首都東京を火の海にする事が出来る。

 ルシファーが"殲滅の赤(レッドエクシクション)"を放つ為に両手で魔力を集めるが、それを撃つ事をダークスターが許しはしない。


<貴様正気か? それを撃てばどうなるか分からないのか? ここにはあの方も居られるのだぞ?>


「はっ!」


 撃てば和也がいる夜城邸すら破壊しうる。

 自分の主が居る事を知ってて放つのだ、それは紛れもなく裏切り者と見なされ、逆にルシファーは処刑されかねない大罪を犯す事を意味する。

 だがそれをダークスターは止めた。


<ふんっ、頭に血がのぼると昔から周りが見えなくなるのは変わらないなルシス。仮に撃っていたらあのゼストですら激昂(げっこう)してただろうな?>


「黙れ! ……くっ! 貴様は何時からそんな甘くなった! 貴様はあの方の為ならば周りがどうなろうと冷酷に殺せていたではないか! それが何故! あんな人間共の為に優しくなれる?!」


<そうだなぁ……、きっと今のお前には解らないだろうさ>


「ふざけるなーーーー!!」


 ルシファーは怒鳴ると魔法攻撃を交えながら近接戦闘でダークスターを攻撃し始めた。

 その攻撃を、ダークスターはかわす。


「逃げずに戦えーー!!」


<別に逃げてねえよ>


「?!」


 ルシファーが攻撃していたのはダークスターの分身。

 本体は、ルシファーの真後ろにずっと黙ったまま飛んでいた。


<俺様がなんで貴様を止める為にここへ来たか解るか? 理由は貴様の弱点を俺様が知ってるからよ!>


 長い尾でルシファーを捕まえるとダークスターは何度も縦に回転しながら投げ飛ばして地表に叩き付け、今度は上空3000メートルまで上昇。


<"邪悪なる炎(ソドム)">


 それはまるで闇の雨。

 巨大な両翼(りょうよく)の中心に魔力を集め凝縮(ぎょうしゅく)し、破裂すると緑色の炎が光線の如く幾つも降り注ぐ。

 その目標はルシファーだ。

 雨の如く降り注いだ攻撃は大規模な破壊を招き、ルシファーは爆炎で見えなくなるが、ダークスターは警戒を解くこと無くそのままルシスがいると思われる場所へ強靭な足で踏み砕こうと急降下。

 案の定そこにはルシファーがおり、バリアを張ってダークスターの"邪悪なる炎(ソドム)"から身を守っていたがそのバリアを踏み砕かれ、ルシファーはダークスターにそのまま踏み潰されて口から吐血し、身動き出来なくなった。


<貴様は熱くなると周りが見えなくなる……、それは俺様もおんなじさ。だからこそ俺様は貴様の動きがよく解るのさ>


「……ぐっ! うっ! どけーー!!」


 悔しいからなのかルシファーの目から涙が流れ落ち、怒り狂ったルシファーは魔弾をダークスターに当てるが、ダークスターのその目はどこか(あわ)れみの目を向けながら脚に力を込め。


<"蠢く炎(バルロブラ)">


 緑色の炎がまるで蛇の如く蠢きながら周囲に広がり、触れるもの全てを燃やす。


「ア゛ーーーーーーーーーッ!!」


 それはルシファーでも過言ではない。


 【ルシファー敗北】


<……過去に囚われたお前に、今の俺様に勝てる訳がない>


「ダーーーージューーーー!!」


<じゃあな>


 ダークスターはゲートを開くと長い尾でルシファーを掴み、向こう側へと投げる。

 それによってダークスターの勝利は確定したが、受け続けた攻撃によるダメージはダークスターに膝をつかせ、しばらくまともに動けそうにない。


<ちっ、俺様らしく、なかったな……>


「い~や? そ~うでもないと思う~がな?」


<……嫌な奴だ、黙って見てたのか>


 ゆっくりと、ダークスターの背後に近づいてきたのは高峰だ。


<お前はゴジュラスを止めに行ったんじゃなかったのか?>


「ま~そうなんだが~よ、そ~っちは玲司た~ちに任せて来たの~よ」


<……玲司に? 大丈夫なのか?>


「だ~いじょうぶでしょ、ア~イツには秘策を与えて~るし」


 そう聞いてもダークスターとしては玲司が心配だった。

 相手はまだ凶星十三星座(ゾディアック)ではないにしても厄介な能力を使ってくる。

 あの和也が最強のパートナーとして側にいた存在。

 玲司にいったいどんな秘策を与えたのか解らないが、心配したダークスターは立ち上がると翼を広げ、直ぐにでも飛び立とうとした。


「ま~てまて、お~前さんはしばらくや~すんでろって」


<だが!>


「だ~いじょうぶだって言っただろ~? ア~イツらがそ~う簡単に負けね~って、だ~から信じろ」


 ダークスターは信じろと言われ、玲司達を信じた方が良いのか悩んだ。

 すると、高峰は再びダークスターにそこでしばらく休んでろと言うと1歩、前に出た。


「ん~じゃ、オ~レも始めるとするか~ね」


 その目の前には、パンドラが不適な笑みを浮かべながら静かにたたずんでいた。


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