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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第10章 始まる滅びの時
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第278話 後、1日の絶望


 ーー ネバダ州 ーー


 そこに、決して立ち入ってはいけない場所がある。


 "エリア51"


 そこは外界的に空軍基地とされた場所だが、ある秘密を守る為に存在する。

 人々はUFOの着陸所、UFOを研究する為に作られた施設、UFO又は様々な生物、主に未確認生物と称される存在を収容していると言われている秘密の多い場所だ。

 だが実際はそうじゃない。

 それはその秘密を守る為にあえて流し、作られた噂でしかない。

 その秘密とは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だからなのだ。


 ーー エリア51 地下隔離施設 ーー


「今日も異常無しっと」


「気を抜くな、今この時間の日本にはあのゼストが来ているって話じゃないか、下手にここを知られれば奴らは直ぐにでも来るぞ」


「でも()()の存在を知ってるのは極一部の人間だけじゃないか、そうだろ? ははっ、心配し過ぎだよ君は、何の為に隠してると思ってるんだい?」


「だと良いんだがな……」


 陽気そうな研究者の男と真面目そうな軍人の男の2人は、ガラス越しに()()を見ていた。

 ガラスは強化ガラス。

 そのガラスの向こうには、薄明かりに照らされる()()()()が静かに鎮座していた。

 遺体の周りには様々なケーブルが繋がり、万が一にも竜が動き出すかも知れないからと警戒している為に繋がっている。

 そんな"エリア51"の近くに、いてはいけない存在が少しずつ近づいていた事を誰も気づいていなかった。


「ん?」


「どうした?」


「いや……、微弱だけど今一瞬、脈が動いた気がして」


「やめてくれ、そんな冗談をこんなところで聞きたくない」


「いやでも……、見間違いなのかなぁ……。まっ、気分転換にコーヒーでも飲むかい?」


「……そうだな」


 研究者の男はコーヒーを淹れる為に席から立ち上がると少し離れ、軍人の男も付いて行く。


 それが間違いだと知らずに……。


 研究者の男は見間違いをした訳じゃない。

 竜の遺体から少しずつ脈拍が戻り、鼓動が大きくなっていく。

 竜の体を傷つけられる物等、ただの人間が作り出せる事が出来ない。その為、竜の体に残っていた血が甦り、肉体も甦る。

 ()ちることのない肉体であり、不死であるが故に竜の体は今……。


 目覚めようとしていた。


「……おい、なんの冗談だいこれは」


「……」


 それを目撃してしまった2人は手からコーヒーを落とし、非常警戒警報を伝えようとした時だった。

 研究者の男が伝える前に非常警戒警報のランプとけたたましい音が鳴り響いた。


『緊急事態発生! 当施設に凶星十三星座(ゾディアック)の襲撃を確認! 全研究所員は直に避難し! それ以外の者は決してここに近付けさせないように応戦願います!』


「ゾ、ゾゾッ、凶星十三星座(ゾディアック)


「クソッ! 俺は嫌な予感してたんだよ! アンタは必要な荷物だけ持って脱出しろ!」


「わ、わかった!」


 ーー エリア51 エリア内外 ーー


「奴らを近付けさせるな! 撃ち殺せ!」


 爆発と銃弾の嵐。

 爆発は迫撃砲や地雷による爆発、だがそんな中を平然とした顔でゆっくりと近付く2つの影が存在していた。


 "No.(ナンバー)(セブン)-(ツー)・ベルゼブブ"。

 地獄の王、(はえ)の王とも呼ばれる魔王の1人。

 その姿は黒い髪を短髪にし、軍服を着た女性。


 "No.(ナンバー)(セブン)-(スリー)・レヴィアタン"。

 リヴァイアサンとも呼ばれ、魔王の中で最も力が強いとされる魔王の1人。

 水色の様な青い髪を、襟足だけ長くしたロングウルフの様にし、こちらも軍服を着た女性だ。


「ったく、こんなおもちゃで俺達を殺せると思ってるのかね人間は」


「……めんどう」


「だな、んじゃそろそろ暴れるとするかレヴィ」


「……皆殺し」


 そこから先は戦いとは最早呼べない惨状となる。


 虐殺。


 そう呼ぶ方が適しているだろう。

 人間がいくら強力な兵器を作り、仕様したところで彼女達を傷付ける事等出来はしない。

 彼女達は己の拳と蹴りだけで多くの兵士達をただの肉塊へと変えていく。


「チクショウ! チクショウ! チクショウ!」


「……ゴミ」


 本当にゴミに見えているのだろう、レヴィアタンは()めた表情をしたまま軽く張り手をしただけで兵士の頭が粉々になって吹き飛ぶ。


「はははははははっ! おらおらあ! どしたああ! もっと楽しませろゴミ共おお!」


 ベルゼブブは笑いながら次々と兵士達を殺して廻る。

 もう一度言おう。

 彼女達は己の拳と蹴りだけで殺しているのだ。彼女達は武器はおろか魔法すら使っていない。

 仮に彼女達が武器を持ち、魔法を使うとすれば……。

 それを想像しただけでどれだけもっと(むご)い殺しをした事だろう。


「感じる! 感じるぞ陛下の気配を!」


「……うん!」


「陛下! 陛下! 陛下! 今俺達が貴方様の体を取り戻しに行きます!」


「……待ってて、陛下」


 彼女達にとってこの上無い存在が眠る場所が近い。

 存在に気づいた2人はそこで、施設を魔法で破壊。

 逃げ惑う職員や研究者達は皆、2人の攻撃で次々と死んでいく。

 逃げようとしていた飛行機、ヘリ、車、ありとあらゆる物、動く物全てを見逃さない。


「あああぁぁぁ陛下あぁ、やっと、やっとまた御会い出来る……」


「……陛下、陛下を……、返せ」


「レ、レヴィ?!」


 レヴィアタンはそこで姿を変える。

 その姿はまるで巨大な蛇。

 いや……、蛇竜だ。

 ワニの様な頭、蛇のごとき巨大な体に二対の巨大なヒレ、背中や尻尾にところどころサメの様な背ビレや尾ビレ。

 それが彼女の真の姿だ。


「おいレヴィ! 力は加減しろよ?!」


<……分かってる>


 そして彼女は口から高威力の破壊光線を吐き、(またた)く間に全てを破壊尽くした。


「あぁぁ……、だから加減しろってお前……」


<……でも、見つけた>


「……でかした、んじゃ迎えに行こうぜ」


<……うん>


 レヴィが見つけたと言ったのは、穴。

 それは昔、ここで掘削している時に崩落し、偶然にも竜の遺体を見つける切っ掛けとなった穴だった。


 ーー エリア51 地下隔離施設 ーー


「い、痛い……、ッ……ハァ、ハァ……」


 だがそこに、たった1人だけ生き残りが存在した。

 その日、竜の遺体を見ていた研究者だ。


「うぅぅ、足が……」


 彼の足は折れ、頭から血が垂れていたが命に関わる程ではない。

 それはある意味で奇跡だったんだろう。


「は、早く報告、……しなきゃ」


「誰になんの報告するって?」


「は?!」


 だが彼は残念なことに、ベルゼブブに見つかった。

 彼は恐怖で歯を慣らし、後ろをゆっくりと振り返るとそこにベルゼブブが立っていた。


「あっ、あぁっ……」


 目を合わせた事で更なる恐怖を感じ取って動けない。

 それは本能で理解したからなんだろう。

 下手に動けば殺されると。


「まさか生き残ってる奴がいるなんてなぁ、どうするレヴィ?」


「……きっとまだいる」


 その後ろには人の姿をしたレヴィアタンが静かに立っていた。


「……だな。地下施設は思ってたより広いからどっかでまだ生き残りがいるだろうな。んじゃ……、陛下のお体を回収した後に消すか」


「(な、なんで……どうてここに……、や、ヤバい、……ど、どうしたら……)」


 男は死にたくなかった。死にたくなかったからこそ、男はその場で必死に懇願(こんがん)した。

 助けてください、なんでも言うことを聞きますからと。

 だがそんな言葉を彼女達が叶える訳も無い。


「さぁて、コイツをどう料理してやろうかなぁ?」


「や、やめて! 殺さないで!」


「はははは! 殺さないで! だってよ! はははっ! はははははははっ!」


「い、いやだ……、死にたくない、死にたくない! 死にたくない! うわあああああああ!!」


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