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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第1章 終わりの始まり
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第27話 太古の殺戮兵器


 ネイガルさんは改めてそのモンスター達の性格は極めて凶暴で、ある意味完成された殺戮兵器と言っても過言じゃ無い程に恐ろしいと話す。

 その性格が災いしてか、なかなか買い手も付かないんだとか。

 それに頭がとても良いらしく、そのモンスターは3匹で連携して動くとも話す。

 奥には屈強な男達数人がそのモンスター達が(おり)から出ない様に常に監視し、警戒しているけど……。その3匹のモンスター達を見た俺達は当然、絶句した。

 だってそれは、俺達の世界では既に()()()()()()()()()だったからだ。


「おいおいおい……、嘘だろ?」


 流石のカズも驚きを隠せていない。


「如何にございましょう? こちらのモンスターは貴方様にこそ相応(ふさわ)しいかと」


 ネイガルさんはニヤリとした表情でカズの顔を伺う。


「コレ……、俺達の世界では既に絶滅した筈の生き物だぞ……」


「ほほぅ、それは興味深い。実はどれだけ調べてでも種族名がまったく解っていないため、苦労しておりまして。新種として登録しようかと考えていた所に和也様が来られましたので、良い機会だと思っておりましたが。成る程、和也様はこのモンスター達をご存知だったのですね。それは良かった」


 そんなカズは目を見開き、興奮した顔でその名を口にした。


「コイツ等は……、ラプトル。()()()()()()()()って名前の恐竜だ」


 ヴェロキラプトル。

 体高訳0.5メートル。体長訳2メートルの二足歩行で超有名な小型肉食恐竜。

 体全体に比べ脳と目が大きく。鋭い歯と爪を持ち、後ろ足には鋭いカギ爪が一本ずつあり、敏捷(びんしょう)で足が速い。

 腕の爪だけで相手を殺せるけど、最大の特徴はなんと言っても後ろ足のカギ爪。そのカギ爪を使い、獲物の喉や腹を簡単に切り裂く事が出来る。

 って、カズが説明してくれたけど、なんか説明よりデカいと感じる。


 なんでそんな超有名な恐竜がここに?!


 1匹は赤い目で、真っ白な体に桜の花が散ったかの様な(あわ)いピンク色の模様。

 2匹目は黄色い目で、灰色の体に水色の模様がある個体。

 3匹目は黄色い目で、灰色の体に黒い模様がある個体。

 2匹目と3匹目の模様は、どちらもエメラルドツリーモニターって言う、俺達が住む世界にいるオオトカゲの様な模様をしている。

 それに、そのエメラルドツリーモニターをカズは数匹飼育しているから俺でも分かった。

 そしてカズはそんな恐竜達を一眼見て、3匹に惚れていた。


「1匹幾ら?」


「1匹白金貨5枚でどうでしょう?」


「安くないか?」


 確かに予想よりも遥かに安くないか?!


「他の誰でもない貴方様だからこそ、勉強させて頂きました。それにこのモンスター、いや、恐竜と呼ばれる種族の名前がヴェロキラプトルと知る事が出来ました。ましてや先程は申し訳ない事をしましたので、それが妥当かと」


 ネイガルさんは頭を下げ、右手を胸に左手を腰に回してそう告げる。


 マジかよ?! 本当にマジなのかよ?! 良いのかよ?!


「3匹とも頂こう」


 即答かよ! カッコいいなこのヤロー!


「有難う御座います」


 俺達は目の前で行われている支払いを見て、目を真っ白にしていた事に誰も気づかない。


 1匹白金貨5枚。3匹で15枚。つまり日本円にして1500万円ってことだよな?! 相手はあの恐竜ヴェロキラプトル3匹だぞ?! 確かにそう簡単に手が出せねえけどありえねーくらい安いって!


 そしてカズはミスリル金貨1枚と白金貨5枚を、懐に入っている財布の中から取り出し、ネイガルさんに手渡した。


「御買い上げ、誠に有難う御座います」


 マジで買いやがったよコイツ!


 ネイガルさんが深々と頭を下げて御礼を述べると、ヴェロキラプトル3匹を監視していた男達もその場で(ひざまず)いて感謝の言葉を口にする。


「んじゃ、早速テイムするとしますか。中に入っても?」


 はいぃぃイイ?!


 その言葉にはネイガルさんだけでなく俺達や監視していた人達全員が驚いた。


「か、和也様?!」


 けどカズは頑丈な(おり)の棒を、簡単に手で広げ、中へと黙って入って行く。


 お前なにしてんだよ?!


 警備していた人達はそれを見て、口を大きく広げて絶句した。


 そりゃそうなるよな?!


「な、なんて無茶な!」


 そう! そうだよ!


 ネイガルさんはなんとか正気を保ってそう言うしか無かった。


「おいカズ!」


 俺はその無謀さに焦り、カズを呼ぶけど。


「シッ……、お前らは静かに黙ってそこにいろ。コイツらが興奮してテイムしたくても出来なくなる」


 カズは人差し指を立ててそう言う為、最早黙っているしかなかった。


「よう、元気か?」


 3匹のヴェロキラプトル達は歯を剥き出しにし、低い唸り声を上げながら足のカギ爪を器用に使い、床にコツコツと当てて音を立てる。

 カズを警戒し、威嚇してるんだろ。


「そう警戒すんなよ、俺はお前らと家族(ファミリー)になりたいだけだ」


 けどその内の1匹、黒い模様を持つ個体が大口を開け、鋭い爪を持つ両手を広げてカズに突進して来た。だけど、ヴェロキラプトル達3匹は何も出来ず、カズの前でねじ伏せられた。

 それはゼイラムで1匹1匹を蛇の様に巻き付いて捕獲し、ねじ伏せたからだ。

 ヴェロキラプトル達がどれだけもがこうともゼイラムを解く事が出来ず、ただ床に鋭い爪跡を残す。

 そこでカズは笑顔で1匹ずつテイムし始めた。



 暫く時間が経った後。


「流石です、和也様」


 カズは見事3匹のテイムに成功させ、ヴェロキラプトル達がカズに鼻先を擦り付けては頭を撫でてもらったり、喉を撫でてもらったりとして、(おり)の中でじゃれあっている。


 なんか……、羨ましすぎる!


 そしてカズはじゃれあいながら3匹の性別も調べていた。


 クソッ! マジで過ごしぎだろお前! ……でも、いつか俺も、そんなお前の横に並び立ちてえ! 俺もいつかヴェロキラプトル達を見つけたらテイム出来る様になってやるからな!

 まぁその前にお金を稼がなくっちゃな……。


「よし、名前を決めたぞ」


 お?! どんな名前だ?


 カズは考えに考え、ヴェロキラプトル達の名前をその場で決めた。


 真っ白な体に淡い桜の花弁(はなびら)が舞う様な模様を持つ個体はメスで、名前は"アリス"。


 水色の模様を持つ個体はオスで、名前は"ヒスイ"。


 黒い模様を持つ個体はメスで、名前は"ダリア"。


 アリス、ヒスイ、ダリア、と名付けられたヴェロキラプトル達の首に、少し緩めの首輪が付けられる。


「これから宜しくな、アリス、ヒスイ、ダリア」


 カズが珍しく満面の笑みで3匹に接する。


〈グルアッ〉


〈グルッグルッ〉


〈グルッククククッ〉


 カズの挨拶に応えているのか、3匹は鳴き声を上げる。


「しかしコイツらデカいな。向こうだともっと小さい筈なんだけどな」


 だよな?


 カズが説明してくれた話しよりも、目の前にいるヴェロキラプトルは倍以上デカい。大きさなんて、目線が俺より少し下位で、体長はざっと4メートル近くかもっとあるように見える。


「ほう? ですがどうしてコレがそのヴェロキラプトルだと分かったんですか?」


「あぁそれは、カズは根っからの動植物好きで中でも爬虫類とかこう言った恐竜がめちゃくちゃ好きなんですよ。だから一眼見てその特徴とかを頭の中から該当する生き物を引っ張り出したんだと思います」


 美羽はネイガルさんにそう説明する中、カズは監視していた人達にどうやったらそんなに強くなれるのかや、弟子にしてくれだとか言われて捕まっていたりもしたけど、丁重に断った。


「そうだネイガル、代金払うからコイツ等の鑑定頼むよ」


「かしこ参りました。しかし、鑑定の代金は結構に御座います。本日のような誠に素晴らしい日は滅多に御座いませんので、サービスさせて頂きます」


 そう言ってネイガルさんはまず、アリスから鑑定する事にした。


次回

和也はヴェロキラプトル達をテイムし、それを見て自分も欲しくなった憲明は、別のモンスターをパートナーとして迎えることになります。


ちなみに、僕だったら間違いなくラプトルをテイムしますねwww

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