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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第9章 覚醒
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第265話 母の想い


 逃げることなんて出来やしない。

 母さんは右手を代償に俺を庇ってくれた。

 そんな母さんを、俺が弱いばっかりに傷付けたんだ。


「チクショー!」


「……どうして逃げてくれないのよ」


「ゴジュラスーー!」


 なんでって、そんなの決まってる!


「よくも母さんを!」


<貴様に何が出来る!>


「黙れよバカヤロー!」


 怒りからなのか、それとも悲しいからなのか解らない。

 だけど、その時何か力が(みなぎ)ったから俺は右手でおもいっきりゴジュラスを殴ると、そのゴジュラスが大きくふっとんだ。


<なっ?!>


「なんで……、なんでテメェらはそうやって何もかも壊そうとするんだよ」


<(なんだ今の力は?!)>


「そんなにカズを手に入れてえかよ! 何もかも憎いかよ! ガキみてえに何でもかんでも壊せば良いってもんじゃねえだろ!」


<……怒りか。それとも、悲しみか?>


「うっせえんだよボケ!」


 何がどうなってんのか解らない。

 だけど、不思議と力がどんどん(みなぎ)ってくる。


「うるぁ! とっとと沈め!」


<ぐっ、面白い……、実に面白い! もっとだ! もっとお前の底力を私に見せてくれ!>


「死ねよこの戦闘凶が!」


 きっとこの力は母さんから受け継いだ力なんだろうな。

 大天使ウリエル。

 母さんがウリエルなら、俺の中に天使の力が宿っているのかも知れない。

 その大天使ウリエルは昔、ダージュとやり合った時に負けて死んだ。

 俺の推測が当たっているなら、きっと母さんは残りの力を持ったまま生まれ変わり、その力を使わずに生きてきた。

 だけど俺が産まれる時にその力がこっちに移った事で、母さんに残っていた力がそこまで無くなってしまったのかも知れない。


<ぐっハッ!>


 俺はゴジュラスを殴り続けた。

 ノワールには悪いと思ってる。だって、ゴジュラスはノワールの父親なんだから。


「おるぁ! 早く沈めよ!」


<くっ! "引力"!>


「おせええっ!」


<ガアッハッ!>


「駄目……、力に飲み込まれたら駄目よ」


「母さんは早くカズの所に行って治療しろ! コイツは俺がここで倒す!」


「駄目! うっ!」


 羽が消え、母さんは痛みでしゃがみこむとノワールが心配そうにその後ろをオロオロする。

 俺に殴られてる父親の心配より、母さんを心配してくれるのはありがてえけど、早く連れてってほしかった。


「なにしてる! 早く!」


<グオオオオオオ!>


「ちっ!」


 俺の手はもう、ゴジュラスのゴツゴツとした硬い皮膚を殴り続けた事でボロボロだ。でもまだ足がある。だから今度は蹴り殺そうと、必死になって蹴り続けた。


<どうした憲明! 先程より力が弱くなっているぞ! >


「うっせえ! 黙っていい加減死ねよお前は!」


 俺の蹴りがゴジュラスの腹にめり込む。同時に、俺はゴジュラスに殴られて一緒に吹っ飛んだ。


「がっ!」


<グオッ!>


 体が痛い。

 全身の骨がイカれちまったんじゃねえかってくらい痛い。

 だけどゴジュラスはまだ立ち上がってくる。


 くそっ! どれだけタフなんだよアイツ!


 そこで俺はゴジュラスのステータスを"鑑定"で見ると。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前 ゴジュラス 性別 ((オス)

 種族名 ティラノス・グラビティム

 Lv.1548   Zランク

 体力15200   魔力15200

 攻撃16800   防御15500

 耐性13000   敏捷12300

 運120

 スキル

  攻撃力強化 防御力強化 嗅覚強化 毒無効 麻痺無効 身体能力強化

 ユニークスキル

  暴君 闘争本能 戦闘力倍化 破壊者 結晶操作

 アルティメットスキル

  進化 重力支配

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ちっ! マジでどうかしてる! なにをしたらこんなに強くなれるんだよ!


 凶星十三星座(ゾディアック)のナンバーズになろうとしてるだけあってその強さがめちゃくちゃだ。

 まぁ、伊達にカズのパートナーをしてねえよ。

 でももう一人のカズがなにかしたって聞いていたからもしかしたらゴジュラスがこれだけ強くなったんだろ。

 はっきり言って今のゴジュラスは化け物だ。

 スキルは増えていないけど、その能力値は異常としか言う他が無い。


 こんな化け物を、母さんは1人で抑えようとしてたのか……。


<どうした……、やはり貴様はその程度だったのか!>


「だからうっせえって言ってんだろボケカス!」


<ウグおッ!>


 平然と立ち上がってくるタフさはきっと恐竜の時からなんだろ。

 そのタフなところがあるから八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の瘴気を逆に利用し、今の姿に進化した。

 それに、ゴジュラスにはまだ"進化"が残ってるって事は、まだまだ強くなるってのが解る。


 コイツをここで倒さなきゃ、この先もっと酷い事になる!

 なんとかして倒さなきゃ!


 俺の頭にはもう、ゴジュラスを倒す事しか考えられなくなっていた。

 ゴジュラスを倒して俺もダージュと一緒にイリスの援護に行かなきゃって。

 そう思っていると、俺のところにダージュが吹き飛ばされて倒れた。


「ダージュ?!」


 あっ!


 そこで俺はつい、ダージュのステータスを"鑑定"で見てしまった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前 ダークスター ((オス))

 種族名 ニーズヘッグ

 Lv.2000   ZZランク

 体力49580   魔力51090

 攻撃59600   防御48620

 耐性46000   敏捷52600

 運98

 スキル

  炎魔法強化 追跡者 身体強化 防御力強化 

 ユニークスキル

  緑炎 黒銀乃体 黒銀乃翼 

 アルティメットスキル

  黒星 冥精王乃加護

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 これだけ強いって言うのに……、ダージュがここまで……。


<うっぐっ……、カハッ!>


「大丈夫かよダージュ?!」


<……さ、流石パンドラ……、イリスと……、イリスと2人係りだと……言うのに……くっ、止められないなんて……>


 んじゃイリスは?!


「なにやってるのかしらゴジュラス? お兄様のパートナーである貴方が、なんてザマかしら。情けないわね」


「イリス!」


「憲明……ゴメン……」


 パンドラがイリスの首根っこを捕まえた状態で引きずり、ゆっくりと近付いてくる。


「まったく……、せっかくお兄様がアンタを強くするために力を下さったって言うのに、そのお兄様の顔に泥を塗るだなんて」


<面目……無い……>


「もう……。それにしてもダージュ? これはなんのマネだったのかしら? まさか私達を裏切るなんて……、言わないわよね?」


<ふん、だったらどうだと言うんだ?>


「……聞き違いかしらぁ、もしかして……、本気で言ってる?」


<私は憲明側に付く。……あの方が望んでいないのであれば、私はそんなあの方を今度こそ守りたい>


「あっ、アッハッハッハッハッ! お兄様が望んでいないですって? 何寝ぼけたことを言ってるのかしら? 現にもう一人のお兄様は復活したがってるじゃない!」


<だが私が知るあの方は今のあの方だ! もう一人のあの方とは違う!>


「黙りなさい! 今のお兄様は確かに私も知るお兄様よ……、でも! もう一人のお兄様だって私の知るお兄様なのよ!」


<では何故ああも性格が違うのだ!>


「お兄様の魂は2つに別れしまった! だから性格だって違ってくるでしょうよ!」


<では何故同じ意思じゃない! 同じなら意思もまた同じ考えを持つものではないのか?!>


「黙りなさい!」


 そうして今度はダージュとパンドラの2人が睨み合う事になった。


 今の内に母さんを!


「動くんじゃないよ!」


「うっ!」


 パンドラのドギツい殺気で体が強張って動けない。

 今なら母さんをなんとか助けられるって思ったのに、なかなかうまく行かないから焦りだけがつのる。

 だって、そうしてる間にも母さんから大量の血が流れ出てるんだ、早く助けないと間に合わなくなる。


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