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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第8章 黒い太陽
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第238話 黒紫竜の過去 2


 それから色んな場面が変わるけど、どれも幸せそうな光景を目にすることになった。

 ダークスターはフローラさんにまだ告白することが出来ていないけど、フローラさんはダークスターの告白をどれだけでも待つってつもりみたいだ。

 過去のカズも、その人の名前はまだ聞いてないんだけど……、きっとこの人なんだろ……。

 カズがブチギレて世界を敵に回す切っ掛けになった大切な人。

 神が殺した妖精族の女王で冥精王。

 そんな2人を見てるとこっちまで幸せになれそうな気分になれた。


「もう少しね、()()()


「そうだね()()()()


 アルガ、ってことはやっぱりコイツがアルガドゥクスで、カズが生まれ変わる前の。


「ねえ見て、いつかの"フェアリー・ドラゴン"達が来たわ」


「そうだね、彼らも私達の結婚式に来てくれるだろうか」


「きっと来てくれるはずよ」


 フェアリー・ドラゴン……。めちゃくちゃ可愛いな。


 その場所は様々な花に囲まれた綺麗な庭。

 そこに小さいトカゲみたいな竜に、光り輝く綺麗な蝶の羽をつけたフェアリー・ドラゴンってモンスターが数匹飛び回っていた。

 大きさはそんなに大きくないんだけど、その見た目が凄く可愛い。


「失礼致します陛下」


 そんな花の庭って表現する場所に、黒い軍服を着た女が来た。


 コイツはもしかして。


「どうした()()()?」


 やっぱりルシファーか。


 俺が知ってるルシファーとはだいぶ雰囲気が違って、優しい顔をしてるし見た目もなんか違っていた。


「申し訳ありません陛下。少々ダージュを御借りしたいと思いまして」


「ダージュを? うん、別に良いぞ」


「感謝申し上げます。ダージュすまないが来てくれるか?」


<わかった。では私はここで失礼致します>


 そんなルシファーに呼ばれてついて行くと。


「お前とこうして話すのは久しぶりだな」


<うむ>


「すまないな呼んでしまって」


<構わないさ。それで? 私を呼んだ理由はなんだ?>


「それなんだがな」


 ルシファーがクスッと笑ってこっちに視線を向けるけど、その理由を話さない。

 ダークスターと俺はなんだろ? って思いながらそれでもついて行くと。その先でお客が1人立って待っていた。


「ダージュ」


<フローラ? どうしたのだ?>


 ダークスターの姿が目にはいるなり、フローラさんは手を大きく振りながら満面の笑顔を見せる。

 ダークスターはキリッとした態度になるものの……、嬉しいって感情が流れてくるから俺にはバレバレだった。それにルシファーがクスクス笑っている。


 あっ、こりゃ周りにバレてるなコイツの気持ち。


「実は"フィスメラ"様がお忘れ物をしたので、それをお届けに追いかけて来たんです」


<そうだったのか。陛下達は何時もの庭に居られる。よければ直接お渡ししたらどうだ?>


「ではそうさせて頂きます」


 そんでこの後あわよくば2人っきりになりたいってか?


<(シリウス、貴殿が何を思ってるか分かるぞ?)>


 んじゃそのまま良い雰囲気になったらさ、今度こそ告白しちまえよ。


<(うっぐ……、貴殿もなかなか意地悪だな)>


 なんでだよ、前からちゃんと言えって言ってるのに言わないのが悪いんだろ?


「どうした? 早くフローラ殿を陛下達の元へお連れしたらどうだ?」


<う、うむ>


 俺が知ってるルシファーはショートカットで左目を前髪で隠しているし、右目に逆十字のタトゥーが入ってる。

 だけど昔のルシファーはそうじゃなくて、より女性らしく髪が長く、前髪で左目を隠してもいなければタトゥーも入っていない。


 この時のルシファーとダークスターって、けっこう仲が良いって感じがするな。


 案内したら案内したで昔のカズ、じゃなくてアルガドゥクスとフィスメラさんがこっちを見て微笑む。


「どうしたの? フローラ?」


「お忘れ物を届けに参りました」


「忘れ物?」


 何を届けに来たのかなと思って見ていると、フローラさんが箱を手渡す。


「あちゃ~、大事な物を忘れちゃってたぁ」


 大事な物?


「アルガ、どうかこれを受け取ってください」


「私に?」


「えぇ」


 なんだろうとアルガドゥクスが箱を開けると、そこには光り輝く物が入っていた。


「これは?」


「なんだと思います?」


 なんだろ?


「もしかして……これは!」


「はい、それは私達妖精族にとって、とても大切な宝物になります」


 妖精族にとって? おいおい、そんなのを簡単に渡して良いのかよ?


「しかもただの宝物じゃないね? これは君達妖精族にとってとても貴重で、命とも言える代物だ」


「はい」


 マジかよ。

 ダージュ、アレが何か解るか?


<(いや、私にも解らない)>


「"月の雫"……、これは流石に受け取れないよフィーラ」


「いいえ、それは私だけでなく、私達全ての妖精族の総意です。ですから受け取ってくださいアルガ」


 "月の雫"ってなんだよダージュ?


<("月の雫"……、まさかそんな代物を実際に見ることになるとは……)>


 だからその"月の雫"ってなんだよ?


<("月の雫"とは妖精族にとって最大の秘宝なのだ。それもただの秘宝では無い。"月の雫"とは本来、冥精王であらせられるフィスメラ様が受け継ぎし物で……、妖精族最強の攻撃魔法スキルが封じられた物なのだ)>


 妖精族最強の攻撃魔法?


<(その一撃は陛下ですら防ぐ事が出来ないと聞いている)>


 は? アルガドゥクスでも?


「フィーラ、例え妖精族全員の総意と言えど、私は受け取ることが出来ない。これは君達にとって ーー」


「いいから早く受け取ってください。……その力は確かに絶大です。あらゆる物全てを破壊します。アルガやゼスト、パンドラにとっては不要かも知れません、ですがアルガ、貴方は冥竜王であり、我々四大冥王の長。全ての頂点に君臨する者なのです。そして、貴方は私の旦那様になるんですよ? でしたら同時に妖精族の王になるのと同じなのです。竜族の王であり妖精族の王。そんな貴方が持つに相応しいと考えたからこそ、これを貴方に送りたいのです。だから受け取ってください」


「本当に……、いや、分かったよ。この秘宝、確かに受け取った」


「ふふふっ、はい」


「では婚礼前夜に正式に受け取らせてもらう」


「えぇ、それで構いませんわ」


 ……これでまたアルガドゥクスが最強になったって事か。


 "月の雫"がいったいどんな攻撃魔法なのか見たことがないから解らねえけど、話からしてガチで危険なんだろうなとは思う。

 だから正直そんなもん見たくなかった。


 あれを体験するまでは……。


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