終わりの始まり
多くの時代が移り変わり時は現代。
様々な運命が少しずつ動きだそうとしていた。ーー
ーー《憲明side》
ー 東京 ー
6月20日 22:30
「うッ……! ッ……、うわあああ!!」
暗い部屋の中、俺は汗びっしょりになりながら目を覚ました。
夢……?
本当に夢なのか確かめるため、俺は部屋の中を見回した。
壁には白い特攻服。他にボーイッシュでVメイクをした女のサイン入りポスターが1枚を貼っているけど、そいつはダチの1人。
棚にはダチ連中と撮った写真が何枚もある。写真は、ポスターの女。野球のユニフォームを着た坊主頭の奴。性格が悪そうな顔で笑っている奴。地雷メイクをして明るそうな笑顔の女。そして…一際目つきが悪いが美形で、一見目がキツいが女と勘違いされやすくて、絶対モテそうな奴と一緒に、皆が楽しそうに写っている写真を俺は飾っている。
……問題、ねえな。
「今何時だ? 10時半? ………んだよ、いつの間に寝てたんだ俺」
時間を確認した俺は独り言を呟きながら両手を上にかざし、両手を見つめた。
「なんだこれ? なんで残ってんだよ? ………まっ考えてもしゃあねえ。寝よ」
両手に、夢を見たからなのか変な違和感を感じる。
どんな夢を見たのかと言うと、なんだか黒くて変な化け物と戦っている夢だ。
だけど、俺はまた眠る。
「…………寝れねえ」
夢のせいかまったく眠れそうにない俺は、着替えて出かける事にした。
着替え終わった俺は外に出ると、止めてあるバイクに跨またがってエンジンをかける。
このまま走るだけじゃつまんねえし……、何処に行こっかなぁ……。
あっそうだ。
俺はスマホを取り出し、ダチに電話をすると気だるそうな声でそいつは電話に出た。
「……あっカズ、今暇か?」
『あァ? んな訳かねえだろ。今取り込み中だ』
「あぁ、取り込み中だったか、悪かったな」
『なんだ? なにかあったのかよ?』
「いや別に。暇ならちょっと行こうかと思ってよ」
その時、電話越しから乾いた音が鳴り響くのと同時に、誰かの悲鳴と呻き声が聞こえてきた。
『悪い、今なんて言った?』
……なんか、聞きたくねえ………。
「いや、なんでも無い。……明日の昼は大丈夫か?」
『あぁ……、悪い、用事が出来ちまったから行けそうにねえな』
「そうか。んじゃ明日の夜、そっちに行っていいか?」
『……わかった』
そう言って電話が切れた。
……それにしてもさっきの音、あの音はなんか、銃声の様な気がしてならねえな……。
そう思うと寒気が襲ってくる。
俺が電話した奴は、俺が知る中でも絶対に敵に回したらいけないってぐらい危険極まりない奴だ。
目はキツイし女と勘違いされたらめっちゃブチギレる。でも、なんだかんだで優しい奴なんだ。
……それにしてもなんか、今日はやけにサイレンが鳴ってんな……。
俺はサイレンが気になりつつも、バイクに跨がって走りに出た。
走っているとそこら中からパトカーのサイレンが鳴っている。
殺しでもあったのか?
そう思うと、さっき電話した時の不穏な音が関係してんじゃねえかと思って怖くなる。
ま、まぁ……、アイツのことだし、大丈夫……だよな?
でもこの時、俺のそんな甘い考えを軽く越える様な事件になるなんて想像していなかった。
暫くバイクを走らせていると、とある街の路地裏でサイレンを鳴らしながら幾つもの赤いランプで染まっている。
……マジか、こんな近くだったのかよ。
警察車両が数台、鑑識班の車両も何台か止まっていて、物々しい雰囲気が辺りに漂っている。
そこに、同じ高校に通ってる奴がいたから俺はバイクを止め、何があったのかを話を聞くことにした。
聞けば、バラバラになった女の人の死体をサラリーマンが見つけたから通報したんだとか。
きっと今頃、それを見ちまった人は吐いてんだろうな。ヒデェことすんなぁ、しかも路地裏って言っても結構他の人の目がいくような場所じゃねえか、よくそんな所で……。
俺はそう思ってると、なんか矛盾してる気がした。
結構人の目がいくような場所。その場所で殺してバラバラにしたのか? それなら悲鳴とか争う様な声を聞く筈だ。それとも、殺した後にバラバラにして遺棄したのか? もしそうなら不審者を見かけた奴が一人や二人はいる筈だ。だからパトカーが走り回ってるのか?
なんか、なにがおかしいのか解んねえけど、なんか変な感じがした。
「はい、"寄生"タイプかと思います兄様」
ん?
真後ろで女の子が誰かに話してる声がして振り返ったけど。そこにはもう、誰もいなかった。