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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第6章 成長と進化
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第197話 クエスト達成?


 粘ること30分。

 ヤッさんは新種のモンスターをテイムする事に成功した。


「そいつには悪いが、後でDNA検査の為に血液サンプルを取らせて貰う」


「うん、分かった」


「今は出来ねえから戻ってからだな」


 しかし見れば見るほどハリネズミだな。


 遠くから見た時は2メートルぐらいって思っていたけど、いざ近くで見るとそうでもなかった。

 体長約90センチ。背中はまるでマントかローブを(まと)ってる様になっているから、それで大きさを間違える事になったんだと思う。

 そのマントみたいな背中を引きずりつつ、長く鋭いトゲがびっしり生えているから下手に触れば大怪我に繋がることは間違いない。

 その見た目はハリネズミとヤマアラシを掛け合わせたモンスターだけど、思わず可愛いアンギラスって感じがした。

 そんなモンスターをカズは(おび)えさせないように、丁寧に観察したり調べたりしている。


「これは普通に皮膚だな。皮膚だけど丈夫で固い。だから引きずっても平気なんだな」


 なるほど。


「意外と爪が鋭いしデカイ。歯は……見るからに齧歯類(げっしるい)じゃねえな」


齧歯類(げっしるい)?」


「ネズミやリスの事だ」


「あぁ……」


 んじゃ解りやすく初めからそう言えよな。


「でもハリネズミとかそう言った(だく)いじゃなさそうだ。まずハリネズミは基本的に夜行性だし、顔つきは似てはいるが違う。背中の状態やトゲ。手足。……ハリネズミはモグラの仲間っちゃ仲間だからな、手足が大きくて爪もデカイのは解る……。だがそうとも思えねえんだよなぁ……。ちなちみコイツは(メス)だ」


 まさかのカズですらお手上げですか。

 う~ん、この子はいったい何者なんだ?


「とりあえず寄生虫とかいたら心配だからよ。帰ったら俺の方で(しばら)く預からせて貰うがいいか?」


「うん、頼むよ」


 そう言えば、カノンとソラもなんだかカズにあれこれ調べられたりしたことがあったな。

 ……ありゃ絶対自分の部屋に寄生虫を招きたくないからなんだろ。

 そう思うとそれは致し方ないことだ、うんうん。


「まぁ呼び名が無かったら不便だからよ。早く決めてつけてやれヤッさん」


「分かった。ありがとうカズ」


「ふん、俺は別に大したことなんざしちゃいねえよ。んじゃまぁ一度ベースキャンプまで撤収するか」


 果たしてこのモンスターが依頼のあったモンスターなのかどうか解らねえけど、特徴が一致してるし、もしかしたらそうなのかも知れない。

 ってことで俺達はこっちに来て、2匹目になる未確認モンスターの調査を成功させたことになるんだよな? って俺とヤッさんは浮かれていた。


 14:00


「遅くなっちまったけど昼飯にしようぜ」


 その日の昼飯は、カズが前もって準備してくれていたカレー。

 もうね、食べる前から解りますよその旨さが。

 何度嗅いでも飽きることの無いカズ特製カレー。

 まだ食べたことが無かった佐渡にしてみれば衝撃の旨さで脳が溶けること間違いなし。

 とにかく黙って食えだ。


「うっ?! …………っま~~!!」


 へへっ、だろ?


「なにこれ?! こんな美味しいカレー食べたこと無い!」


 そんな反応見るの、随分と久し振りだぜ。

 俺達もカズのカレーを食った瞬間、脳内世界どころか余りの旨さに思考停止になって、気がついたら残りのカレーを全て食ったことがあるからな。

 いや~、あの時は腹パンパンでマジで動けなかったなぁ……。


「天才?」


「俺に料理勝負させんなよ?」


 キリッとした目で佐渡が言うと、カズはニヤッと嫌な微笑みで返した。


 カズに料理勝負仕掛けて勝てる奴なんているのか?

 もしいたら馬鹿だぜそいつ。


「今度勝負したいな」


 馬鹿がいやがった……。


「やめとけ、勝負したら確実に食われちまうぞ……」


「えぇ……、夜城君ってそんなに凄いの?」


「当たり前だろ。コイツに喧嘩売って勝った奴なんて、サーちゃんしか知らねえぞ俺。でも料理に関しては誰1人として勝った奴を知らねえ……。ましてやお前もコイツの腕知ってるだろ? だったら自殺行為だぞ」


「でも1人の料理人として一度は勝負したいよね」


 どこに闘志を燃やしてんだよコイツ……。


「でもその前にもっと腕を磨かないとね」


「ククッ、解ってるじゃねえか。んじゃ帰ったら俺が書いたレシピを約束通りくれてやるから、勉強するんだな」


「うん!」


 ははっ……、なんか佐渡なら互角に勝負出来そうに思えるのは気のせいか?


 ちなみにその後、佐渡はカズから貰ったレシピを自分なりに研究して、カズに勝負を挑むんだけどそれはまだ先の話。

 だけどその勝負は白熱する。


 19:00


「カズ、明日は全員で古城調査しないか?」


「……そうだな、目的のモンスターだと思うのを捕獲、と言うより、ヤッさんがテイムしたからな」


「だろ? だったら後は古城調査をして引き上げようぜ」


「……だな。ロゼリアの話だと、古城のどこかに莫大な財宝が眠ってるって話だし、調査がてらそれを探してみるのもいいな」


 そんな会話をして、俺達はまず何処を調査するか話し合った。

 イリス、ヤッさん、佐渡の3人は古城周りを調査した後、内部に入って1階フロアを見て周り。地下を発見して調査。

 だけど怪しい場所とかは全然無かったらしい。


「イリスでも見つけられなかったんじゃもしかしたら2階フロアから上に、なにかそれらしい物があるかもな」


「でも兄様(にいさま)、城は意外とデカくて探すとしてもかなり時間が掛かるぜ?」


「そうだな。ましてやそんな財宝があるなら知ってる奴らだっていても不思議じゃねえし、探し回った筈だ。それが未だに見つからねえってことはだ、見つけたらその財宝は俺達のもんになるって訳だ。……俺が何を言いたいか解るか?」


 なんとなくカズが何を言いたいのか解る気がしたから俺達は目を輝かせていた。


「俺達の手で見つけるぞ。そうだな……、ペアで動いて貰うか。一番先に見つけたペアには50パーセント。他は残りの50パーセントを分ける。それでいいな?」


「「異議無し!」」


「クククッ、んじゃペアはお前達で決めろ。つってももう決まってるか」


 カズの言う通り、ペアはもう決まってる。

 俺とイリス。ヤッさんと佐渡。んでカズはパートナーのゴジュラスなんだけど、それはペアに含まれるのか? って思えるが1人残っちまうんから……。


「んじゃ、明日はそれぞれ好きな時間に動くとしようぜ。俺とゴジュラスはもう少ししたら寝させて貰う」


「なんだよ、随分と早いな」


「バーカ、これは早い者勝ちなんだぞ? だったらさっさと寝て、早い時間から動いた方が得だろうが」


 た、確かに……。でもまだ7時半過ぎだぞ? どんだけ早い時間から動くつもりなんだよ。


「……そうだ、この子ってどんなスキルあるか解る? それとランク」


「あ?」


 ヤッさんはカズですら解らない、テイムした未確認モンスターのランクと、どんなスキルを持っているのか知りたそうだった。


「"嗅覚強化"、"治癒魔法"、"防御力強化"」


「おおぅ、ヤッさんのパートナーにピッタリじゃね?」


「ランクはF。ここいらでじゃ最弱なのに、よくそんなランクで生き残れたもんだ」


 確かに。


「もしかしたら何処かに仲間がいるかもしんねえが、生態事態が不明だからなんとも言えねえな」


「……カズの言う通りだな。でもよかったじゃんヤッさん、そいつ、ヤッさんにピッタリのモンスターだし」


「うん、本当にテイム出来て嬉しいよ」


 それから30分後、カズとゴジュラスは本当に寝た。


 マジで早すぎるだろ!


「……どうする?」


「あ? 兄様(にいさま)は本気で見つけるつもりなんだから俺達もさっさと寝て、早めに起きて探しに行くぞ」


「あっ、うん」


 イリスにそう言われたんじゃしゃあねえから、その日は俺も寝ることにして、次の日に備えることにした。


 それにしても、本当に財宝が眠ってるのか?


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