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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第6章 成長と進化
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第194話 久し振りに


 11月12日


 俺達はまだ未確認モンスターを見つけられずにいた。

 そもそも向こうの世界での未確認生物、UMAだってどれだけ調査しても見つけられないから未だに未確認なんだし、そう簡単に見つかるとは思っちゃいない。


「今日は東側を探すか」


「そうだな」


 有名どころだと、"ネッシー"、"イエティ"、"オゴポゴ"、"ツチノコ"。数年数十年、どれだけ探しても結局見つかっていない。

 目撃件数が多くても、見つからなきゃ永遠に謎だし未確認のまま。

 俺達がバウを発見出来たのはたまたまだし、あの時はロゼリアがカズを冥竜王として復活させたかったから操っていて、攻撃を仕掛けてきたから出会えたんだ。本当なら出会えないままで、もしかしたらバウは未だに未確認だったかも知れない。

 そう思うと逆に俺達はラッキーだったんだな。


「イリス、ヤッさんと佐渡と一緒に古城調査を進めてくれ。未確認モンスターは俺と憲明で調査する」


「はい」


「そうだな……、1300時にベースキャンプに集合するか」


 すると佐渡が、「1300時って?」って聞くから、俺は13時って意味だよって教えてやったりして、二手に別れた。


 9:40


「こっちはなにもいないな……」


「どこからどんなモンスターが出てくるか解らねえんだ、油断は禁物だぞ」


「ほ~い」


 でもなんだか久し振りだな、カズとこうして二人っきりになるのは。


<(あるじ)、こちらにはなんの痕跡(こんせき)も見当たりません>


「そうか、わかった」


 まぁゴジュラスとノワールがいるけどな。


「……」


 俺は岩場の上に登って遠くを観察するけど、やっぱりなにも見つからない。


 今日も空振りかな……。


「ゴジュラス、ノワールと一緒に北側を見に行ってくれ」


<(かしこ)まりました。では行くぞノワール>


<カロッ>


 ゴジュラスの背にのってノワールが一緒に北側を見に出掛けるのを見て。俺はカズがたまには親子水入らずにしたのかなって思えた。

 だって生まれてからずっと、ノワールは俺と一緒にいる。

 ゴジュラスとアリス、父ちゃんと母ちゃんと(ほとん)ど一緒にいないんだ、だからたまにはそれも悪くない。


 たまには親父(ゴジュラス)に甘えても良いんだぜ? ノワール。


「ヤッさん達、大丈夫かな?」


「イリスがいるんだ、よっぽどの事が無い限り大丈夫さ」


「いやそうじゃなくてさ」


「あ? んじゃどういうことだよ?」


  いやいやいや、ヤッさんと佐渡って付き合ってんだからさ、カッコ悪いところを見せて幻滅させたらマズイでしょうに。


「あっ、佐渡の事か。大丈夫さ、お前が心配する程の事なんてねえよ」


「だといいんだけどな」


 そんな他愛ない話をしつつ、俺達2人は調査を続けた。


「今日はノースとか全然姿が見えないな」


「あぁ、なんだか妙だ」


「妙?」


「この辺りにはどこにでもノース達がいる筈なんだ、それが今日は1匹も見当たらないってのは少し妙だと思わないか?」


「確かに」


 カズの言う通り、今日は全然ノース達を見ない。

 しかも小動物なんかの姿も見ていなかった。


「目撃する時の状況は?」


「いや、普通にノース達がいたって書いてある」


「……何かに怯えて逃げた、とか?」


「……だな、その線が濃厚だろ。ここら一帯のエリアに、それとは別の何かがいるかもな」


 ノースとかここら辺のモンスター達のランクはD。だけどここら辺のモンスターって、皆しつこ過ぎて厄介なんだよな。

 自分より強い相手でも数の暴力で押し寄せてこようとするし、死にかけてるのにそれでも死ぬ間際まで攻撃を止めなければ逃げることもしない。

 そんな奴らが何かに怯えて姿を見せないとすると、そいつはかなりの強敵だ。


「憲明」


「ん?」


「こっちに近づいて来る気配を察知した」


「……数は?」


「1。それなりにデカイのが地中を掘って尚接近中だ」


 相手が地中の中なのに、それでも解るって流石だぜ。


 カズの索敵能力で何かが引っ掛かったのを知り、俺はどっちの方角から来るのか聞いた。


「南からだ。……距離100メートル」


 俺達の存在に気づいてこっちに来てるのか?


「距離80。…………やっぱこっちに向かって来てるな」


「おっしゃ! いっちょ俺達で討伐するとしますか!」


「はっ、俺とお前だけで何かを討伐するのは始めてだな」


「どこぞの不良グループを俺達2人で壊滅させたことはあるけどな」


「何時の話してんだよオメーはよ」


 そんなことを話しつつ、俺達は笑い合って迎え撃つ体制を整えた。


「来るぞ、相手が解り次第合図を出す」


「はいよ!」


「……距離30。出てくるぞ」


 すると地響きと一緒に土埃(つちぼこり)と岩石を飛ばしながら巨体なモンスターが姿を現した。


「ちっ、モグラか」


 っとカズが言うけどただ単にモグラって訳じゃない。

 "ガルマロス"。

 サイみたいな角を持ち、口の中は肉食系特有の鋭い牙が並んでる。

 両手はモグラの手って思えるくらい大きく、爪も鋭いし長い。

 サイ、モグラ、トカゲを合わせた様な姿をした、ゴツゴツとした体のモンスターだ。


「憲明!」


「あいよ!」


 俺は"炎剣・レーヴァテイン"を抜き。頭を狙って高くジャンプしてからの上段斬り。

 炎が噴き上げるけど、やっぱりそこまでダメージが通っていないのが手応えで解った。


「ガルマロスのランクはS。Bランクのガハザドと一緒にするなよ?」


「ちっ! マジかよ!」


 久し振りのSランクモンスターと聞いて、俺はそいつと戦えることが楽しいってゾクゾクした。


「でもやっぱここいらのモンスターじゃレーヴァテインは有効的じゃねえな!」


「確かにここら辺のモンスターは水か氷が有効的だ。だが?」


 そう、だが? だ。


「俺がいるんだから楽勝だろ?」


 そりゃそうだぜ。カズは世界中が恐れる最強最悪のドラゴン様なんだからよ。


「取りあえず蜂の巣になっとくか? コイツ相手だとあまり効果が無いけどよ」


 そう言ってカズは両足の太腿(ふともも)に装備している"ゼイラム"4本に、"ブローニングM2A1重機関銃"、しかも掟破りの四丁重機銃を更に装備した。


 久し振りの超凶悪殲滅装備!!


「へっ! 俺達を獲物にした事を後悔しろ!」


 滅びのバーストストリーーーム!!


 カズはゼイラムを絡め、ガトリング銃みたいにして攻撃を開始した。

 でも。


「ちっ、やっぱ固いな」


 必殺のバーストストリームがガルマロスの腹に当たっても、平然とした顔でこっちを見ていやがった。


「……以外だな、お前のバーストストリームが効かないなんて」


「だからあまり効果は無いけどって言ったろうが」


 瞬間、ガルマロスが反撃にとデカイ爪で攻撃し始めた。


「どうすんだよ?!」


「落ち着け、普通に倒せば良いだけだ。俺達が倒せない相手だと思ってんのか?」


「……まあそりゃそうか」


 ブローニングM2A1重機関銃を仕舞ったカズの横に立ち、俺は昔の感覚が甦った。


 あの時もこんな感じだったな……。


 カズと2人で不良グループを壊滅させた時、俺達は普通に学校から帰ってる途中だった。

 だけど、カズと俺に恨みを持つ連中が集まって、帰ってる途中喧嘩になったんだ。その時も2人して並び、お互い笑い合うとそいつらは鉄パイプやらナイフ、バットを持って襲ってきた。

 そんな物もっていたところでカズの相手が出来ると思ったのがそもそもの間違いだし、俺にまで喧嘩を吹っ掛けてきて返り討ちにしただけなのに、それを逆恨みして襲ってきたのはホント、マジで馬鹿だぜ。


「お前がさっき昔の事を言うから、俺まで思い出しちまったぜ」


「へへっ、んじゃ久しぶりに」


「ククッ、そうだな」


「「喧嘩タイムと行こうか!」」


 肩を並べ、俺達2人はガルマロスを睨んで笑った。


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