表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第6章 成長と進化
194/337

第193話 悩める作戦<御子神side>


「御子神さん!」


 呼ばれて後ろを見ると、そこには何重にも張られた蜘蛛の巣が出来上がっている。


 っはは、それだけ何重にも張られたんじゃ簡単に破られねえだろ。


「よし一樹! 先にダークスと一緒に後退しろ!」


「おっさんは?!」


「あ?! 良いからさっさと行け!」


 へへっ、カズに言って()()()()()()()()()()()()()()


 俺は(ふところ)からある物を取り出すと、それをリアマルドの群れに放り投げた。


「全員伏せろ!」


 瞬間、リアマルド数匹を巻き込んで爆発。

 俺が投げなのはカズお手製の()()()

 あぁちなみにいくらか威力は落としてあるさ。下手に威力が強力だと、洞窟が崩れて俺達まで生き埋めになっちまうからな。

 だから改良されたカズ特性の手榴弾を、ミランダが更に手を加えて威力を落として貰ったのさ。


「洞窟内でそんなの使うなよおっさん!」


「へへっ、わりいわりい」


 一樹って意外と常識あったんだな。


 そんなことをついつい思いつつ、俺も一旦後退した。


「おい一樹、お前とダークスでどれだけ倒した?」


「ざっと6」


「俺もさっきの手榴弾を合わせりゃそれなりか」


 だがリアマルドはまだまだいやがる。

 なんせそんな話をしてる間にリアマルドの群れがあやめの糸に捕まって暴れてるんだからよ。


「んじゃ、経験値稼ぎでもしますかね!」


 俺は"F-2000"で確実にリアマルドの頭を狙って撃つ。一樹は槍、ダークスは牙と爪、岩美はナイフ、クッキーはナイフみたいな針で的確に刺す。

 しかし、桜はニコニコしながらなにもせず、あやめに始末させていた。


 正直何考えてんのか不気味だな。

 それに桜のあの目……、いや、今はやてとくか。


「ダークスを進化させる程の奴じゃねえけど、こうワラワラと出てこられると気持ちわりいな」


 お前が言うなっ。


 前にカズから気持ちわりいって言われて、一樹とダークスはもっとカッコよく進化したいって気持ちなんだろうが、正直言ってどうやったらあのカズが認めるんだかな。


「それにしてもいったいどれだけの数がいやがるんだ?」


「資料によると数十匹単位で群れを作るそうですね」


「おいおい、弾薬がもつか?」


 まっ、俺にしてみりゃ寄生(パラサイト)タイプと殺り合うよか幾分(いくぶん)ましだがよ。


「これじゃダークスに電磁砲(レールガン)を撃たせても、瓦礫の下敷きにされちまうよ」


 一樹の言う通りだ。

 まさか数十匹単位の群れだとは思ってもいなかったぜ。


「おい桜、なんで数十匹単位で群れを作るならそれを先に言わねえんだ?」


「ごめんなさい、楽に終わると思ってたのでつい」


 ついじゃねえよ……。

 しっかしどうするかねぇ……。何度もあやめに頼んで蜘蛛の巣を張ってもらうにしても、あやめの体力がそこまでもつとも限らねえ。

 こう言う厄介な相手なら炎を操る憲明か、チートレベルのカズで一掃出来れば楽なんだがよぉ。

 さてどうする…………、ん?


 その時、俺はある秘策が浮かんだ。


「一旦出るぞ」


「え?! 何でだよおっさん?!」


「秘策を思い付いたからだ。良いから急いで出るぞ」


 そう言って俺は一樹達を連れ、急いで洞窟から出るとあやめに洞窟入り口を蜘蛛の巣で何重にも塞いでもらった。


「よし、これで取りあえずは時間稼ぎ出来るな」


「いったいなにするんだよ?」


「良いか一樹、ダークスに頼んで木を何本か切り倒して集めさせてくれ」


「取りあえず了解」


 今のダークスはただのサソリ型モンスターの頃よりデカくなって力もある。

 木を何本か切り倒すなんざ簡単だ。


 そして俺は切り倒した木を、今度は洞窟に押し込ませた。


「まだ隙間がある分、押し込める太さの木を探してねじ込んでくれ」


「はいよ!」


「本当なら()()()()()()()()()()()()()()()()()


 そう言うと、一樹達は俺が何を考えてるのか気がついてくれた。


「おっさん結構エグいこと思い付くよな」


「生態系を破壊しかねないよね」


 それを言うな。


「だがねえもんはしゃあねえ! 来たら音がする筈だから真ん中の木を今度は引っこ抜いて! ダークスの電磁砲(レールガン)でブッ殺してやれ!」


 その間、取りあえずあやめの糸で入り口を塞いだ木を固め、そこに砂や葉っぱをくっ付けさせた。

 そうすることで糸が此方(こっち)にも付かなくさせるためだ。


 だがどうする……。連中が諦めてまた奥に逃げ込んだら作戦が台無しだ。


「桜、この洞窟は他にも何処(どこ)か繋がってるか知らねえか?」


「ごめんなさい、そこまでの情報は無いです」


 此方(こっち)に来ても、もし抜け道があったらやっぱりご破算になる。

 …………どうする。

 一か八か、抜け道が無い方にかけるか? いや駄目だ、なにも情報がねえのに下手に出来ねえ。

 とにかく情報が足らねえ。

 洞窟の情報がねえのに、下手にやりゃリアマルドの群れを逃がす事になっちまう。そうなりゃ更に被害を拡大させる要因(よういん)に繋がる。

 クソッタレ、どうすりゃいいんだ?!


「なに悩んでんだよおっさん、悩むくらいならやっちまった方が良いじゃねえか」


「簡単に言うけどな、もしもの時の事を考えないでどうするんだ?」


「その時はその時だろ? こっちは異世界なんだぜ? 逃げられた時はギルドに相談すりゃ、冒険者仲間やハンター仲間でリアマルド達を殲滅すりゃ良いだろ?」


「だからって簡単に出来ると思ってるのか?」


 そんな風に一樹と軽い口論をしていると動きがあった。


「御子神さん一樹君、……来るよ」


 耳を澄ませ、(かす)かな音を聞き分けてくれていた桜がそう教えてくれた。


「おっさん!」


「ちっ! 腹ぁ括るしかねえな!」


 真ん中に差し込んでいた木を数本抜き取ると、リアマルド1匹ならなんとか通れる穴が出来上がる。

 すると光が射し込んだ所へリアマルド達が集まり、大群となって押し寄せてきやがった。


「ダークス!」


 一樹の合図に合わせ、穴から這い出てこようとしているリアマルドに対してダークスが電磁砲(レールガン)を放つ。 


「良いぞ! その調子でどんどん撃てダークス!」


 だがダークスの魔力が底を突いちまったら大群となって出てきやがる。


「おい一樹! ダークスが後数発撃ったら少し休ませろ! その間俺がなんとかする!」


「了解!」


 とは言っても俺も弾薬が無くなっちまったら後は接近戦しか方法が無くなる。

 さて……、マジでどうしたもんだか……、ん?


 そこで俺の目にあるものが写った。


 へっ、そういやぁコレがあったな。


「一樹!」


「了解! ダークス! 少し休憩だ!」


「んじゃ(しばら)く休んでろダークス!」


 そう言って俺はFー2000を構え、穴から這い出ようとしてくるリアマルド達を撃ちまくった。


 ちっ、仲間が死んでもお構いなしに出ようとしやがって。


 リアマルド達は死んだ仲間の亡骸を洞窟内に戻しつつ、穴から出ようとしやがる。

 だから知性の欠片も無いって感じがしたな。


「っへへっ、……んじゃな」


 俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「燃えちまいな」


 そしてまたFー2000を構えて撃ちまくる。


「オラオラオラオラ! 火に(あぶ)られながら一酸化炭素中毒でいっちまいな!」


「警察が言うセリフかよ?!」


 木を燃やしたところでそこまで燃える事はねえ。理由は切ったばかりの木ってのは本来、水分が抜けてねえ生木(なまき)であって、燃やすなら水分を十分抜いて乾かした木を使う。

 だが燃やせる事が出来たんだ、後やらなきゃならねえのは。


「一樹! お前水を操れたよな?! この木から水分だけ抜くことは出来るか?!」


「やったことねえけど……、やってみる!」


 よし、仮に出来なくとも、この状況でなんとか数を減らすだけ減らしてから内部に再突入し、殲滅(せんめつ)してやる。

 ……まてよ? 確か生木(なまき)から水分を抜いたら……。


「おっさん! 水分抜くことが出来たぜ?!」


 一樹は両手を出し、生木(なまき)からそれなりの水を抜いていた。


「まずい!」


 その時にはもう遅かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ