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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第6章 成長と進化
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第192話 御子神と桜の攻防<御子神side>


 カズと憲明達が出掛けて3日目。

 俺はその日、別の連中とパーティーを組んで出掛けていた。


「俺、これでも警察なんだからよぉ、あんまし遠出することが出来ねえんだけど?」


「なに言ってんですか! 御子神さん達は特別な許可を貰って警視庁捜査第一課から、"警視庁特地捜査第零課"として来てるんじゃないですか!」


 と、岩美って少女に俺は怒られながら歩いていた……。

 そう、俺達捜査第一課の中で、俺とおやっさん他数人がその特地捜査班として来てる訳なんだが……、気づけばカズが率いるチーム"夜空"のメンバーにも加わっちまっている。

 んでだ。今回のメンバーとして俺と岩美って少女の他に、一樹と辰巳官房長官の御息女であらせられる? 桜お嬢様まで加わっておらっしゃる訳だドチクショウめ。

 んで? なんで俺がその3人とパーティーを組んで依頼を受けたのかって言うとだ。

 ミルクに暇してるなら依頼を受けたらどうだって言われてこうなっちまった訳だコノヤロォ。

 くそっ、俺達警察は別に暇してる訳じゃねえっつぅんだよ。

 なにか? 警察を見れば全員暇してるとでも思われてんのか? そうなのか? 別に暇してる訳じゃねえっつぅんだボケナスめ。

 俺達には俺達の仕事があるっつぅんだ。

 だいたいなんでまた官房長官の娘と一緒に依頼を受けに出なきゃならねえんだよ、えぇ?

 おかしいだろ。普通ならもっとレベルの高い奴でチームを組んで出るだろ。

 なんでまだレベルの低い俺と岩美をチームに入れるかなぁ。もっと考えて編成すべきだろ。違うか?


「……ずっと黙ってますけど、なにか御不満でしたか?」


「あっ、いえいえそんな事はありませんよ桜お嬢様、っはは」


「そんな話し方しないで、普通に桜って呼んでください御子神刑事」


「あぁ……、はい………、しかしですね」


 すると俺は桜にこっぴどく叱られる事になった。

 桜としては父親が官房長官だとしても、カズ達みたいに普通に接して欲しいらしく、普通に話をして欲しいんだと。

 だから俺はそれから普通に接するようにした。

 その前に何が悲しくて俺が叱られなきゃならねえんだ?


「んじゃまぁ、桜」


「はい、なんでしょう?」


 ニコッと微笑む桜の顔が眩しいぜ。


「あぁ、なんだ、その……、なんで俺達4人で編成したんだ?」


 俺はそう質問した。

 何故ならそのチーム編成をしたのが桜自身だったからだ。


「そうですね。それは私がもっと御子神刑事や岩美さんと仲を深めたいと思ったからです」


「んじゃ一樹は?」


「一樹君は昔から知ってますし、御子神刑事とも昔からのお知り合いなんですよね? それに岩美さんは"クレッセント・ビー"の"クッキー"をパートナーにしてますし、私と一樹君も昆虫系のパートナーを持ってますので」


 俺はパートナー持ってないんですけどね?!

 それよりも、なんでハチ型モンスターに"クッキー"って名前を付けるんだよ?


「ですから今回、御子神刑事にもなにかパートナーに出来る子と運命の出会いがあればと思って編成してみました」


 屈託(くったく)の無い笑みでそんな事を言われると、何も言い返せねえ……。


「……でもよ、俺は一応刑事(デカ)だしパートナーは別に」


「警察だろうとなんだろうと、パートナーがいるのといないでは此方(こちら)での動きも変わってきますよ?」


「確かにそうですねえ……」


 ちくしょう、なんにも言い返せねえのが腹立つぜまったく。


「ちなみに御子神刑事はパートナーにするならどんな子が良いですか?」


「いきなりそう言われても想像できませんねえ、はいぃ……」


 思わずニコッとした顔で返しちまった。


「でしたら御子神刑事も昆虫系になさってはどうでしょう?」


「うん、昆虫とかはちょっと御遠慮させて頂きたいかなあと」


 なにサラッと俺まで昆虫仲間にしようとしてんのこの子は?! 怖いって!


「私はクモ、一樹君はサソリ、と言うより最早別の姿ですけど、岩美さんはハチですし。御子神刑事は思いきってカマキリにしたら面白いと思うんですが」


 うん、俺の話を聞いていたのかなこの子は?


「うふふ」


「あはは」


「うふふふふふふ」

「あっははははは」


 誰か……、この状況から助けてくれ……、それより誰かこの子を止めてくれ!


「サーちゃんサーちゃん、おっさん困ってるからそろそろやめてあげましょうよ。ね?」


 そこで空気を読んだのか、一樹が俺に助け船を出してくれた。


「おっさんだって好みがあるしさ、あんましイジメてあげないでよ」


 そうだぞ! おっさんをイジメちゃいかん!


「あれ? そうなの? てっきり私はわざとそんな風に(せっ)した方が良いのかと思っちゃった」


 ……泣くぞ俺。


「……あぁもぅ、俺が悪かったよ。だから桜、お前も普通に(せっ)してくれや」


 そう言うと桜はキョトンとした顔になったと思うと、ニコッとした顔で「は~い」って応えた。


「なんかそんな話し方されると狂わされてる気分になって気持ちわりいんだよな」


「えへへ、実は私もです」


 まったく……。


 なんだか恥ずかしくなった俺は頭を()いた。


 それから(しばら)く歩くと、今回の依頼となる場所に到着した。

 場所はゼオルクから南西に進んだ山の中腹。

 そこには大きく横穴になった洞窟があり、今回の討伐対象となるモンスターが潜んでいるとされる場所だ。

 討伐対象は"リアマルド"って名前の、コオロギとクモを足して割った様な姿をした昆虫型モンスター。

 非常に獰猛(どうもう)で、ここ最近近くの牧場2軒がそのリアマルドってモンスターのせいで牛が全滅させられたらしい。

 被害数は牛50頭近く。

 他にもリアマルドの仕業じゃねえかって事件が多発してるようだ。


「まっ、どんなモンスターだろうが俺達で討伐すっぞ」


「うん!」

「了解おっさん」

「は~い!」


 ……あれ? そいやぁ……、岩美って武器……、装備してるよな……?


 そう思って岩美を見ると、……何も装備していなかった。


「お前なんで何も装備してない訳?!」


「え?! だって私、まだどんな武器が適正あるか解らないからって、色々試してみろって夜城先輩に言われて……」


 あの馬鹿……。


 俺は両目を手で(おお)って顔を空に向けた。


「はぁ……、仕方ない。無いもんはしゃあねえから岩美は何かサポート出来る事をしてくれ」


「はっ、はい!」


 帰ってきたら叱ってやるからなあのヤロ~。


 そんな状況の中、俺達はライトやランプを使って洞窟内へと足を踏み入れた。

 中はジメジメするし暗くてなんだか気持ち悪い。

 途中、小さいコウモリみてえなモンスターの群れと遭遇したが、そのモンスター達は何もすることなく何処かへ飛び去る。


 ……クセえな。


 コウモリ型モンスターの糞尿の臭いなのかなんの臭いなのか知らねえが、なんだか生臭い臭いが強い。


「御子神さん」


「あぁ、こりゃだいぶちけえな」


 桜も俺と同じなのか、リアマルドが近くまでいるって思ってるようだ。


 さぁて、出てくるなら出てきやがれ。


 すると奥から不穏な音が聞こえ始めてきたんで、俺は体制を整えておけって声をかけた。


<キシャァ!>


「出やがったな!」


 体調約3メートルのリアマルドが奥からゾロゾロと出てきやがる。

 その姿が気色わりいんだが、それより俺の後ろにいるダークスのほうがもっと気色わりいからまだマシっちゃマシだった。


<ハアァァ!>


 んでだ、そのダークスがクモみたいな鋭い足でリアマルドの群れに攻撃しながら突撃。

 俺は"F-2000"って銃でダークスの援護をしながら周りに指示を出した。


「一樹! お前の槍で出来るだけ虫共を近寄らせるなよ?!」


「はいよ!」


「桜! 俺と一樹! それとダークスが通れるだけの抜け道を用意しつつ、"あやめ"に蜘蛛の巣を張ってトラップを仕掛けとけ!」


「はい!」


 桜のパートナー、"ファントム・スパイダー"の"あやめ"で俺達の後ろに蜘蛛の巣を張ってもらう。

 そうすりゃまだ楽に討伐が出来る筈だからな。


「岩美! お前ナイフぐらいは持ってるよな?! あやめのトラップに引っ掛かったところをクッキーと一緒に刺せ!」


「は! はい!」


 岩美とクッキーにそうしてもらいつつ、抜けてきそうな奴を一樹達に任せるとして、俺は掩護射撃する予定だ。


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