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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第6章 成長と進化
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第188話 邪魔者


 ロゼリアがカズの下に付く事になった次の日。

 早速ロゼリアはヒスイを優秀な執事(バトラー)にするために動き出した。


「遅いですよ? 優秀な執事(バトラー)を目指すのであれば、陛下がお望みの事を直ぐ理解しないでどうするのですか?」


「も、申し訳御座いません」


「謝る前に直ぐ行動してください」


「はい!」


 ……マジか。


 執事(バトラー)としてカズの側に居ることになったロゼリアが、正直怖い……。


「なぁロゼリア、俺を陛下って呼ばないでくれねえか?」


「なにを(おっしゃ)られるのですか? 過去現在、どんな形であろうと陛下は陛下に御座います。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」


「すいません……」


 嘘だろオイッ! あのカズを謝らせた?!


 過去に何があったのか全然知らねえけど、あのカズが青ざめた顔でロゼリアに謝ったから衝撃だった。


「分かれば宜しいのです。私を再び執事(バトラー)として任命されたのであれば、いくら陛下と言えど容赦致しませんからね?」


「……はい」


 怖すぎるだろ……。


「な、なぁカズ。昔、何があったんだよ?」


「…………聞くな」


「あ……、はい」


 すると今度は。


「リーズさん」


「はいー!」


 何故かリーズが標的にされて、くどくどとなんだか怒られ始めた。


「ギルドの出張支部なのは宜しいのですが、少しはみ出ていませんか? ここから、ここまでの筈では?」


「ご、ごめんニャさい」


「それと出張支部と言いましても、少しは綺麗にしませんか? 見た目的に綺麗にしないでどうなさるのですか? これで本当に選ばれた方々を迎えられるとお思いですか?」


 こまっけぇ……。


「ここは陛下の御部屋でもあるのですよ? その陛下から間借りしていると言うのにそれで良いと思われていてはこちらが困ります」


「はいぃ……」


「大至急それ相応にして頂けますね?」


「た、只今!」


 そこから先、リーズは直ぐに動くと片付けを始めた。


 なんか、ロゼリアが(しゅうとめ)に見えてきた……。

 仮面付けてるから男なのか女なのか知らないけど……。


「ん?」


 リーズが片付けをしていると、ロゼリアがなにかのクエストを取ってカズの所に持ってきた。


「陛下、宜しいでしょうか?」


 持ってきたのは【 古城調査 】のクエスト依頼。


「陛下、この"マルギア城"の事なのですが」


「マルギア城?」


「はい。御存知でないのであれば御説明したいのですが」


「頼む」


「はっ。マルギア城とは今から500年程前に滅んだ国の城です。かつては繁栄を極めた国でしたがある日を境にして、一夜で滅びました」


「滅んだ理由は?」


「"霧の王・アラフェル=メレフ"によって滅ぼされました」


 ん? アラフェル=メレフ? 確か……、あのベリーもそうだったよな?

 あれ? 今思えばベリーって名前が2匹いるんだけど?


 そこで俺はようやく思い出した。

 アラフェル=メレフのベリーと、ヴェロキラプトルのベリーで名前が被ってる事に。

 カズも思い出したのか、「あ」って言うと俺と目が合った。


「しまったな……、ベリーの名前が被っちまってる」


「うん、俺も今思い出した。どうするよカズ?」


「……いったん保留で」


 名前が被ってると、いざって時に「どっち?」ってなるからな。


「でも今さらだけどよぉ、まさかあの時のベリーがSSランク指定の、危険なモンスターだったなんてな……」


「悪かったな。あの時はやっぱり教える訳にもいかなかったからよ」


「いやお前の立場とか分かるから仕方ねえよ。んで? あのベリーは元気にしてるのか?」


「勿論元気にしてるってよ」


「そっか、そりゃよかった」


 ベリーが元気にしてるって聞いて、俺はまたベリーと遊びたいなって気持ちになった。

 まぁ、遊ぶにしても今のベリーはかなりデカくなってるからまともに遊べる事が出来ねえけどよ。


「それで陛下。如何でしょう、マルギア城にはかなりの財宝が眠っていると御聞きしたことが御座います。その財宝を見つけることが出来れば、かなり(うるお)うと思うのですが」


「ほぅ、財宝ねぇ……。確かにそれがあれば美味しい依頼だ。んで? なんでまたその古城調査の依頼なんてもんが出たんだ?」


「依頼内容としてはCランク。なんでも、最近になって未確認のモンスターを目撃したらしく、その調査として依頼が出たようです」


 ほほう? 未確認生物ですか。久し振りの未確認生物なら面白くなりそうだ。

 前はバウと出会えたことだし、今回はどんなモンスターなんだろう。


 そう思うとワクワクして直ぐにでも行きたくなっていた。


「人数制限は?」


「五人となっております」


「……受けよう」


(かしこ)まりました」


 よっしゃ!


「んじゃロゼリアに受注しておいてもらうとしてだ。五人ならチーム編成をしなきゃならねえな。さて、誰にしようか?」


「カズ! 俺を入れてくれ!」


「クククッ、わあってるって憲明、そう言うと思ってお前は入れるつもりだ」


「っしゃ! サンキューカズ!」


 その後カズは俺の他に誰を入れるのかを考え、最終的にメンバーはカズ、俺、イリス、ヤッさん、佐渡の五人に決まった。


「明日の朝5時集合、5時半には出発する。1秒でも寝坊して来てみろ、別の奴をメンバーに組み込んで置いていくから覚悟しておけ。目的地はゼオルクから車で1週間掛かる場所だ、今のうちに準備したら早く寝ておくんだな」


 そう言ってカズはロゼリアとヒスイを連れて何処かに行っちまった。


 そんなに時間が掛かるなら色々と準備しなきゃな。

 さ~てと、どうすっかな~。


「よう憲明、俺と一緒に準備しようぜ」


「お、おう」


 イリスに誘われて買い物に出る事にした。


 まず準備しなきゃなんねえのは下着だろ? それから服、それからぁ……。


 とまぁ考えながら街に出ると、ヤッさん達とバッタリ会った。


「なんだよヤッさん、ここで買い物か?」


「うん、憲明達も?」


「イリスがここなら何でも揃ってるって言うからさ」


 ってことでやって来たのは都内某所のデパート。

 そこは確かに何でも安く手に入る場所だ。


 まっ、ヤッさんと佐渡もせっかくのデートみてえなもんだし、二人っきりにしてやるか。


 そう思って俺はイリスと中へ入ろうとすると。


「よかったら憲明達も一緒に行動しないか?」


 っと、ヤッさんが言ってきた。


 馬鹿かお前は?! せっかく二人っきりになれたんだからそのままデートして楽しめば良いものを!

 ほら~! 佐渡が「なんで?」って目でお前を見てるじゃねえかよ!


「ん? どうしたの? 佐渡さん」


「あっ、いや、別に……」


 空気を読め空気を~~!!


 俺はなんだか泣きたくなっていた。

 だってそうだろ? 佐渡にしてみれば二人っきりになれるチャンスだし、付き合うことになってからまともにデートもしてない筈なんだ。

 それは流石のイリスも気づいていたらしく。


「……へたれ」


 ボソッとそんな事を口にしてそれが聞こえたのか佐渡が、うんうんって何度も(うなず)いていた。


 くっ! 仕方ない! ここは俺達2人が離れることにしよう!


「(賛成だ)」


 俺とイリスは目と目で話、その場から離れることにした。


「悪いヤッさん、俺、ちょっと別なところに行きたくなったからそっちに行くよ」


「え? そうなの?」


 これで二人っきりになれるだろ佐渡!


「(ありがとう)」


 俺達はお互い、ヤッさんが見えないところで親指を立て合った。

 しかしここで!


「あっ、んじゃ僕達も一緒に行ってみる?」


 なんでだよ!! なんでそうなるんだよ!!

 お前はマジで馬鹿なのか?!! カズがいたら絶対ブチ殺し案件だぞおい!!

 ほら~!! 佐渡が怒ってお前を睨んでるじゃねえか!!


「や、山本君、あんまり2人の邪魔をしちゃ悪いから私達は私達で買い物しようよ。ね?」


 なんだかすいません!!


「あっ、それもそうだね」


 こ、これでなんとか ーー


「んじゃ後で落ち合う?」


 だ~か~ら~!! なんでそっちに持っていきてえんだよオメーはよーーッ!!


「おいおい、こっちの事は気にしねえでお前らはお前らの買い物をしろよ」


 そうだぞヤッさん! イリスの言う通りだぞ!


「そっかぁ、それもそうだね」


 解ってくれたかヤッさん。


「でもイリスがいつも長期任務に出る時に何を用意してるのかも気になるよね?」


 なんでそうなるんだよチキショー!!

 佐渡が泣きそうな顔でプルプル震えてるじゃねーか!!


 するとそこでイリスが動いた。


「おいゴルァ、俺が何を買おうが俺の勝手だるぉが、あ? 違うか? あんまりしつこいとブチのめすぞテメェ」


「ご、ごめんなさい!」


 続けてイリスはヤッさんの耳に顔を近付けると、小声で何かを話した。


「テメェ俺の邪魔すんじゃねえよ、あ? 邪魔するならマジで(どたま)ぁ撃ち抜くぞゴルァ」


「は、はい!」


 ん? 何を言って脅してるのかな?


 そんな事がありつつ、俺達はその場で別れてそれぞれ買い物をして戻る事にした。


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