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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第6章 成長と進化
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第178話 ハロウィンナイト2


「そう言うことですか……」


「あぁ……、そう言うことだ。勿論、コイツらの為に協力してくれるな?」


「はい、勿論です。つまり、この方達がお兄様達を止めるための」


「その通り」


「でも宜しいんですか? この方達はそこまでの御覚悟があると?」


「話せる事全てを話し、コイツらは受け入れた。その為に訓練しているんだ」


 あの、なんの話をしてるか解らないんですけど?


「コイツら全員に、お前の加護を与えてやってくれねえか?」


 むむむっ! 加護ですか?!


「……分かりました」


 (しばら)く考えた後、エルピスは了承してくれた。


「んじゃ、お前の"光竜王の加護"を頼む」


「はい」


 エルピスが俺達に手をかざすと、内側から暖かい力が(みなぎ)ってくるし、なんだか攻撃力とかそう言ったものがアップしたように感じた。

 1人を除いては。


「おかしいです。そこにいる方に、私の加護が付けられません」


 それは、美羽だった……。


「美羽、お前のステータスカードを出せ」


「うん」


 カズに言われて出して見せると、そこには別の加護が加わっていた事が判明した。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 夜明 美羽 16歳(女)

 種族名 ヒューマン

 Lv.64   ランクD

 体力580  魔力430

 攻撃730  防御102

 耐性120  敏捷1280  

 運80

 スキル

  魅了 鑑定 雷魔法 闇魔法 双剣術 銃術 (しゅう)術 思考加速

 ユニークスキル

  未来視 歌姫 

 アルティメットスキル

  歌魔法 絶竜王之寵愛(ちょうあい)


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「"絶竜王の寵愛(ちょうあい)"か……。俺と付き合う時間が長いから自然と手に入れたんだろ。いつ頃からなのか解るか?」


「気づいたのは学園祭の前から」


「そうだったのか……」


 しかもアルティメットスキルに含まれてる。

 まぁ、王であり神として君臨する存在でもあるからな。


「ちなみに"絶竜王之寵愛(ちょうあい)"ってどんな恩恵(おんけい)があるんだ?」


「ちょっとまだ詳しく調べてないから解んない……」


「そうか……」


 そんな会話をしていると、エルピスがどんな恩恵(おんけい)があるのか教えてくれた。


「"絶竜王之寵愛(ちょうあい)"。正直、それは欲しくても決して手に入らない幻とも言えるスキルになります」


「ま、幻と来ましたか……」


「加護のスキルは誰にでも与えられます。しかし、寵愛(ちょうあい)となると話は別になります。寵愛(ちょうあい)は、お兄様が心から愛した者のみに与えられるものであり、その時間が長ければ長い程、絆が深ければ深い程、その効果は絶大となるスキルになります。何故なら、貴女が望むのであればお兄様のスキルを1つ、お兄様から譲って貰えるのですから」


 それはデカイ!! デカ過ぎる!!


凶星十三星座(ゾディアック)の中にはお兄様と同じスキルを持つ者がいます。しかしそれはお兄様から()()()()()()()()であり、決して譲って貰った訳ではありません。つまり、その力を譲って貰うと言うことは、お兄様からそのスキルの力が無くなるのと言うことになります」


 反則レベルでヤバいぞそれ?!


「ただし、お兄様がどのようなスキルを持っているのか、詳しく知っていなければなりません。中には望んでも手に入らない場合もあります。それだけお兄様との絆が重要になると言えますね」


 そこで美羽は考え込んだ。

 カズがどんなスキルを持っているのか、その詳細な事はここにいる全員が知らない。かと言ってカズが素直に教えてくれる筈も無いから、聞いたらきっと、自分が今まで見てきた事を考えろって言う筈だ。

 そして美羽が望んだスキルは。


「私……、カズが持ってる"八岐大蛇(ヤマタノオロチ)"が欲しい」


「「 ?!! 」」


 それには、全員目を見開いて驚いた。

 よりによって、なんでそこで八岐大蛇(ヤマタノオロチ)が出てきたんだって。アレはスキルとかそんな(たぐ)いじゃなくモンスター、怪物、化け物だ。

 八岐大蛇(ヤマタノオロチ)との繋がりを手に入れてどうするつもりなのか理解出来なかった。


「少なくともそれでカズの脅威(きょうい)が減るよね? 八岐大蛇(ヤマタノオロチ)はカズの分身。だったら私がそれを受け継げば、いずれ来るかもしれないカズとの戦いに有利になるかも知れない」


「無茶だぜ美羽……、アレは俺ですら解るぐれえの化け物だぜ? そんな生易しい存在じゃないってのはお前がカズの側にいて一番理解してんじゃねえのかよ?」


「ノリちゃんが何を言いたいのか十分解る。だけど考えてみてよ。カズを止めるなら同等の力が必要なんだよ?」


「いや……解るけどよ、だからってなんでそれなんだよ……、制御出来なきゃお前が封印されることになるんだぞ? 解ってんのか? カズですら制御出来ずに暴走したことを忘れたのか?」


 そこまで言うと、美羽は黙って(うつむ)いた。

 流石にそれはして欲しくねぇ……。カズですら制御出来ずに暴走したんだ、美羽だったら絶対に暴走するに決まってる。

 だからそんなイチかバチかの博打(ばくち)は絶対にして欲しくなかった。


「憲明の言う通りだ。それは流石の俺でも絶対に渡せねえぞ美羽。ましてや解ってんだろ? お前自信がよ? ……アレは俺の分身だぞ? 例えそれがスキルで存在していてでも、俺だから持ってるんであって、他の誰かが持てるとか使えるとか、そんな筈がねえだろ」


 だ、だよな……、あってもそれはカズだからこそ唯一無二なんだし……。


「他のならなら良いけど流石にそれは無いぞ美羽」


「今……、他のなら良いって、……言ったね?」


「ん? ……ちぃっ、そう言うことかよ!」


 すると美羽は上手く成功したって感じで嬉しいのか、悪い微笑みをカズに見せると、カズはやられたって顔で何かを察した。


「それなら"竜種之種"のスキルが欲しい!」


 その瞬間、美羽のギルドカードに書かれていた"絶竜王之寵愛(ちょうあい)"が消えると、そこに"竜種之種"ってのが写し出された。


「ノリちゃん達はまだ"竜種之種"ってスキルがどんなのか知らないから教えてあげる。"竜種之種"って言うのは、文字通り()()()()()()()()なんだよ」


「なっ?! マジでか?!」


「しかも、その"竜種之種"が発芽すると、自分が望んだ竜の力を手に入れられる。そうだったよね? カズ?」


 美羽がしてやったって顔でカズに聞くと、舌打ちしてそうだって答えた。


「人から竜へ進化するか、あるいは竜の力を手に入れるか。しかもこのスキルはカズから貰ったスキル。ってことは、他の竜とは別格の力が宿っているってことでもあるよね? つまり、私はカズと同じレベルのスキルを使うことが出来る」


「その通りだ……、だが勘違いすんなよ? それをコントロールしなきゃ自滅するぞそれは。俺がどうしてそれを持ってるのか、それを前にお前だけに話した事がある通りだ」


 どんな話を聞いたんだ?


 そう思っていると、美羽がカズから聞いた話を俺達にしてくれた。

 カズは冥竜の生まれ変わりだから持ってるんじゃなく、それとは別のルートで手に入れていた。

 きっかけになったのが美羽のパートナー、銀月の親から譲り受けたんだとか。

 その親は、元々冥竜に可愛がられていたドラゴンで、数多くの功績が認められて冥竜の力、"創造"スキルで手に入れたスキルだったらしい。だけどそのスキルを使うのが勿体無いから大切に持っていた力であり、死んだ時は思い出として一緒に(ほうむ)ろうとしていた。

 だけどある日、カズと銀月の親は出会ってしまい、不思議とその日の内から仲が良くなった。

 でも、その親の命は残り(わず)かしか残された時間が無かった。

 死ぬならカズに殺されてやろう。

 そう思って、銀月の親はカズに命を差し出した。

 カズはその日、銀月の親から卵と、命と亡骸、そしてスキルを貰った。……だけど同時に、カズは友達(ダチ)を失った。


 悲しい話だな。

 元々違った関係だったのに、生まれ変わったカズともう一度出会ってそこに友情が生まれたって言うのに。


「それにさ、私は銀月をパートナーに出来た。だからこのスキルは私が持つべくして、巡り巡ってようやく出会えたんだなって思うの。銀月は私のパートナーであり。私と、カズの子供としてね。だって、そうでしょ? カズが大切に暖めたから孵化(ふか)して私と出会えたし、その私が親代わりでもあるんだからさ」


「ものは言いようだな」


「違う?」


「……そうだな、確かに銀月は俺にとって子供みてえなもんだしな……。()()()()()()()()()()()()()()……」


「……うんっ!」


 カズ、……(ゆう)を出すのは流石に卑怯だぞ。


 美羽は泣きそうになったけどどうにか我慢して、微笑んで返事した。


「でもこれで、私はアルティメットスキルを2つ、手に入れた事になるね」


 いや、それはマジでデカイって!


「"絶竜王之寵愛(ちょうあい)"は別にステータスが上がるとかって無かったけど、消えて欲しくなかったな。まぁ、それはきっとまたカズと出来るだけ一緒にいればまた手に入るかもだし」


「いえ……、上手く使えばレベルが上がる毎に全ステータスどころか全てのスキルですらランクアップする筈なんですが……」


「……え?」


 はい残念! 美羽さん残念! もう残念としか言いようがないよお前!


「例えばですが、体力が10だとしまして、レベルが1でも上がれば500に成る程だったんですが……」


 エルピスもなんかそこから先は申し訳なさそうにして目を反らし始めると黙った。


 でもそれだけとんでもないスキルだったんだな……。

 だから美羽の俊敏があれだけ上がってたのかも知んないな。


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