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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第6章 成長と進化
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第176話 ハロウィン2


 ダークスは頑張ってバーサーク・センチビートを食べて、ファントム・スパイダーの卵も食べたことで進化した。

 進化したその日、ダークスが脱皮をし始めると、中で白い状態のダークスの体が分解と構築を繰り返し、段々とデカくなって俺達より少し成長。

 その姿を簡単に説明すると、卵から産まれたエイリアンみたいな姿に、尻尾の部分がムカデ。そんな姿にカニみたいな馬鹿デカイハサミ。そして(あご)が少し短いバーサーク・センチビートみたいな頭を持っていた。

 ハッキリ言って……キモい!!

 でも一樹はそんなダークスに「まだまだ不十分! もっとカッコよくなれ!」って言うと、ダークスは素直に(うなず)く。だがしかし、そこにカズが来ると。


「第2形態ってとこか? それにしてもキモいな」


 ハッキリ言い過ぎだろっ!


 ってハッキリ言うから一樹とダークスは落ち込んで、更にカッコよくなるために頑張ることを心に誓った。


 負けるな、一樹! ダークス!


 ヤッさんのトッカーも少し進化した。

 トッカーは元々、岩みたいなゴツゴツとした甲羅(こうら)を持つリクガメの様なモンスター、ロックタートルなんだけどさ。体全体にヒビが入ると、そこから今までとは違う姿になった。

 後ろ足がどっしりとした二足歩行になって、ゴツゴツした状態からどこかトゲトゲしい甲羅(こうら)を持った、"ステゴウロス"って恐竜みたいな姿にだ。

 それを見た瞬間、絶対にカズが何かしたなって思っていたら案の定、カズはどんなルートを使ったのか、南米チリからその"ステゴウロス"って恐竜の化石を入手するとトッカーに与えたんだとか。

 それを食べたことでトッカーの遺伝子が"進化"のスキルで変異。その他にも、ヤッさんとの特訓等のお陰でそんな姿になった。


 うん、ガメラかな?


 "ステゴウロス"って恐竜の尻尾はシダの葉っぱみたいな形をした奇妙な形をしていて、固い甲殻で(おお)われているから一つ一つがまるで先の尖った(なた)って感じがする。


 でもこれはこれでありじゃね?


 そこでまたカズが現れると。


「まんまじゃねえか。お前もダークスみたいにもっと考えて餌をやれよ。じゃなきゃせっかくの進化が無駄になんだろうがボケが」


 と言ってヤッさんの心をへし折った。


 理不尽過ぎる……。


 そこでカズは、今度は手を鍛えろとトッカーにアドバイスしたり、こそこそとなにやらまたよからぬことを言ってる気がしてならなかった。


 ー 成長とは進化、進化は成長 ー


 それがカズのモットー。

 元々ダークスやトッカーは進化しない種だけど、カズのお陰で"進化"スキルを手に入れたんだし、やっぱカッコよく進化して欲しいもんだぜ。

 他にも進化しないけど進化出来る奴がいる。それは沙耶の"カーバンクル"、ピノだ。

 ピノは沙耶と一緒で呑気な性格だからなのか、一向に進化しようとしない。

 だから。


「おいピノ、お前にも"進化"スキルを与えたんだぞ? なんで進化しようとしねえんだ? あ? テメェそんなんだと周りにどんどん置いていかれて弱いままの状態になるぞ? それでいいのか? あ? それとも自信がねえのかよ? だったら一生弱いリスでいろや雑魚が」


 なにもそこまで言わなくてもよくないか?!


 当然ピノはショックを受けて動かなくなると泣き出して、沙耶に助けて貰おうと走った。


「言いすぎじゃないかな~? ピノだって頑張って考えてるんだよ~?」


「はっ、頑張ってるだと? どこがだ? 頑張ってるならそれ相応の目に見える成果ってもんがあるんじゃねえのか? あ? 第一、お前はピノを甘やかしすぎなんだよボケが。(いま)だに防御魔法しか出来てねえじゃねえか。ましてやその防御魔法が強化されてるかと思えばなんの事は無い、紙切れ同然のレベルで来た頃となんら変わっちゃいねえじゃねえか、あ? 頑張ってるなら証拠を出せや」


 すると沙耶は白目になって固まった……。

 更にカズの猛攻は続き、沙耶とピノは遂に燃え尽きて真っ白になっちまった。


 ……ドンマイ!


 その後に、カズが目をつけたのはクロだった。


 ソラはなんか悪魔って感じに進化? それともただの成長? 知らねーけどクロの事で絶対何か言われる……かな?


「クロ、お前は本当にだいぶデカくなったな。……頭からケツまで約90、尻尾で40ってとこか。角もだいぶ伸びてきてそれなりだし、体型もなんら問題がねえみてえだな。うん、良い感じに育ててるじゃねえか。この調子で育てろ、後は何かの切っ掛けで進化する筈だからそれまで待ってりゃ良い」


 よ、よかったぁ……。


 カズに誉められて、俺とクロは嬉しくなっていた。

 最後は美羽のアクアだ。

 アクアもだいぶデカくなって、全長2メートルは軽く越える大きさになっていた。


「アクアもクロと一緒でまだ子供だ。だがお前がちゃんと面倒を見てるから成長も早いし、少しずつ力をつけてきているだろ。進化に関してもクロ同様何かの切っ掛けで進化する筈だと思うが、そこはステラや一樹のダークス、ヤッさんのトッカーみたいに何かを餌で与えたら変化するとは思う。……試しに俺が取って置きのを持ってるからやろうか?」


「やったっ! 欲しい! ね?! アクアも今より強くなりたいもんね?!」


<キュア!>


「よしよし、んじゃ今持ってきてやるから待ってろアクア」


 そうしてカズが一旦離れてから10分後に戻ってきた。


「んじゃこれやるよ。これは"シャチ"の背ビレだ」


 まさかのシャチ!


「それと、これは"モンスターX"の化石だ」


 モンスターX?!


 シャチと、なんでまモンスターXの化石を持ってんだよって話だ。

 でも、聞いたらまたキリがねえから誰もがスルーした……。


「ありがとうカズ! んじゃアクア、進化出来るように食べちゃいな」


<キュア!>


 さらっと食わすなよお前も……。


 でもその2種類を食わしたことで、アクアがどう進化するのかってのは楽しみでもある。

 それにしても、海のギャングって呼ばれる"シャチ"。その背ビレを食わしたんだから背ビレが生えてくるのか? ってことも考えた。

 でも、それじゃなんか面白くない感じもする。


 それでもシャチかぁ……、それはそれでノワールのDNAに組み込まれてたら良かったのになぁ……。


 ノワールはカズが色々なDNAを組み込んだハイブリッド恐竜だけど、何故か"進化"スキルがある。

 いつの間にそんなスキルを? って感じだけど、それでも俺は満足していたことは間違いない。


「あっ! ちょっとノワール! それはアクアのだからアンタが食べちゃ駄目でしょ?!」


 ……あれ? フラグ回収しちまったかな?


 何故かノワールがアクアと一緒に、シャチの背ビレを食べていた。


「悪い美羽……、俺が目を離していたから……」


「もう! せっかくカズがアクアにってくれたのに」


 ほんと、ごめん……。


 でもよくよく考えたらなんか、周りが恐竜に侵食されていることに気がついた。

 まず、ノワールはハイブリッド恐竜、アクアはモササウルス、トッカーはステゴウロスだろ?

 だから何気なくそれが楽しみの1つになりつつあった。


「んで、ヤッさん。これ、トッカーに食わせてやれ」


 そう言ってカズがヤッさんに渡したのは。


「"(クジラ)"の肉」


「だからなんでそんなのもってんだよ?!」


 俺は思わず声に出た。


「あ? (クジラ)の肉は時折スーパーに売ってるぞ?」


 んじゃシャチは?! モンスターXは?!


 ってなったけど、やっぱり絶対聞いたらいけない気がしてやめた……。


 それにしても、なんでトッカーに(クジラ)? わからん……、カズが何を考えてるか、さっぱりわからん!


 ちなみにカズは俺達にも(クジラ)の刺身や竜田揚げなんかを出してくれて食べたけど、……旨かった。


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