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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第6章 成長と進化
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第175話 ハロウィン1


 10月31日


 ーー 東京 ーー



 その日は年に一度のハロウィンイベント。

 俺達はそれぞれ仮装して楽しむことにした。


「こっちの世界ではその、ハロウィンってお祭りで賑わうんですの?」


 その日は異世界の学園都市からレイナは勿論、特に仲が良い連中数人と先生も招いていた。

 それにテオとリリアの2人もだ。

 だけど皆、ハロウィンがどんなのか知ってるけど仮装はしていない。仮装してるのは俺達だけだ。

 俺は狼男、美羽は天使、ヤッさんはフランケン、一樹はゾンビ、沙耶は猫、サーちゃんは婦警、志穂ちゃんはナース、澤崎は海賊、佐渡は魔女、岩美はカボチャと他数人。そしてカズは悪魔ときたもんだ。


 カズのは雰囲気がかなり出ててどちゃくそ似合ってるし!


「今日はお招きありがとう。和也は……やっぱり悪魔が似合うね」


「ほんとそうね。それに美羽も似合ってるからなんだか素敵に感じるわ」


 悪魔と天使。うん……、確かにこれはこれでありだと思います。


 俺はカズに、せっかくだからテオとリリア達も呼んで楽しもうぜって言ったら呼んでくれた。

 最初、テオとリリアが誰なのか気づいた学園都市の皆は驚いていたけど、すぐに打ち解けあって互いに笑いあっていて良い雰囲気だ。


「ですが本当に、ここがあの和也の部屋だと知ってビックリ致しました」


「私もよ。(しばら)く来ない内にこんなになってるんですもの、見た時は本当に驚いたわ」


 レイナとリリアの2人はカズの部屋について盛り上がっていて、その周りにレイナと一緒に来た数人の同級生も一緒に笑っている。


「今日久しぶりに来たけど、だいぶ商業の方も安定してるね」


「だろ? 中にはカズが作った武器とか卸して貰ってる店があって、かなり繁盛してるみたいだぜ?」


「本当に?! それは是非行って僕も買わないと!」


「いやいやいや、テオだったらカズが直接売ってくれるだろ?」


 なにやら一樹とテオが、カズが作った武器を卸してる店について盛り上がっている。


 俺はそれより早く"フレイムバード"を強化したいな。


 フレイムバードは俺のお気に入りだ。

 カズが作った大剣って事もあるけど、めちゃくちゃ軽いし扱いやすい。だから今よりもっと強化したかった。


「おい、ここにあった俺の煙草知らねえか?」


 自分でどこやったんだよって思ってると。


「俺が没収した」


 そう言って御子神のおっさんがニヤッと微笑んだ。


「おぉいミコさぁん、返してくれよぉ」


「バータレがぁ、まだお前は未成年だろっちゅうに。俺の前とかでバカスカ吸ってんじゃねえよ」


「ちっ、んじゃ新しいの開けるしかねえな」


「だから吸うなっつってんだろ!」


「始まったよおっさんとカズの終わり無き戦いが」


 そう言って俺達は笑った。

 その場にはミルクとイリスもちゃんといて。ミルクは月光と一緒にBARカウンターの中でバーテンダーの格好をして仕事。イリスはララを抱っこして一緒にパーティーを楽しんでいた。

 ちなみにイリスはキョンシーの格好をしている。


 うん、どちゃくそ可愛い。


「ん? どうした?」


「いや、別に。ただ意外とそんな格好もするんだなって思ってよ」


「まあな。せっかくのハロウィンパーティーだから、俺もなにか仮装しようと思ってよ。どうだ? 似合ってるか?」


「似合ってて可愛いぜ?」


「なっ?! か、可愛いは余計だコノヤロー!」


 そう言いつつ、顔を真っ赤にしながらテレるイリスがまた可愛いじゃありませんか。


 ……至福。


「と、とにかく似合ってるならそれで良いんだよ……」


 カズ意外に可愛いってあんまり言われた事が無いのか、若干怒りながらもそのテレかたが本当に可愛くて、俺はドキドキしちまった。


「アンタのその格好は、狼男か?」


 それ意外に何に見えると?


「狼男じゃなかったら何だと思う?」


「……犬」


「なんでだよ!」


 するとイリスは笑った。

 ちなみに俺達はサーちゃんとダークスの為に、ファントム・スパイダーの卵を取りに行ったついでにアンフィスバエナ討伐もして帰ってきた訳だけど。


「コラーーッ! ちょっとはみんなの分も考えて食べてよ"エボニー"! "アイボリー"!」


 志穂ちゃんがアンフィスバエナをテイムしちまった。

 最初は倒す筈だったんだけど、志穂ちゃんが「このまま倒されるより、私のパートナーになって生きてみない?」って言って、素直にテイムされた。

 まぁ、アンフィスバエナも死にたくなかっただろうしな。ただでさえミルクとイリスがいるんだ、アンフィスバエナに勝ち目なんて無かった。

 当然、それを見ていた月光は口を開けて固まってた。


 "アンフィスバエナ"

 白と黒の2つの頭を持つ双頭の(ヘビ)型モンスター。

 体長は"ディラルボア"や"バーサーク・センチビート"とかよりもデカイ、40メートル。

 ちなみに佐渡のディラルボア、"ブチ"は現在10メートルの子供。

 白い頭が"アイボリー"、黒い頭が"エボニー"。どっちとも志穂ちゃんがカズに頼んで名前をつけて貰った。

 毒蛇の牙を持ったニシキヘビって感じで、見るからに凶悪な顔をしてる。


 でもまさか志穂ちゃんがテイムするなんてなぁ。


 そのエボニーとアイボリーは、志穂ちゃんから食い過ぎだって怒られて、必死に謝ってる。


「おい志穂、あんまり(いじ)めんなよ、飯ならまだまだ用意出来るんだからよ」


「でもカズ! ここで甘やかしたら駄目じゃん!」


「お前みたいになるからか?」


 そう言われ、今度はカズを志穂ちゃんは怒って追いかけ回す。

 サーちゃんは無事にファントム・スパイダーの子供をテイム。丁度産まれてくるタイミングだったから、産まれて直ぐにパートナーにすることが出来たんだ。


 "ファントム・スパイダー"

 黒い体に綺麗な青紫色の模様があるモンスターなんだけど、その色が花の「あやめ」みたいだからってことでサーちゃんはそのまま"あやめ"って名前をつけた。

 足は槍みたいな鋭い爪で、腕はカマキリみたいなデカイ(かま)

 成長したら3~4メートルぐらいになるらしい……。


 サーちゃんの"あやめ"はB+ランク、志穂ちゃんの"エボニー&アイボリー"はA+ランク。

 ちなみに月光はAランクだった。

 そしてもう1人。ミラさんはと言うと、無事にフューラーをテイムしていた。

 フューラーによると<話しにならん。なんじゃ、機械の体とは? 相手にするのも疲れたからもうテイムされてやったのよ。そもそも……>って、帰ってきたら1時間以上も愚痴とかの話しに付き合わされた……。


<これミランダ! ちゃんと野菜も食べないでどうするんじゃ! 栄養のバランスが偏るからきちんと食べんか馬鹿者め!>


「うっさいわねぇ、いちいち言われなくても私は平気よ平気」


<だまらっしゃい! そもそもお前は普段からの生活を見直さないでどうするんじゃ>


 ……父と娘かな?!


 そう思いたくなるような光景だった。

 ちなみに馬鹿デカいフューラーが、どうしてカズの部屋にいるのかって言うと、"縮小自在"って珍しいスキルをフューラーが持ってて、そのスキルである程度まで小さくなることが出来るらしい。

 だから美羽はそれを持ってるフューラーに、どうやったらそれが手に入るのか聞いたりして、"バウ"を部屋に入れれるようにしたかった。

 それを知ったフューラーは、バウをそのスキルである程度まで小さくさせてくれて、今は一緒に部屋にいる。

 ちなみにフューラーのデカさは、まさかの120メートル……。

 バウよりデカかった。


 でも、こうして改めて皆で集まってパーティー出来るのって、楽しいし嬉しいな。


 いずれは敵になるかも知れねえ。それでもやっぱりこうして皆で楽しんでる時間が、とても幸せに感じた。

 新しい仲間が出来たし、友達(ダチ)だって出来た。

 それに……、俺はイリスを好きになっちまった……。


「お~い、ちゃんと食ってんのかよ? 兄様(にいさま)が作ってくれた特性肉料理が無くなっちまうぞ?」


「うおっ?! いつの間に少なくなってんだよ?! 俺の分がねえじゃん!」


「しゃ~ね~な~、ほら、俺の別けてやるよ」


「お~サンキュー!」


 カズ特性肉料理をイリスに別けて貰い、俺は嬉しくてありがたく食べた。

 するとそこに。


「おいイリス、ここにあったアップルパイ、お前知らないか?」


 親父さんがイリスに聞くと、「ん? そこにあったのならさっき俺が食った」って、キョトンとしながら言うと。


「テメェ、あれは俺の大好物なんだぞゴルァ……」


 鬼神が現れた。


「なんだよもう、食ってなきゃ誰のもんでもねえだろうが。親父のくせに女々しいな~」


「誰に言ってるか……、解ってんのかぁ? あ゛~?」


「んじゃ今からまた作ってくるからうっせえこと言ってんなよ、めんどくせぇ」


「……許す」


 許すんかい!


 しかし、あの親父さんに怯むこと無く、堂々と真っ正面から言い返すイリスがカズみたいで凄いって思った。


 俺だったら間違いなく殺されてる……。


 そんな親父さんだって最初、思うところはあったさ。

 カズの口から真実を伝えられて、どれだけショックだったか、俺ですら直ぐ分かる。

 それにミルクとイリスの存在。

 親父さんにしてみれば血の繋がった娘も同然だ。だから親父さんは泣きながら3人を抱き締めた。

 カズと、ミルクとイリスを。

 でもルカちゃんはそれとなく知っていたみたいだった。

 まだ目が見えない時、よく2人でルカちゃんの面倒を見ていたんだとか。

 だから、そんなルカちゃんにはカズ達の秘密をまだ伝えられないでいる。


 本当に、こんな幸せがずっと続けば良いのにな。


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