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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第6章 成長と進化
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第174話 プロローグ


 それは遥か昔の昼下がり。


「お邪魔します」


「ようこそ。今、とても良い紅茶を淹れたところだよ」


「とても良い薫りですね」


 綺麗な黒髪のうら若き美しい女性と、夜を彷彿(ほうふつ)とした黒髪と瞳を持つ好青年が、美しい庭園を見つめながら紅茶を楽しむその場は、他に誰もいない2人だけの空間。

 邪魔をするような者は誰1人として近付かなかった。


「こうして貴方と過ごす時間は、私にとって幸せな時間です」


「私もそれは一緒だよ。昔はよく喧嘩をしていたと言うのにね」


「ふふふっ、そうですね。よく貴方に泣かされましたね」


「それは言わないでほしいな」


 幼少の頃から仲の良い2人だが、今よりもっと喧嘩が多く、必ず誰かが間を割って2人の喧嘩は止められていた。

 しかし、そんな過去もその2人にとってはとても大切な思い出。それがあったからこそ、2人はお互いを意識し始めたとも言える。


「式の日取りは何時になさいますか?」


「そうだね……、私としては1年後の今頃にしようかと考えている」


「それは何故です?」


「それは、君の好きな花が咲き乱れる時期だからさ」


「まぁ、それを考えてですか? それは嬉しいです」


「今の情勢で式を挙げるのは早計だと思うからね」


「そうですね。でも、貴方と2人でならなんとか出来そうな気がしてなりません」


 そう話し、2人の唇が重なりあう。

 2人にとって全てが色鮮やかに見え、全てが美しく見えている。

 2人の幸せは全ての者達にとっても幸せであり、願い。

 故に、2人の関係を知っている者達全てから祝福されている。


 それは全ての命から。


 2人の祝福を願わない者等、誰1人としていなかった。幸せで満ち溢れ、誰も邪魔など出来ない。

 しかし本来の2人であれば、お互いが牽制し合う者同士の筈なのだ。

 だが2人は幼き日の交流会で出逢い、共に引かれ合った。

 どちらかが遊びに行くことを繰り返すことで、その思いは日に日に強くなり。そうしてようやく2人は完全に結ばれるその時が近付こうとしていた。


「子供は何人が良いですか?」


「そうだね、私は何人いても良いから、100人いてもいいかな」


「まぁ! それじゃぁ頑張りませんとね」


 するとそこに小さなトカゲが数匹、2人の前に顔を出した。


「ねぇ、私達の祝福を祈って、この子達に私達の力を与えません?」


「それは良いね」


 2人は手を重ねてかざし、そこにいた数匹のトカゲに力を与えると眩い光に包み込まれ、姿形が変わる。

 大変美しい虹色に輝く蝶の様な大きな羽、それに比べて体が小さいが尻尾が長い竜へと。


「とても可愛らしく進化しましたね」


「そうだね。君の力のお陰か、とても美しくもあるよ」


「まぁ、それではどのような名前に致します?」


「私と君の力を与えた初めての存在なのだから、"妖精竜"、"フェアリー・ドラゴン"と言うのはどうだろうか?」


「素敵な名前ですね」


 その日、"妖精竜(フェアリー・ドラゴン)"と呼ばれる可愛らしく、大変美しい存在がこの世に初めて誕生した瞬間だった。


「どうか私達の未来が幸せでありますように」


「私達の種族が未来永劫、繁栄し続けるように願いを込めて」


 2人の願い、幸せを願っているかの様に、フェアリー・ドラゴン達は2人の周りを飛び回り、2人はまた唇を重ねる。


「愛してますよ、()()()


「私も愛しているよ、()()()()



 それから1年後……。



 ー 全てを滅ぼせ ー



 ……悲劇は訪れた。


 美しかった国は滅亡し、ありとあらゆる世界が恐怖と絶望の闇に(おお)われた。


 ー 我らが主の大敵に裁きの鉄槌を ー


 王の逆鱗に触れし大敵に裁きを降すため、王を崇拝する多くの種族達は立ち上がると進軍を開始した。


 ー 我らが主の悲しみを思い知れ ー


 その悲しみは更なる悲しみを広げていく。


 ー 我らが主の怒りをその身に刻め ー


 その怒りに呼応し、結ばれる筈だった種族達もまた、彼らに続いた。


 ー 主の安寧(あんねい)を踏みにじりし(にっく)彼奴等(きゃっら)を根絶やしに ー


 最早その怒りは誰にも止められやしなかった。


 ー 生きとし生けるもの全てを滅ぼせ ー


 その世界は怒りに包み込まれ、とても酷い大戦となると、彼らの怒りを買ってしまった世界が(ほとん)ど滅ぶことになった。


 ー 生き残りを探しだし、見つけ次第殺せ ー


 彼らは決して逃がしはしない。全滅させるまで何処までも追い続けた。


 ー 殺せ、殺せ、殺せ、殺せ ー


 その異常なまでの怒りと執念に他種族は怯え、彼らに生き残りを差し出して命乞いをする者達もいた。


 ー (かくま)っていた者も許しはしない ー


 だが例外は無かった。

 (かくま)っていた者全て、彼らにとって等しく敵だと認識されて命が奪われた。


 ー 蹂躙(じゅうりん)せよ、我らが主の為に根絶やしにせよ ー


 ー 全てを破壊せよ ー


皆さんこんにちは、もしくはこんばんは。

新章スタートです。


この章は比較的大人しい感じの章だと思います。

勿論、中には残虐な内容も含まれておりますが、今回はなんと言っても「成長と進化」がメインとなります。

それはどう言う事なのかと申しますと、そのまんまなのですからなんとも言えません。

知りたければ読んでください、ブックマークしてください、そして御自身の目で確かめるのが宜しいかと。


あんまり書きますと面白く無くなりますのでこの辺で。

それではこの続きもお楽しみください。


いいね、感想、☆☆☆☆☆、ブックマーク、お待ちしております(圧)



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