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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第5章 崩壊する日常
174/339

第173話 ムカデと古竜


 10月23日



「揃ってるな?」



 10:30


 ーー ゼオルク郊外 ーー



 カズが、A区画から"バーサーク・センチビート"をゼイラムで捕まえた状態で現れた。


「んじゃ始めるとしよう。来いダークス、お前にコイツを食わせてやる」


 そう言って、カズは巨大ムカデを離すとダークスのサポートとしてバトルが始まった。


「美羽、あのムカデのステータスって解るか?」


 俺はそう聞くと、美羽は羊皮紙を出してそこに転写させて俺に見せた。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 種族名.バーサーク・センチビート ((オス))

 Lv.158   Aランク+

 体力2800   魔力1280

 攻撃1850   防御1120

 耐性1000   俊敏1160

 運68

 スキル

  共喰 震動感知 猛毒

 ユニークスキル

  自己再生 電磁砲


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あんれ~? ……な~んか、"電磁砲"ってスキルが気になるんすけど~?


「ノリちゃん気づいた?」


 すると美羽が強張った顔で聞いてきたから、俺は思わず「あぁ」って答えちまった。


「"電磁砲"、つまりあのバーサーク・センチビートは()()()()()()()()()()()()()()()


 あぁ、そっか……、電磁砲ってレールガンのことだったっけか……。


「それになんか悔しいな」


「な、なにが悔しいんだよ?」


「なんであのモンスターは電磁砲(レールガン)を使えるんだろ……。私、雷属性でしょ? だからいつか使えるようになりたいって思ってたのに、あのモンスターは既に使える。だから悔しいの」


 どこで張り合おうとしてんだよコイツ。


「しかも、あのモンスターをカズとダークスが倒した後、ダークスが進化するために食べる。ってことはダークスが私より先に電磁砲(レールガン)を使えるようになるかも知れないでしょ? だからますます悔しいよ」


 そう言いつつ、美羽の顔は笑っていた。


「おらどうしたダークス? ビビってねえでもっと攻撃したらどうだ?」


 ダークスはダークスで、カズに文句言われてるし。

 でも頑張れ! こんなチャンス、滅多にねえことなんだからよ!


 するとバーサーク・センチビートの動きが止まると、巨大な(あご)を開いて電気を貯め始めた。


「まさか?!」

「来るよ! 電磁砲(レールガン)!」


 (あご)を勢いよく閉じた瞬間。カズ目掛けて強力な電気の塊を撃ち出した。

 その速度と威力は思ってた以上。だけど……、狙った相手が悪すぎた。


「テメェの技が俺に通用すると思ったか? あ?」


 カズは片手で受け止めて被害は無いけど、その周りは尋常じゃないくらいに破壊されている。

 岩盤が吹き飛び、直撃していれば木っ端微塵(こっぱみじん)になっていてもおかしくない破壊力。


「その程度で意気がるなよ? お前、誰に捕まったか解ってねえのか? あ?」


 やっぱお前が捕まえたのね……。


 そっから先は、カズがバーサーク・センチビートを圧倒しながらダークスが必死にサポートをして仕留めた。

 もし、カズ1人だったら数秒で仕留められたと思う。それだけの圧倒的実力差がそこにはあった。


「そしたらダークス、コイツを食え。腹一杯まで食え。食べきれなけりゃ食べれる時に食べろ、全部食え。分かったな?」


 そう言われてダークスは体を使って(うなず)いた。


「んで、ミラママはどうなってんのかな?」


 この日はバーサーク・センチビートだけじゃなく、ミラさんがフューラーをテイムするために、タイマンしていた。


「お? やってんな~」


 カズが見てる方向に目を向けると、巨大な煙が次々と上がっている。


「なんか……、あそこに行きたくない……」


 俺がんなことを言ってると、地響きと衝撃音が届いてきた。


「マジかよ?! いったいどうなってんだよ向こうは?!」


「ミラママも強いが、あのフューラーもかなり強いぞ? 古竜ってだけあって長い年月を生きてるし、そんな歳の割に前の俺とまともに渡り合えた強者だからな」


「は?! お前とまともに?! どれだけだよそれ?!」


 そして知った。

 フューラーがどんなモンスターなのかを。


「アイツのスキルには、"不死"ってスキルがある。つまり死なねえのさ、どんなことをしてもな。ったく、ジジイになってからまさかそんなスキルを手に入れるなんて、どれだけ運がいいんだかな」


「ち、ちなみにフューラーって、どのくらい生きてるんだ?」


「ざっと四千万年は生きてるだろ」


「よよよ、四千万……?!」


 桁が違いすぎる! 確かに古竜って言われるだけのことはあるぜ! う~っわ、マジかよ~!


「アイツが目覚めたのは数年前。どっかの氷山に閉じ込められてずっと眠ってたそうだ。目を覚ましたアイツはその辺一帯を蹂躙(じゅうりん)して支配し、数多くのモンスターを従えるようになった。でもアイツもそこまで悪い奴じゃなかったんだ。……森で小さい子供達と知り合い、遊ぶようになって仲良くなったんだが……、その子供達が暮らす村をとある国が攻めてきて全員皆殺し。子供達も例外じゃなかったらしい」


「まさか……、それで怒って?」


「あぁ、それで怒ったアイツはモンスター達を引き連れて、スタンピードを引き起こした。スタンダードってのは、動物やモンスターの暴走、または突進って事だ」


 それは……、分からなくもない。

 俺だってその時はそうしちまうかも知れねえ。


「んで俺はアイツの討伐クエストを頼まれた。だが何やっても死なねえし、倒れねえ。いっそテイムしようかとも考えたが、アイツの怒りが収まる気配が全然無かったからよ、取りあえず取り押さえて地下に隔離することにしたんだ」


 そっか……。でも、それはそれでよかったのかも知れねえな。


「アイツは本来、結構優しい奴なんだよ。アイツが目覚めてから支配した地域では、モンスターに襲われたって報告が一切無かったし、逆に共存共栄が出来ていたらしい。まぁ、全部終わってから知った話しなんだけどよ」


「隔離してたじゃなく、カッちゃんは守ってたんだね」


 カズの優しさを知ってるサーちゃんがそう言うと、カズはテレたのか、煙草を吸い始めた。


「でも桜ちゃんはなにもテイムしなくてよかったんすか?」


 そう聞いたら。


「だって、私がテイムするモンスターはカッちゃんが用意してくれるんでしょ? だったら今はいいかなって」


 あぁ、そうだったっけ。

 でもこの人に合うモンスターってどんなのが良いんだろ?


「……なぁサーちゃん、俺が用意するのも良いけどよ、どんなモンスターが好みか言ってくれよ。じゃなきゃ探しようがねえって」


 そりゃそうだよな。


「う~ん……、個人的には……、(ヘビ)蜘蛛(クモ)がいいなぁ」


 まさかの(ヘビ)蜘蛛(クモ)


「志穂、お前は?」


「私? 私は可愛いのが良いんだけど……、でも……、やっぱり頼れる存在ってなると強くて格好いいのが良いかな?」


「んじゃそれに該当するならなんでも良いんだな?」


「まぁ、そこまでこだわりは無いわね」


 瞬間、カズはニヤッっと悪い顔で微笑んだ。


 和也さん? 悪いこと、考えてませんよね?

 あっ、なんか澤崎と佐渡がなんか引いてる顔してる……。これは……、気づいちゃったねぇ……、カズがこの顔になると良からぬ事を企んでることに。


 でも岩美だけ頭の上に「?」が付いてるように見えるから全然気づいていない感じがした。


「そうだ……、ミルク、イリス。お前達に頼みが出来たんだがやってくれるか?」


「「はっ」」


 そこでカズはとあるモンスターの卵を取ってきてくれと2人に頼んだ。


 "ファントム・スパイダー"


 それが蜘蛛(クモ)型のモンスターなんだろうなって予想はつくけど、何故かダークスを見ながらまた悪い顔で微笑んだ。


 ……お前まさか……。


「ちょっ、ちょっとお待ちくだせえ!」


 月光が慌ててカズの前で(ひざまず)くと止めた。


「もしかしてダークスに与える為ですかい?!」


「それ以外にもサーちゃんのパートナーとしてどうかと思ってな」


「お、おやめになった方が良いと思いやす!」


 なんか、カズを止める奴を見ると新鮮だな。


「姉さん達がどれだけ強くても! あれが棲息する場所にゃ厄介な奴がおりやす! だったら俺にも行かして下さい! 必ず役にたってみせやす!」


 なんか凄いなコイツ。軽くとは言え、カズ達の魔力を当てられたって言うのに、そこまで言えるなんて。


「……わかった、良いだろう。ミルク、イリス、コイツを連れてってやれ。ここまで言うってことは何がいるか知ってんだろ」


「「はっ」」


「ありがとう御座いやす!」


「ちなみにお前がそこまで警戒する奴ってなんだ? 俺が行った時にはそこまで警戒するような奴がいなかったんだが?」


 お前は別格なんだからそりゃそうだろうよ!


 でもカズが聞くと、月光は震えながらそれの名を口にした。


「いつ頃行ったのか知りやせんが、俺が行った時、あそこには"アンフィスバエナ"がおりやした」


「……アンフィスバエナ? なんでアレが」


「わかりやせん。しかし、なにか手傷を負っていたようですんで、何かから逃げてきたのやもしれやせん」


「アレが逃げだすような何かか……。それは興味深いが後だ。……んじゃこれも何かの縁だ、お前ら全員行ってこい」


「「は~~?!」」


 なんでわざわざそんな危険な所に行かせようとすんだよコイツ?! 俺達が死んだらどうすんだよ?!


「俺はこっちにいる。ミルクとイリスがいれば大丈夫だ。任せたからな?」


「「はっ」」


 そんなこんなで俺達は、次の日にサーちゃんにテイムさせようとカズが思ってるモンスターがいる生息地に足を運ぶことになった……。

 目的の場所はゼオルクの街から南東、帝国って呼ばれた元バルメイア領の中にある山岳地帯。

 酷い目に合いながら目的の蜘蛛(クモ)、ファントム・スパイダーの卵を2つ入手して、アンフィスバエナって双頭の蛇と激しい攻防戦を繰り広げたけどやっとの思いで勝って帰ることにしたんだ……。


 ……疲れた。


皆さんこんにちは、もしくはこんばんは。

第5章 [崩壊する日常篇]はここで終わりとなります。

なんか中途半端だな~って思ってるそこのアナタ。それは違いますよ? 面白いものは出来るだけ後回しにし、出来るだけフラグをばら蒔いて前のフラグを少しずつ回収。

そして、[崩壊する日常篇]なのですから世界は異世界を知った訳です。

これからどう向き合うのか? それは人それぞれであり、受け入れる者もいれば受け入れられない者もいます。

それに、和也が冥竜王・アルガドゥクスの生まれ変わりだってところで既に彼らの日常はこれまで以上に崩壊しました。

このまま共に歩んでいける友になれるのか。それとも全てを破壊する神として目覚め、彼らにとって最大最悪最強の敵となるのか。

結論は既に皆さんの心の中に出ていると思われます。

ですが、それが本当に正しいのか、間違っているのか。本当の真実はどこにあるのか。本当の嘘はどこだったのか。そういったことがこれからの物語に出て参ります。

冥竜は本当のところ、味方なのか敵なのか。

ずっと出てきている"奴ら"とはいったい?

敵になるならどうして憲明達と仲良く出きるのか?

そう言った疑問や謎があるかと思います。

しかし、全ては御自身の目で確かめるが宜しいかと。

疑問や謎を抱えるなら読み続けるが宜しい。

読めばいずれその答えを目にすることが出来るのですから。


ではまたいずれ御会い致しましょう皆さん。

Yassieでした✨


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