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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第5章 崩壊する日常
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第160話 学園祭最終3


「それでは、予定の人数が揃いましたのでこれにて選抜を終了とさせて頂きます」


 政府の人の宣言で、選抜時間は幕を閉じた。


 北海道私立中学校3年、岩美(いわみ)(はな)

 テイムモンスター、"クレッセント・ビー"。


 新潟県立水産高校2年、里崎(さとざき)結城(ゆうき)

 テイムモンスター、"スライム"。


 都立聖十字学園1年、佐渡(さわたり)恵梨香(えりか)

 テイムモンスター、"ディラルボア"。


 この3人が俺達と一緒に異世界の学園都市に行くことが決定した。


「あの、これから宜しくお願いします先輩方!」


「お、おぉう」


 元気いいなこの子。


 岩美(いわみ)(はな)って中学3年の女子に、改めてそう挨拶されたらなんか悪い気がしない。


「俺の方からも宜しく、先輩方」


 里崎(さとざき)結城(ゆうき)って1個上の先輩になる人に言われると、なんか逆にむず(がゆ)くなった。


「そっかぁ、里崎君は私達と同じ歳なんだ~。でも向こうに行ったら里崎君も憲明君達と一緒な同級生になるよ?」


「そうなんだ。それなら改めて宜しくお願いします」


 サーちゃんとそんな話をしたあと、爽やかに微笑むからなんかテオみたいな感じがする人だ。


「おい。とりあえず3人とも後でウチに来い」


「「はい!」」


 でもカズがいるとやっぱり緊張してる顔になるな。それなのに……。


「山本君っていつも夜城君のウチに行ってるんでしょ?」


「そうだよ。それに僕達専用のログハウスとかカズが用意してくれてさ。そこに自分達の部屋もあるよ」


「え~? なにそれ~、私も欲しいな~……」


「カズに頼んで用意してもらえないかな?」


「でもそれって同じチームだからでしょ? 夜城君と同じチームってだけでも凄いよね、ホント」


 ……うん、ヤッさんと佐渡がなんか幸せそうな雰囲気をかもし出してますね、はい。


「ちゃんと家には帰ってるの?」


「あぁ、今はたまぁに。でも、異世界の存在を公表してからは、カズに言われてちゃんと説明したよ。話したらなんで黙ってたんだって怒られたけどね」


 うん、俺もお袋にかなり怒られたな……。


 でも黙ってたのは仕方なかったって思う。だって、話しても信じてもらえる筈がねえし、ましてやカズにも黙ってろって言われてたし。

 下手に話したらカズにブチギレれるか、政府に隠蔽されてたかも知れないしな……。

 意外だったのは美羽の家族だ。美羽の話だと、最初は驚いたけど、理解してくれるとカズなら信用してるから無理だけはするなってことで許されたんだとか。

 まぁ、その他の連中も似たような事を言われて、結果的に許して貰えたんだけど。


「岩美と里崎はとりあえず自分のパートナーの名前をしっかり考えてつけてやれ」


「カズ、他のモンスターはどうするんだ? ネイガルさんが連れて帰るのか?」


「そうだな。俺が前もって買ったモンスターは俺が引き取るとして、他のモンスターは連れて帰って貰おうかなって思ってる」


 そこで俺はふと、あることを思い出した。


「そういやさ、お前、地下に凶暴なモンスターとかを収容してる施設とかもあるんだったよな? この後行っても良いか?」


「ん? 別に構わねえけど?」


 まだ見ていなかったからどんなモンスターがいるのか少し興味があるし、楽しみだ。


「まぁまだ時間あるし。最後まで楽しむとしようぜ。それから全員でウチに集まってからでも遅くねえ」


「ん、そうしますか」


 そこでカズは。岩美、里崎、佐渡を誰が担当するのか言った後に、美羽と一緒に離れていった。

 岩美は俺と志穂ちゃん。里崎は沙耶と一樹、佐渡はヤッさんとサーちゃんで担当になって。暫くはその3人で行動することになった。


「それでは宜しくお願いします! 早瀬先輩!」


 ……なんかこうして後輩が出来て先輩って呼ばれると、背中が(かゆ)い。


 とりあえず俺達はテイムした後にどうすべきなのか話そうと思ったけど。特にすることも無い……。

 あるとしたらどれだけ仲良くなるかが大事な事と、パートナーの餌の確保。まぁ言ってしまえばお世話をしなきゃならないって事だな。

 岩美がテイムしたのはカズが買ったと言うより、捕まえて来たって言った方が正しい、"クレッセント・ビー"。

 だからまずは"クレッセント・ビー"の生態とか、何を食べるのかとかを調べなきゃならないし知る必要がある。

 でも今回は俺でもそれなりに知ってるから、教えられる部分を話すと、岩美は目を輝かせて真剣に話に耳を傾けていた。


 目、目が(まぶ)しい!


「先輩は物知りなんですね!」


「ふっ、俺に任せておけ」


 すると志穂ちゃんが俺の頭にチョップした。


「浮かれんじゃないの」


「は、はい」


「私は人の事言えないけど、カズに教えて貰ったり、実際にクレッセント・ビーの生態? それに近いのをこの目で実際に見てるからあれなんだけど。クレッセント・ビーは主に小さい群れで生活してるのよね?」


「そうそう、志穂ちゃんの認識はだいたいあってますよ」


 カズの部屋には何匹もいるし。


「だったら他にあと何匹かテイムしたら良いんじゃないの?」


「うん、カズも前にそんなこと言ってた。でもクレッセント・ビーは主に夜行性で、昼間は基本的に寝てたりしてるし。数も少ない。それに、そこまで攻撃的な性格じゃないからどっちかって言うとサポート系のモンスターだった筈だ」


「サポート系って言うなら採取とか?」


「そうそう、勿論何かを採取する時のサポートもそうだったですよ?」


 俺と志穂ちゃんがそう話してる隣で、岩美はまた目をキラキラと輝かせながら真剣に話を聞いていた。


「成る程! それでしたらこの子の餌などは比較的簡単に手に入れやすいんですね?」


「うん、そうね。それと、さっき私達が話してた採取のことなんだけど。集めた花粉とかで出来た蜂蜜は絶品だから。採取とサポート系で言うならその子をテイムしたのは正解なんじゃないかしら」


「そうっすね。志穂ちゃんの言う通りっすね。しかも幻想系モンスターでもクレッセント・ビーはかなり上位にランクインするようなモンスターだし。他のモンスターと協力させてもかなり面白いと思う」


「アンタのクロとか?」


「そうだなぁ、どっちかって言うと、クレッセント・ビーはカノンかノワールとコンビを組ませたら面白いと思う」


「……確かに」

「おおぅ……」


 2人とも、カノンとノワールのどっちかでコンビを組ませた時の事を想像したのか、その顔は満更でもなさそうにしていた。


「アンタのカノンってめちゃくちゃ綺麗だし。ノワールに関してはどっちかって言うと不気味なんだけど……、それがなんか……、逆に綺麗で怖いって感じがする……」


「はい。私もそう思いまふ」


 ……まふ?


「「……」」


 その瞬間、岩美は顔を真っ赤にして恥ずかしそうに黙った。


「なんだよ、まふ、って、ははっ。どっちかって言うと熱血系なのかなって思ったけど、可愛いじゃん」


「うん、今の不意打ちはなかなか良かったんじゃないかな? 私も可愛いって思うし」


「う~……、ちょっと興奮しちゃうと昔からそうなっちゃうんです……」


 でも俺的にはありなキャラだと思う。


 その後、3人でクレッセント・ビーの名前をどうするか話し合ったりして。学園を廻って学園祭を楽しんだ。

 途中、テイムに失敗した連中もいたけど。俺達の顔を見たら姿を隠したりしていた。

 情報によると、また佐渡と里崎の事で陰口を言ってた連中がいて。そいつらに俺達の元クラスメイト達が集めて怒鳴り散らしたんだとか。

 しかも、サーちゃんと志穂ちゃんの元クラスメイトの人達も一緒になって怒ったんだとか。


 怖いことするね~、まったく。


 更にそこに居合わせた美羽と、極悪非道なカズまで元クラスメイト達が巻き込むと。「文句があるなら俺に言え」って言うと黙ったらしく。「雑魚が、そんなんだからテメェらはテイム出来なかったってのがまだ分からねえのか? あ゛?」と追撃。更に心をへし折ることを言って完封勝利したんだとか。


 あれを敵に回したら本当にダメだ……。


 いったいどれだけの人数がカズに泣かされたことかと思うと、マジで怒らせたくない。

 まっ、自信過剰も良いけど。人の話しはちゃんと聞かないとな。

 その後も学園祭が終わる頃まで楽しんだ俺達は、特設会場に戻って夜城邸に戻ることにした。

 新しい仲間を連れてな。


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