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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第5章 崩壊する日常
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第151話 これからのこと


 3チームの真後ろにはゴジュラスが腕を組んで(たたず)んでいる。

 その横に、黒いハット帽を被り。俺達 "夜空"が着ているような全身真っ黒なスーツに、黒いYシャツと赤いネクタイをしているのがいる。

 しかもそいつには大きなヤギみたいな角が2本生えてて、ハット帽を突き破っている。

 背中にはコウモリのような羽が生えて、両腕は大きく筋肉質なのがスーツを着ていても解っちまう。

 身長は約150センチと小柄だけど、明らかに体格が良い人間じゃなく、そこにはモンスターが立っていた。

 そのモンスターからはどこかの殺し屋、もしくはボディーガードなんじゃって思いたくなるような雰囲気が(ただよ)っていた。


 実はソラだったりして……。


 "デーモンズ・ベアー"のソラは、マジで悪魔と思えるような姿に進化した。

 4本あった腕の内、2本はコウモリの羽みたいな形に変化して。その分、もう2本の腕はより筋肉質へと変わった。

 6個あった目は3つになった事でより視力が高くなり。前よりも煌々(こうこう)と赤く光る目は正直 怖い……。

 もう……、その見た目はマジでどこぞのボディーガードにも見えるし、雰囲気が殺し屋みたいになっちまったんだ。


〈ガウ〉


<ん? 確かに遅いな。まあそろそろ来る頃だろ>


 ん? 誰か来るんですかソラさんや?


 んで、後から聞いた話。その時のリヒトとジャオル、ライラの3人は、後ろから漂う気配に戦慄していたらしく。小声でゴジュラスの話をしてたんだとか。


「ライラと言ったな。お主は後ろにいるモンスターと戦う勇気はあるか?」


「はっ? こんな時になに言い出すのよアンタ。そんなの……、あるわけ無いじゃない……」


「俺も同感だ、俺達が束になったところであのゴジュラスってモンスターに勝てる気が微塵(みじん)もありゃしねえ……」


 その頃カズと俺は、カウンターでこれからのことを話し合い。コーラが入ったグラスを片手に美羽達がいるソファまで戻った。


「さて本題だ。知っての通り、稲垣さんが俺の"曼蛇(マンダ)"を使ってゲートを作らせやがった。あのでかさだ、隠し通す事は不可能。日本政府は現在、アメリカや各国とこれからどうするか話し合ってる最中だ。んで、もうじきここへ()()()()()()()


 俺はミラさんが来たら、また先生と喧嘩しないか不安でしかなかった。


「あのオッサンが何を考えているのかさっぱり解らねえ。だからアメリカから助っ人としてミラママが来る。それと、公安からも数人、警視庁からも数人もうじきここに到着する。理由は言わなくても解るな?」


 どうしてそうなったのか理解出来たから、俺達は頷いた。

 稲垣陸将がここ日本で何か大きな事を仕出かす為に、凶星十三星座(ゾディアック)と手を組んだ。

 だから様々な人達と協力してそれを阻止する為に、ここに集まるんだ。

 けどそれを理解出来ていないのはバニラと他3チーム。

 だからカズはあえて、その協力者が集まってから全てを話すって伝えた。




 13:00



「今度遊びに来いって言われてたが、まさかこんな形で来る事になるたぁな……」


 その時間、夜城邸の前に警視庁から御子神のおっさん達が到着した。


「お久し振りですね。御子神班長」


 公安からは柳さんと他5人が到着。

 そこに犬神さんが案内するために待っていたらしい。


「よう犬神」


「こっちだ」


 そうやって犬神さんに案内され、大水槽前ホールにやって来た御子神のおっさん達は、その空間に圧倒されたのか呆然とした顔で立ち尽くした。


 なんか久しぶりにおっさんの顔見れて嬉しいな。


「なにしてんだよミコさん。こっちだ」


「あっ……、すまん……」


「やっぱ来るとしたらミコさん達だと思ってたぜ」


 俺達は満面の笑みで出迎えると、おっさん達達警察はどこか安心したって顔になった。


「しっかしなんだよここ……。ここ本当にお前の部屋なのか?」


「御客やコイツらがリラックス出来る空間だ。まっ、俺の部屋でもあるんだけどな」


 ほんと、いったいどれだけの金が動いたのか知りたくなる。


「あら、もう集まっていたのね」


 ちょうどその時、地下トンネルを通ってその場にミラさんが顔を出した。

 その後ろには数人の部下の人達を引き連れて。


「早かったな」


「そりゃ一大事ですもの。それに、私の可愛いmy boyが困っているんですもの早く来ないとね」


 でも部下の人達はどこか疲れてるって顔をしてますよ? きっとまた無茶な事をしながらここに来たんだろうな……。


「んじゃ早速 本題といこうぜ」


 カズの言葉に先生がこの場に集まった人達全員に話を始める。

 まず、夜城組組長の親父さんとセッチは、稲垣陸将を止める為に政府から依頼を受けて暗殺任務に動いた。

 しかし、その暗殺は失敗に終わり、結果的に門を出現させてしまう。

 暗殺なのだから誰にも(さと)られず、標的の稲垣陸将を殺せば良いもんだけど、その近くにはあの、曼蛇(マンダ)がある為にその回収をしなければならない。

 だから親父さん達の班は稲垣陸将にバレないように身を隠し、セッチは遠距離から暗殺をする事になったんだとか。

 その2人の所に凶星十三星座(ゾディアック)が乱入。

 セッチはなんとか親父さんと合流出来たものの、そこにも別の凶星十三星座(ゾディアック)が現れた事によって交戦状態となり。辺り一面は火の海になった。

 その混乱に乗じて稲垣陸将は逃走。東京湾で別

凶星十三星座(ゾディアック)曼蛇(マンダ)を渡した後、そいつが巨大な門を作り上げた。

 それがきっかけでその門から2体のモンスターが出現したけど、海上自衛隊とかの活躍で撃退することが出来たとか。

 そうなってしまったからこそ、世界に対して異世界の存在を隠し通す事が出来なくなる状態にまでに(いた)ったってことだ。


「立場的に今。夜城組はとても宜しくない状況に立たされているわ。稲垣陸将を取り逃し、門を出現させてしまったのだからその責任はとても大きいわ」


「ちょっと待ってくれ先生。向こうは凶星十三星座(ゾディアック)が出て来たんだぜ? そんなの流石の親父さんやセッチでも止めるのは難しかった筈だろ? だったら責任は無い筈だ」


 俺としては、相手が凶星十三星座(ゾディアック)が出てきたのだから仕方ないと思った。


「憲明君の気持ちはありがたいわ。でもね? 私達は稲垣陸将の暗殺を依頼され、曼蛇(マンダ)の奪還をしなければならなかったの。それはつまり仕事。どんな仕事に対してでも責任は付きまとう。例えば憲明君がどこかのクラブのボーイをしていたとしましょう。アナタは御客様のボトルを仕事中に落とし、割ってしまった。そのボトルはお店のお酒でもなければアナタのお酒でも無い。()()()()()()()()()()()()()。つまりそのボトル代を誰かが弁償しなくてはならない。では、そのお酒は誰が弁償しなきゃならないか解る?」


 そんな事を言われても、そんな仕事をしたことが無いから頭を抱えて悩んだ。


「答えはお店とアナタ。お店はその御客様に新しいボトルを用意し、出すことになる。でもそれでじゃ利益は無いわよね? だから落として割ったアナタに責任が追求される。どうしてそうなったのか。何故注意せずに運んだのか。でもそれはお店側にも教える義務があるのだから、それだけ注意していなければ、その注意を(おこた)っていたのであれば店側にも責任はある。でもそれをいつも教えられているのにそれを(おこた)っていたのであれば、全責任がアナタへとのし掛かる事になるわ」


 まぁ、確かにもっともな話しだけどさ。

 なんか……、納得出来ねえな。


「それなら今度はコンビニで仕事をしていたらの説明にしてみるわ。コンビニで作った唐揚げや缶ジュースで例えましょう。そのどちらも店長から落としたりして、売り物にならなくなったらアナタが責任もって買うことになると教えられました。そしてアナタは唐揚げ、又は缶ジュースを落として缶を(へこ)ましてしまった。それはもう売り物にならないのでアナタが責任もって買うことになります。例え嫌でもそこには責任があるのだから致し方無い。……私達の仕事もそう。ましてや命を奪い奪われの仕事をしている、まさに命懸けの仕事をしているの。だから失敗しましたでじゃ済まされない仕事を私達はしているのよ。理解、出来たかしら?」


 責任……か……。


 それに命の奪い合いとなれば確かに失敗は許されないよな……。

 だって失敗は、死に繋がるんだからよ……。

 例え凶星十三星座(ゾディアック)が出てきたから失敗しましたと言っても、それは事前にもしかしたら出てくる可能性があったのは解っていた事だし。

 だからそんな言い訳は許されないんだよな……。


「さて、そこで本題だ」


 全員がカズに注目すると、どうしてこの場に御子神のおっさんや柳さん達が呼ばれたのか話し始めた。


「稲垣さんを取り逃がした今。これから東京で何が起こるか解らねえ。門がどこに繋がっているのかすら中に入ってみないことには解らねえが、政府から俺達、チーム夜空にその調査依頼が来ている」


 そう来たか……。


 調査依頼が来たと聞いても、俺達はそこまで物怖じすること無く静かにカズの話しに耳を傾けた。


「んでだ。その間に東京で何が起こるか解らねえから、ミコさんや柳さん達にはその警戒にあたって欲しい。勿論、自衛隊も警戒にはあたる。ミラママも、宜しく頼む」


「任せなさい。その為に私達が来たのだから」


「それにそこの3チームにも協力して欲しい。頼めるか?」


「任されよ!」

「えぇ、こっち側の外を見てみたい事だしね」

「俺達に出来ることがあれば、出来るだけ協力するぜ?」


 そう言ってくれるジャオル達に感謝しつつ。カズはその3チームを担当する班を割り当て始めた。


 チーム"サムライブレイド"は御子神班。


 チーム"ラポルグ"は柳班。


 チーム"シャデスクム"はミランダ班。


 そして、マーク率いるチーム"マッドマックス"には自然と変態正義の……バニラ。


「御冥福御祈り致します」


「憲明テメェ! 俺に喧嘩売ってんのか?!」


 マークのおっさん達は嫌そうな顔をするけど……、致し方無いってことで引き受けた……。


「おいバニラ。こっちの世界でそんな格好してたら捕まるから、ちゃんとした服に着替えてくれよ?」


「ぬ?」


 マークのおっさんは疲れた顔でそう言うと、バニラは「これが正装である!」と言って言うことを聞かない。


「おい、そっちとこっちでじゃその正装が全然ちげえんだよ。その格好してたら逆に討伐対象になっちまう。……討伐対象になりてえならその格好でいるこった」


 カズが強烈な睨みで言うと、流石のバニラも冷や汗をかいて、若干震えながら分かったと言って頷いた。


 さっすが和也さん! もうこの変態の扱いをマスターしちまってんのか!


 と、思ったら。バニラの真後ろで太古の殺戮兵器達がヨダレを垂らし、睨んでいるからでもあるって気づいた……。

 でもその前にまずは着るための服を用意するのが先で、組員の人達は寸法を計ると急いで買いに出掛けて行った。


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