第144話 プロローグ
9月16日
ーー 東京 ーー
「来たか」
その日、守行はとある廃ビルの屋上で刹那を呼んだ。
「任務?」
「……そうだ」
守行はどこか心苦しそうな表情を刹那に見せた事で、彼女は悟った。
「標的は……、稲垣陸将?」
そう言われ、守行は黙った。
刹那はその沈黙が全て物語っていると分り。刹那は一言、「集合」と告げると、その場に"夜城組隠密刹那部隊"数十名が何処からともなく現れる。
「はっ、ここに」
「任務。標的、稲垣浩和」
「……御意」
思うところはあるだろう。稲垣陸将は自分達のトップである守行の友人なのだから。
だが任務に感情は要らない。
任務と言われた以上、彼らはその命に代えてもやり通さなければならないのだから。
守行は刹那の後ろに控えている隠密部隊に、何故、標的が稲垣陸将なのか説明を始めた。
守行は彼らを動かす前に、別の部隊を動かして探らせていたのだが、その結果は完全に黒と判明し、その動かぬ事実に守行は決断したと。
【稲垣浩和 暗殺】
「あの馬鹿が何の目的があって凶星十三星座と裏で通じてんのか、俺は解らん。だが、ひとつ言える事があるとすれば。アイツは再び八岐大蛇を目覚めさせ、この東京を火の海にしようとしてるって事だけだ」
それを聞いた瞬間。刹那だけで無く、隠密刹那部隊の全員の目が大きく見開かれて驚愕した。
「凶星十三星座がただ大人しくしてる筈がねえだろ。今はベヘモスだけが和也に懐いて大人しくしちゃいるが、他の生き残りはそうじゃねえ。確実に世界を滅ぼしにやって来るぞ。冥竜王を完全復活させてな」
危惧していた事が現実に近づきつつある。
それは、全ての生きとし生けるものにとって最悪であり、終わりを告げられる瞬間だ。
「 和也は八岐大蛇でもある。つまり、冥竜王・アルガドゥクスの分身だ。奴らに倅を渡してたまるもんか……、そうだろ? 復活させる為に和也は利用され、その自我を連中はコントロールする為に奪う筈だ。そうなりゃ、八岐大蛇は完全に和也じゃ無くなる。お前達は自我を完全に失った和也である八岐大蛇と戦えるか? それ以前に……、アイツに世界を破壊させたいか?」
それは絶対に戦いたくも無ければそんな事させたく無い。と、彼らは心の中で叫ぶ。
しかし、その悲劇が刻一刻と近づきつつあった……。
「俺は、倅が例え冥竜王の生まれ変わりだったとしても構わねえと思ってる」
「組長?!」
まさかそんな事を口にするとは思ってもいなかった刹那は驚き。それ以上、下手な事を口にしてはいけないと思って守行を止めようとする。
だが、それでも守行は手で刹那を制し、話しを続けた。
「倅は倅だ。世界の敵だろうとなんだろうと構いやしねえ。……ただな? 倅が世界の敵として牙を剥くっつうなら俺は倅を止める為に戦うつもりでいる。その為なら俺は倅だろうと剣を向ける覚悟がある」
「組長……」
「だが、ただ黙って倅を行かせやしねえつもりでいる。そうならねえように、今から稲垣を暗殺する」
その瞬間、刹那部隊の目つきが変わる。
決して稲垣陸将の思い通りにさせる訳にはさせない、好きにはさせないと覚悟を決めたからだ。
「稲垣は八岐大蛇を目覚めさせる為、"曼蛇"を別の組織に強奪させた。そして今日、もうじき奴がそれを受け取りに現れるって情報を入手した。奴は今日、それを受け取ったら直ぐ向こうへと行く筈だ」
「でも組長。曼蛇を受け取った時、何故そのまま向こうへ行かなかったの? そんな回りくどい事しなくても、早く行けば良いんじゃ?」
刹那が質問すると、刹那部隊の者達もそれに頷く。
「準備が整っていなかったからだ」
「準備?」
「戦争をする為の準備をしていたからだ」
その言葉に、誰もが再び驚愕した。
まさか戦争をする準備を整える為に、稲垣陸将はあえて遠回しな事をワザとしたのかと。
「その為にアイツは自らが囮になり。曼蛇を別の組織に預けて準備をさせていた。他に目が行かないようにな」
「ちっ……」
まさかそうだとは気づかなかった刹那は、今にも怒りの感情が爆発しそうな顔となって舌打ちした。
「なんとしてでも止めるぞ。いいな?」
「「はっ!!」」
勇ましく返事をした刹那部隊はその後、守行と刹那と共に稲垣陸将が現れる場所へと向かうのだった。
さて皆さんこんにちは、もしくは今晩は。
ここで新たな新章の幕開けです。
「崩壊する日常」
タイトル通り、ここから全ての日常が壊れ始める大事な章となります。
渦中の稲垣陸将がなにを考えて凶星十三星座こと、ゾディアックと手を結んだのか。
それは戦争を始める為でもあるのですが、そこには色々な想いがあってその選択をしたってことでもあります。
さて皆さん、物語はこれから激動していきます。
私としてはどうか最後までお付き合いして頂けますと、嬉しく思います。
そして……、ここから更に新キャラが増えますよ✨
余談ですが。ゴジュラスをモチーフにしたのはあの大怪獣様です……。その名もスペー○ゴジ○!
やはりあのシリーズの中でも私はあの大怪獣が大好きでして。
ブラックホールに飲み込まれ、結晶生物を取り込んだG細胞が進化した戦闘生物。
うんうん(*-ω-)、なかなか最高のバトルモンスターじゃありませんか。そう思いませんか?
それではここで。いいね、ブックマーク、☆☆☆☆☆、感想を頂けますと、より活力がみなぎり。それが私の原動力としてこれからも頑張れますので、是非、宜しく御願い申し上げます。
それでは皆さんまた。
Yassieでした。
いいね、感想、☆、ブックマーク……。してくれないとアナタの夢に私が出てくるかも……。
クックッくっクックッ……。




