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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第4章 炎と結晶
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第124話 意外と器用な熊


 カズの言葉で勘違いをした、総勢100名以上の恐い人達は、裏組織を僅か5分足らずで壊滅したらしい……。

 そこには獣人族の子供が5人囚われていたらしく。聴けばゼオルクの街に住む子供達だったそうで、その5人は1週間くらい前から行方不明になっていた子供達だったらしい。

 その場にいた裏組織の人数は9人で、内6名は死亡。内3人は重傷を負ったもののまだ生きているらしく、速攻で拘束したあとは自衛隊に連行されて行ったんだとか。

 そして、解放された子供達を組員の人達が家族の元へ戻した後。全ての報告をしに、数人の組員の人がカズに伝える為に部屋に来た。


「以上になります若 また、子供達には怪我ひとつありませんでしたが、誘拐された事で精神的負担が見られた為、メンタルケアが必要と判断し、勝手ながら診療所の方へ行くように親御さん達には伝えさせて頂きました」


 あれ? この人達って確か……、ヤクザ……、だよね?


「そ、そうか、そりゃなによりだ。でも子供達はきっとその事でトラウマになる可能性もあるから、その辺しっかりと街の巡回とかを自衛隊と共に見てくれ」


「承知しました」


 あれ~? 本当にヤクザなんだっけ?


 話が終わると組員の人達はカズに軽く頭を下げ、颯爽(さっそう)と部屋を出て行った。


「でもよかったじゃねえかカズ。もしこれがもっと遅ければ、きっとその子達は奴隷として何処かに連れて行かれていたかも知れないんだろ?」


「まあそうだな。これでまたゼオルクの街から不穏分子(ふおんぶんし)を排除出来たからよかったが、まだ勘違いされたまんまなんだよなぁ……」


「ははははは! まっ、別に良いんじゃね? このまま黙ってても別に良いだろ」


「まぁ、別に問題にならねえから良いか」


 美羽達は、俺とカズがいったいなんの事を話しているのか察している為。皆んなして大笑いしていた。


「でもまさかこんな事になるなんてね〜。カズって言葉足らずな時があるからちゃんと説明しなきゃ」


 そう言って沙耶は、新しくパートナーとして迎え入れたミスト・ドラゴンのジークと、カーバンクルのピノと遊びながら笑う。


「アッハハハハハハハ! アハハ、ハハハハハハハハハ!」


「オメーはいつまで笑ってんだよヤッさん!」


「アダッ!」


 ヤッさんはどこか変なツボに入ったのか終始笑い転げていて、そこをカズは恥ずかしそうな顔をしながら怒ると、飲み干した缶コーヒーをヤッさんの頭目掛けて投げつけた。


「でもそこがカズらしいよな。しっかりしてる様で言葉足らずな時があるから、周りを誤解させる事ってあるよな」


 一樹がそう言うと、俺達は何度も頷いた。


「ちっ、うるせえよ」


 カズは恥ずかしさのあまり若干不貞腐れ始めて、ここで話題を変えようと違う話をし始めた。


「んで? ソラはどれが気に入ったんだよ?」


 そのソラの前には数種類の銃火器が並べられている。

 勿論、実弾は全て抜かれて。

 そこにあるのはナッチやセッチが愛用している"ベレッタm92"。カズが魔改造して使っている同タイプの"デザートイーグル"。"コルトガバメントM1911"。"ルガーP08"。"トカレフ"と言った自動式拳銃が並ぶ。

 リボルバーだと"コルトパイソン"や"S&W M500"。"44マグナム"。"M19"。"M500"。"M629"が並ぶ。

 その他にもアサルトライフやスナイパーライフル、ガトリングガンと言った物騒な物が沢山 並べられていた。


「武器商人かお前は」


 その種類の豊富さに、俺は唖然とした。


「俺としてはこれがオススメだな」


 そう言ってカズが手にしたのは"コルトパイソン"だ。


「手始めにこのリボルバーを使いこなせる様にしてみたらどうだ? 見た目的にもカッコいいだろ?」


「確かにカッコいいけどよ。ここはこれだろ」


 そこで俺が手にしたのは"コルトガバメントM1911"と呼ばれる自動式拳銃だ。


「こっちの方が沢山 撃てるだろ?」


 俺とカズはソラにどれがいいか見せると、ソラは俺が持つ"コルトガバメントM1911"を手に取った。


「それにするのか?」


〈クウ〉


 カズの質問にソラは頷き、手にした銃を興味津々に見る。


「分かった、んじゃ後で弾薬を用意してやるが、その前に銃の使い方をレクチャーしてやる」


〈クウ〉


「まずは分解と組み立てだ。そして手入れも大切だから必ずする事を徹底するんだ。解るか?」


〈クウ〉


 ソラが、カズの説明を理解、してるだと?


 ソラがカズの説明を真剣な眼差しで聞いていて驚いたけど、その姿がなんだか可愛くてたまらなかった。


「んじゃまずはさっき言った分解と組み立てが完了出来る様にするんだ」


〈クゥ〉


「なあに、そんなに難しくねえよ。覚えちまったら意外と簡単だ」


〈クウ?〉


「あぁ、だから難しく考えず、手順を感覚で覚えろ。見なくても分解、組み立てが出来る様になったら次のステップだ。いいな?」


〈クウ〉


「よし、んじゃ頑張れ。他にも気になる銃火器があったら言え。あと2つぐらいはくれてやるからよ。だがそれは俺が出す課題を出来るだけ早くクリアしたらの話だ。分かったか?」


 すると俄然 やる気になったのか、ソラは目の色を変えるとカズの手元を集中して見続けた。

 カズの分解と組み立ては側で見ている俺達からして見ても、かなり速く。あっという間に分解すると次に組み立てるスピードも凄かった。


「お、おいカズ、速すぎてソラが追いつけないって」


「あ? それもそうだな。んじゃもっとゆっくりと見せるか」


 そうは言っても速いんですけど?


 しかし、それでもソラは真剣にカズの手元を見続ける。余程 銃に興味があって、武器として使いたいんだろうな。

 そうして何度も見続けてる内に、ソラはカズの手元を見つつ、自分が持っているコルトガバメントM1911を見よう見まねで分解し始めた。


「おっ、そうだ、その調子だ。でもあんまり(りき)み過ぎるなよ? お前ならそこまで力を使わなくても、簡単に外せる筈だ」


 めちゃくちゃ意外な事に、ソラは手先が器用なのか徐々に分解し、難しい所があるとカズが何度もゆっくりと教える。


「おい憲明。コイツ、めちゃくちゃ覚えるの速えぞ?」


 そう言ってカズは楽しそうに、満面の笑みで更に教える。


「スゲェなソラ。その調子でカズにもっと教えてもらえよ?」


〈クウ!〉


 その日はカズだけじゃなく、ナッチから人格が変わったセッチも一緒に教え始め。俺達は一旦家に帰ることにした。


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