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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第3章 蠢きだす闇
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第101話 今の自分達


 俺達はバルメイア軍との戦闘から一度ゲートを潜り、地下ゲートに戻ると1人の組員の人がカズの元へ駆け寄って来た。


「若、大変長らくお待たせいたしました。つい先程全ての準備が整いました」


「分かった」


 準備?


 何の準備が整ったのか聴こうと思ってると、先にカズが口を開いた。


「待たせたな。俺からお前らに極秘のプレゼントを用意したから楽しみにしてろ」


 そう言ってカズは僅かに微笑んだ。


 ……カズからの、プレゼント?


 俺はまたなにかよろしくない物でも用意したのかなって思い、そのプレゼントを受け取りたくなかった。


 地下ゲートからエレベーターに乗り。エレベーターが地上で止まると、俺達は夜城邸内の地下ゲート行きフロアの前に出て、そのままカズの後をついて行く。

 夜城邸を外から見ると和風で出来た広い邸宅に、強化ガラス等で造られたカズの巨大な部屋がくっ付いている。

 側から見れば和風の邸宅に、巨大な植物園が付いてるようにもとられる外観だ。

 しかしゲートへ行く為のフロアだけは何故か洋風に造られていて。洋風と言うより、石で出来たある種の神殿に近い。

 カズはそんな空間から外へと続く道を歩くと、木材で造られた長い渡り廊下が現れる。

 右には巨大なエレベーター。そこは大型のモンスターを地下ゲートへ下ろしたり上げたりする為の専用エレベーターで、そのエレベーターを使って骸、バウ、ゴジュラス、ラプトルの群れとかが使用している。

 更に進むと広い庭が見えて来て。その先が目的地なのか、そこには何故かマークのおっさんやその手下のヒャッハーなお兄さん達、テオ、リリアが立っていた。その先に、後ろに何があるのか知らねえけど、大きくて広い幕で正面を隠している。


「来たな?」


 マークのおっさんはニヤリと笑い、俺達に早く来いとうながす。


「心の準備は良いか?」


 そう聞くマークのおっさんが、突然キリッとした顔になった。


「お待たせしました。いやお待たせしすぎたかも知れません。只今よりご覧に入れますは和也さんから君達へのサプライズ。では、特とご覧あれ」


 するとヒャッハーなお兄さん達が紐を両サイドから引っ張り、隠していた物が現れた。


 それを見た俺達は驚愕した。そこにあったのは、木材で造られた見事なゲストハウスだったからだ。


「これはお前ら専用のゲストハウスだ。これからはここを好きに使え」


「え? 俺達専用?」


 カズは完成したゲストハウスの扉を開け、中へと入って行く。その内部はとても豪華で素敵な空間が広がっているじゃありませんか!

 エントランスに入り、真っ先に目に飛び込むのは高級感溢れる、どこぞの南国リゾートホテルの様な空間。

 するとマークのおっさんがこのゲストハウスの紹介を始める。


「まず初めに御覧頂いておりますは皆さんが全員集まり、楽しく談笑したり食事をする事が出来る空間となっておりますエントランスラウンジ。その広さはなんと四十坪。家具や調度品、全てにおいて職人がひとつひとつ丁寧に手で作った高級品の数々。その全てが最高級のイタリア製となっております。ここにあります大型液晶テレビを使い、皆さんでゲームを楽しむ事も出来ます。そして皆さんのプライベートルームは全て鍵付きで畳十畳分の広さ。ベットからテーブルに至るまで、こちらも最高級品を御用意。その部屋の数は…………。何と言う事でしょう……。プライベートルームだけで十部屋も御用意されているではないですか! しかもどの部屋も防音対策が施され、その部屋で大きな音で音楽鑑賞をするもよし、映画鑑賞をするもよし、歌を歌うもよしとなっております。更にこのゲストハウスには2つの大浴場があり、男女別でお風呂を楽しむ事も可能となっております。し・か・も、各部屋にもそれぞれの浴室が設置されておりますので、お一人で楽しむ事も可能。また、キッチンルームはおよそ十畳はありますので、皆さんで協力しあってお料理を作る事も出来ます。業務用大型冷蔵庫が二台。パンを作りたい時の為に大型の窯も完備。コンロはガスコンロでその数3口。勿論食器棚も完備しております。ちなみにトイレは男女別に御用意しております。この全ての備品は和也さんが皆さんの為だけに御用意した品々。そしてこのゲストハウスを造ったのが全て(わたくし)達に御座います。お気に召していただけましたでしょうか?」


「なんて長い説明なことでしょう!」


 でも、それを聞いた俺達は満面の笑顔で喜んだ。


「でもマジか! スゲー!」


「この南国風リゾート感最高!」


 俺と美羽は勿論、沙耶達はどこの部屋を使うか早速ゲストハウスの中を駆け回った。


「流石だよマーク。やっぱマークに頼んで正解だったな」


「へへっ、そう褒めてもらえるとむず痒いぜ」


 カズに褒められ、マークのおっさんが照れる。


「凄いなあ……、俺も使いたいよ」


「私も使いたいな」


 テオとリリアはこの時になって初めてこのゲストハウスの内部を見て羨ましそうに話している。


「部屋はまだある。よかったらお前らも使って良いんだぜ?」


 それを聞いた2人の顔が明るくなって、テオとリリアもここへ来た時に使う部屋を、どこにするか見に行く。


「まっ、殆どその見た目は変わんねえんだけどな」


 カズが言うように、確かにその見た目はあまり変わらない。それでも、部屋の位置によって間取りは変わってるから、僅かに部屋の形状は少し違っている。



 その30分後。


 俺達はどこの部屋を使うかを決め、満面の笑みでエントランスラウンジへ戻ると、そこにあるイタリア製高級ソファの上でカズが1人くつろいでいた。


「決まったのか?」


「ああ。ありがとなカズ。マジで最高に嬉しいぜ!」


「喜んでくれてなによりだ」


 カズもサプライズが上手くいって良かったとばかりの笑顔だ。すると、そんなカズに美羽が部屋はいらないと言い始めた。

 その理由は簡単だ、美羽は今、カズと付き合っている。つまり、ここにいる時はカズの部屋は美羽の部屋でもあり、寝る時も一緒なベットを使う。その事をカズは確かにそれもそうだと言って、美羽はカズの寝室をこれからも使う事になった。


「まっ、取り敢えず部屋を決めたのならそれで良い。んでだ。早速だが会議を始めんぞ」


 会議を始めると言われ、俺達はカズを中心にしてソファに座る。


「良い機会だ、このままマーク達も参加してくれ」


「俺達は別に良いが、良いのか?」


「構わねえよ。これからする会議で意見を聴きたい」


 カズの提案にマークのおっさん、テオ、リリアの3人もソファに座り、その後ろにはヒャッハーなお兄さん達が手を後ろに回し、何時に無く真面目な顔で整列して立つ。


「まず最初の議題だ。お前ら、今使用している武器に関する職種に不満はあるか? 憲明、お前は大剣使いって職種に部類になる。美羽、お前は双剣使い。沙耶、お前はガルを使用したりするがどちらかと言うと弓使いになるな。一樹、お前は槍使い。ヤッさん、お前は大槌使いだ。……さて、それらの武器でお前らは使いやすさってのもあるが何か不満はないか?」


 その話しを聞き、俺は全員何も不満は無いだろうって思えた。でもそこでヤッさんが手を上げる。


「なんだよヤッさん、言ってみろよ」


「今日の事で思った事があるんだ。いや今日だけじゃない……、今までの事を考えてみたんだけどさ。僕は今ハンマーを使ってるけど、防御をする時にどうしても避けきれない時があるし、避けても誰かとぶつかりそうになる事があったり、危ない場面が何度もあった。最初は合ってるかなって思えたけど、今では合っていないように思えるんだ」


「……成る程な。お前らはヤッさんの考えをどう思う?」


 カズは俺達全員の視点でヤッさんの考えをどう思うかを聞く。


「なあカズ、逆にそっち系統の職種ってどんなのがあるんだ?」


 逆に俺はカズに質問した。


「そうだな、説明したこと無かったかもな。良い機会だから話すか。大剣、両手剣、片手剣、短剣、弓、槍、大槌、大楯、棍棒、斧、大斧って様々で他にもある。ちなみに美羽の場合、短剣を2本装備しているけど、双剣使いになってると思う。余程の実力者か技術がなければ扱いづらく、難しい技術を要求されるんだが今の美羽は双剣使いって言ってもなんの問題も無い」


「私、双剣使いになるんだ」


 美羽は自分が双剣使いに分類されている事に軽く驚く。俺達もだけど。


「んで憲明。お前は昔から腕力はあった方だから俺はお前に大剣を薦めた。今じゃその大剣を軽々と扱える技術を身につけた。お前も俺と同じでどこにそんな腕力があるんだって位だったからな、薦めて正解だったと俺は思う」


 うん確かに。ましてやカズに貰った"フレイムバード"は軽過ぎる位なんだけど、なんかしっくりくるんだよな。


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