プロローグ
ー アメリカ合衆国 ニューメキシコ州 ー
1947年 7月
空から銀色の飛行物体が墜落。
それを目撃した地元住民多数。
落下した飛行物体は秘密裏に処理される。
地元紙は落下したのはUFOとして大々的に掲載、一躍有名となる事件へとなる。
"ロズウェル事件"
しかしそれはアメリカ政府の陰謀だった。
その事件から遡る事数年前にとある事件があり、それを政府は隠したかった。
しかし、その秘密を世間に暴露しようとした者が1人、姿を眩ませる。
政府はその者を早く見つけ出さないといけない状況に追い込まれた。そしてその者が持っている情報を、暴露される前に何としてでも隠さなければならなかった。
故に、政府は極秘裏に開発していた偵察機を利用し、世間の目を誤魔化す事に成功。
それがロズウェル事件と呼ばれる事となる。
その後、情報を暴露しようとした者を捕らえ、秘密裏に処分されることとなった。
では、そこまでして政府が隠したかった物とは、一体何だったのだろうか?
ー ロズウェル事件の数年前 ー
1人の男が廊下を走り、とある人物の元へ急ぐ。その顔はとても焦った表情をし、今にも世界が終わると言い出しそうな程だ。
男がその人物がいる部屋の前まで行くと、ノックもせずに中へと入る。
「何事かね騒々しいな」
そこには数人の男達がいる。その中で、後ろに手を回し、外を眺める男が口を開いた。
「どうした、何かあったのか?」
その言葉に男は口を開く。
「はい、"大統領"」
そこはアメリカ合衆国、ホワイトハウス。
大統領の名は"フランクリン・ルーズベルト"。
部屋にいた者達は皆高官で、ルーズベルトと話をしていたようだ。
「どうした、ソ連がミサイルでも撃って来たか?」
ルーズベルトの冗談に、周りの高官達が笑う。しかし、飛び込んで来た男はそれよりも恐ろしい事だと話し、ルーズベルトに詳細が書かれた紙を手渡した。
「なんだ、一体何があったと言うんだ?」
そう言いながらその紙を読み始めると、急にルーズベルトはその紙に顔を近づかせ、手が震え始める。
見ていた高官達は一体何が書かれているんだと話し合い。やはりソ連がミサイルを撃ってきたのでは? と言う者もいた。
ルーズベルトが読み終えると、静かにここに書かれている事は本当に事実なのかと、入ってきた男に質問を投げる。
そして男はひと言、「事実です」と言い、実際に一度それを見て来たと語った。
「ネバダ州の南部にて発見してしまいました」
男はその恐怖を目の当たりにしてからと言うもの、思い出す度に恐怖で体が震えるとも語った。
ルーズベルトはその男の言葉に愕然とした。それは決して人が触れてはならないとされる存在だからだ。
「しかし大統領、アレは死んでいる様なのです」
「ッ……本当か?!」
「はい、心臓が動いていない事を確認しました。しかし、死んでるとは到底思えない程で、今にも目を覚ますのではないかと考えると、また……か、体が……」
余程恐ろしい物を見たのだろう。高官達は男のその怯えようが尋常ではないと悟った。
「そ……そうか」
ルーズベルトはそれがどれ程恐ろしい物なのか、実際には知らない。
しかし、代々伝え聞いた真の真実は、それの存在は国家どころか全世界の脅威に成る程に恐ろしい存在だと伝えられている。
その為、ルーズベルトはそれがどんな物なのかこの目で見て見たいと思った。
「それともう一つ、そこに書かれてる通りです」
男はルーズベルトに、もう一つの報告はそのままの通りだと伝え。ルーズベルトはもう一度報告書に目を通した。
「そうか……、彼だけがミイラとして見つかったのか」
「はい」
「そうか……、では私も一度そこに行くとしよう」
数日後、ルーズベルトは高官達と共に、それが見つかった場所へと赴く事にした。
ー ネバダ州南部 ー
ルーズベルト達が訪れた場所は、何かを建設している最中のようだった。
そしてその建設中に地面が落盤し、そこには大きな縦穴が姿を現した。
工事関係者がその下になんとか降りたところ、偶然それを発見してしまい、報告が来たそうだ。
「深さはどれくらいあるのかね?」
ルーズベルトはホワイトハウスに報告書を持ってきた男にそう尋ねた。
「およそ100メートルの深さがあります。下に何があるのか確認するのに相当時間が掛かったそうでして、報告が遅れたそうです。今は簡易ですがエレベーターを付けてあるのでなんとか降りる事が出来ます」
ルーズベルト達は案内されたエレベーターに乗り、地下深くへと降りていく。
降りると、そこには大きな空間があった。
「ご覧下さい大統領。アレがそうです」
男は指を差す。それは直ぐ目の前だ。
ルーズベルトだけでなく、共に来た高官達が見たものは息を呑む光景がそこに存在していた。
そのルーズベルト達は、気がついた時には皆、伏して拝んでいた。
「なんて凄さだ……、まるで、まだ生きている様だ……」
それはまるで生きた夜の如き、何処までも深い漆黒の竜。
「なんて禍々しさだ……」
ルーズベルトは息を呑んだ。
その竜の前に立っているだけで、恐怖の余り心臓が止まってしまいそうに成る程、余りにも恐ろしかった。
「ご覧ください大統領。この竜の胸にはもう一つの口が御座います。その口の中には大きな目玉があるのですが、そこに黄金の大剣を突き刺した状態の剣士のミイラが確認出来ます」
男が指を指す方に、そこには黒い鎧を装備した剣士のミイラが存在した。
「頭は歪な剣とワニを合わせた様な形をしています。そして後ろへ曲がった太く立派な二本の角と、その下にヤギ、または悪魔を彷彿とさせる角が前へと伸びた二本の角。……そして口の中はまるでナイフの様な牙が二重に並び、両頬から突き出してる様な大きな牙が上下に生えています。四つの目を持ち、眼は夜の如く漆黒、そこに地獄の業火の如き真っ赤な瞳。……正直……私自身信じられません……。しかし、実際にここに存在しているのです!」
男は恐怖の余り、体を震わせながら説明をした。
男の目は現実から目を逸らしたいのか動揺し。顔を引き攣らせている。
「なんて恐ろしさだ……。ん?」
だがルーズベルトはそんな男とは違い、竜に近づいてまじまじと見つめた。
「大統領危険です! 余り近づかれたら怪我をしてしまいます!」
男は焦った表情でルーズベルトに手を伸ばし、それ以上近づいてはいけないと叫んだ。
「だがしかし君、この竜は死んでいるのだろう? 心臓が止まっていると言ったのは君じゃないか」
ルーズベルトは冷静だった。
「た、確かに死んではいます。しかしよくご覧になって下さい! 先程申しました通り、胸にも口が御座います。そこには歪な目が幾つもあり、その口の中にも巨大で凶々しい眼が一つ。……そして私が大統領の怪我を恐れたのは、全身夜の如き漆黒の体に、逆鱗の様な突起がある甲殻や鱗で覆われているからなのです。それはまるで全身凶器の如くに」
「うぅむ……、確かにこれは危険だな」
そう言ってルーズベルトは数歩後ろへ下がった。
「……竜の翼は八つ。両肩から三本の爪が付いた二本の長い触手。そして両腰にも同じ触手が二本ずつ、肩と腰を合わせて計六本あります。……しかも肩甲骨にはまるで大剣のような触手が四本御座います」
「こんな爪に掴まれたらひとたまりも無いだろう。しかし、この竜は何故、この剣士をその爪で攻撃しなかった? これじゃただのお飾りじゃないか」
「ごもっともなご意見です。触手はただ存在し、ダラリとした状態です。……しかし、その爪だけでなく、その触手はまるで棍棒です。それに体同様に存在する逆鱗と、ナイフの様な棘があるので、ただ振り回すだけでも危険ですのでその様に攻撃をしていたのかも知れません……」
「そうかも知れないな……」
「そして大統領、もう一つ注目して欲しいのがこの尾の長さです。尾にも逆鱗の様な突起の他に、一つ一つの甲殻に一本ずつ、ナイフの様な棘が存在しています。その尾の長さは体の4分の3以上はあり、さながら大蛇の如く長大です」
「恐ろしいな……。この尾を、どの様にして使っていたのだろう……。それにしても何故こんな形をしている?」
その長大な尾は、まるで蛇の様に自身を中心としてトグロを巻く様にしていた。
「これではこの剣士と満足に戦えなかったのではないか?」
そこに高官の1人がそう言った。
しかし、ルーズベルトの目にはそうは映らなかった。
「体高約7メートル、尾を含めれば体長30メートル以上。そしてこの竜の特徴を見るからに恐らく……」
「ふむ、間違いないだろう……。この竜の名は……、"アルガドゥクス"。……古の時代に封印されし最強にして最凶と恐れられし存在。その存在は余りの恐ろしさ故に歴史からその名を消されし竜の王……。なんて堂々たる姿だろうか……」
気がつけばルーズベルトは涙を流していた。
余りの迫力、存在感、禍々しさ、何で涙を流していたのか誰にも分からない。
「君達には私のこの涙の意味を知る事は出来ないだろう」
ルーズベルトはそれだけを言い、竜に対し、深々と頭を下げその場を去った。
「(出来ることであれば、アナタがこのまま眠り続ける事を私は心より願います)」
その存在は禍々しい限りだ。しかし、ルーズベルトにとってそれだけには見えなかった。
「(アナタがその剣士を見る顔を見ると、私は……。そうか……だからアナタはその剣士を……)」
ルーズベルトが気にしたのは竜の顔だ。
剣士のミイラを見るその目その顔は、歴史からその名を消される程の恐怖を感じさせない、穏やかな笑顔にすら見える。
それはさながら、子供を見る目に……。
この出来事があり、その周辺一帯をほぼ隔離する事になる。
それが後に、"エリア51"と呼ばれる立ち入り禁止エリアとなった。
決して起こしてはならない。
決して他言してはならない。
決して見つけてはいけない。
それを絶対に護れる者だけがアメリカ大統領となれる。
しかし、例外はいた。
その為、秘密を守る為にやむなくその者を暗殺。
竜の存在を知っているのはバチカン、少数の国の首脳、そして特別に一部の者が知っている。
竜と騎士は旧約聖書よりも遥か太古の時代に存在していた。
それは歴史の表では決して語られることの無い、裏の歴史……。
……かつてこの星、いや、この世界には幾つもの種族が存在していた。
人は勿論、神や魔族も存在していた。
そして多種多様な亜人達も。
しかし、ある日を境に、全ての調和が破られることになる。
それは……。
最強にして最凶、最悪にして最厄、ありとあらゆる生きとし生ける物の頂点に君臨する絶対的な竜の王にして神。
絶竜王・アルガドゥクスを激怒させた事によって全ての歯車が狂い始めたからだ。
その圧倒的な存在により、天地は泣き叫び、空がガラスの様に砕け落ちる。 ーー
かつてこの世界には人、神、魔族、多種多様な亜人達が暮らしていた。
そして、数え切れない程の命が散った……。
それはとても悲しく、誰もがアルガドゥクスをどうにか止めたかった……。
その為に、この世界は一度滅びる事になる。
だが滅びる前に。当時、多くの種族が別の世界へと渡って避難した。
そうして今から6500万年前、多くの命と引き換えにアルガドゥクスをどうにか止め、永久封印する事に成功する。
それから時が経ち、この世界の地上には再び人が現れた。
だが、まだ人とは言えない。
そこで避難した者達が数人、この世界に戻って火を教えた。道具を教えた。
そして再び人が産まれた。
だが、この世界の人々は争いを好んだ。
その中でも特に信仰に熱心な者達にだけ、向こうから来た人々は真実を語った。
そして隠させたのだ。
下手にその話を聞き、どこに封印されているか解らないアルガドゥクスを利用しようと考える、争いの好きな者達から。
秘密を守る為に、話を聞いた者達はどこで漏れるか分からないと考え、世界中に散らばった。
話を捏造し、本当の真実を隠す為に。
そしてあらゆる伝承が誕生した。
後にキリスト教が生まれ、その教団が全ての中心へとなる。
後にそこはローマ教皇庁、つまりバチカンと呼ばれる事になる。
この世界において、アルガドゥクスを知る総本山として。
長い年月をかけ、アルガドゥクスがこの世界の何処かで眠るといくつかの国に真実を話す。
全ては世界を守る為、他の世界をも守る為に。
だが、いつしかでっち上げた伝承により、この世界には幾つもの争いが。
再び生まれる。
いつまで経っても争いの絶えない世界だ。
それは向こう側の世界にも言えることになってしまう。
時が経つと言う事は、真実は真実では無くなる。
永遠なる夜の燈を、人々は忘れてしまったが為に……。
そして物語は現代へと移り変わる………………。
以前書いていた『終焉を告げる常闇の歌』を、更に読みやすく、もっと読みやすくするために作り直す事に致しました。
まず、初めて読まれる方はここまで読んで「面白そう」「どんな世界か気になる」等、なんでも構いませんので、よかったらブックマーク御願い申し上げます!!
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