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グッド・キラーズ  作者: 実茂 譲
Episode 1. ポーク・アンド・ビーンズ
5/27

それはきっと幻で

 何もない。

 死んだあとには何もない。


 空は黒かったが、闇に閉ざされているわけではなかった。

 塩のように白い地平がどこまでも広がっている。


 一人ぼっちだ。


 ジャンはたまらなく悲しくなった。

 自分を憐れんだのではない。

 仲間を、団長を、ナディアを思った。

 みんなも同じような場所に一人で放り出されたのだと思うと、途方もなく悲しくなった。


 もし、神がいるなら、お願いだ。


 おれを地獄に落としてくれ。


 そのかわり、みんなを天国へ導いてくれ。


 ただ、おれは地獄に落ちるのにふさわしい人間になる。


 あいつらを皆殺しにしてやる。


 あいつら全員を。



 …………。

 全てが揺らいだ。血肉が、感覚が戻ってきた。

 小唄がきこえた。

 きいたことのない調べ。まるで遠い異国の唄だ。

 息遣いの優しい、安らぎの唄。


「大丈夫」


 声がきこえた。


「ここは安全よ。だから――」


 まぶたを開く。黒い瞳の少女が優しげに微笑んでいた


「ナ、ディア……」


 かすれた声でささやいた。


「眠りなさい」


 口元にコップが寄せられる。ジャンは逆らうことなく、それを飲んだ。

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