まずは見方を騙す!! #3
ッバン!!!
「大変です魔王様!!」
俺が物思いにふけっていると、あの大きな鉄扉が勢い良く開かれた。
扉を通って来たのは、全長4メートルはあるトロールだ。トロールは俺を一呑み出来る程の大きな口から、
苦しそうに息を吐き地面に手を着いた。
そんな見苦しい姿に苦言を出したのはレイだ
「なんだ貴様! 急に王室に入って来て扉まずは閉めよ!」
(いや、扉は後でいいよ!!!)
「申し訳ありません。」
トロールはそう言うと、すごすごと扉を閉めに向かう。
「いや! 扉は良いから何かあったの?」
「よくありません! こういった所から行儀は損なわれて行くのです!! 開けたら閉める。出したらしまう。
それは基本的な事です!」
「え、でも…物凄く大事な事かもしれないし…」
俺が口をモゴモゴしながら意見するとレイは瞳を細くし、俺に視線を向ける
「大事な事なら行儀を差し置いてもいいとお思いですか? 失礼ながら、魔王様前から上申を考えていましたが、魔王様は行儀が悪ろうございます。トイレに行った後は手を」
「あぁ! 分かったよ! ちゃんと行儀良くするから」
俺がそう言うと、レイの瞳は元に戻りトロールの方へ向き直った。その頃にはトロールは扉をきちんと閉め、跪き物申す体制に入っていた。
そんなトロールにレイは近づきながら
「それで、何があった?」
トロールは恐る恐るな感じで口を動かし出した。
「それが大変信じられないのですが…北の赤日び城で六魔神の1獣ロザリウス様が勇者様ご一行に破れました!」
「え!!!!」
俺は驚きのあまり椅子の上に立ち上がった。
俺が驚くのと同時にレイも、声を上げた!
「貴様!!!! なぜ勇者を丁寧語で語る!」
(そこ!!!?)
レイはトロールにおもいっきり蹴りを入れ、そして更にトロールを足蹴にしながら
「そんな大事な話をココへ来た時に何故さっさと話さなかった!」
(ひ、酷い!!! なんて傍若無人な振る舞いなんだ! 流石魔獣!!!
それに、報告が遅れたのはアンタが扉を閉めろと…)
恐らく、ココにいるゴブリンと俺は全員がそう考えたと思う……
何かを感じたのか、レイは声高々に
「いいか! もし、コヤツが扉に飛び込まず。礼儀を尊重し、躾正しく整った出で立ちで扉を開け、閉め、
冷静に敵である者を判断し、間違わぬ言葉を選んで話していればこうはなっていなかった。違うか?」
(ま…そうだけど…なんか…なんか…ちょっと違うような…)
レイは踏みつけたトロールから離れると同時に、自身の羽を一つ摘み、トロールに投げた。
羽に触れたトロールを緑の光が包、レイから負ったトロールの傷がたちまち治癒していく。それを見たレイは
「体は大事にしなさい。」
(どんなツンデレだよ!!!!! そのやり方はDVの常套手段じゃねーかよ!!)
「魔王様」
「え?」
「まずは椅子の上に立つのはやめましょう」
「はい。」
俺はレイの言うことを素直に聞き、椅子に座った。
「レイ。六魔神のロザリウスってたしか…」
「えぇ、最強の肉体を持ち、あらゆるモノからの攻撃を防げた物です。」
「それが何で?」
「恐らく…」
「大変です! 魔王様!!」
次は天井からゴーストがすっと天板を透き通り、俺の前に跪ついた。それを見たレイは
「よし。」
(あ、これは良いんだ…)
「何があったの?」
俺が聞くとゴーストは
「東の亞苦亞苦の古城にた六魔神のレイス様が勇者一行に倒されました!!!」
「ええええ!!!」
「椅子! 立たない!」
立ち上がろうとした俺をレイは見るまでもなく収めた。
「でも、このままじゃ勇者達がココに攻めてきてもおかしくないだろ??」
椅子の上を立てない俺は、椅子から足を投げ出し、不安で落ち着かない心を落ち着かせようと、椅子前で足をブラブラさせる事しか出来ない。
その様子を見ていた、ゴブリン、トロール、ゴーストはいきなり歓声を上げた。
「え? なになに?」
急な歓声に俺はびっくりしていると、所々から俺の事をささやく声が聞こえて来る。
「魔王様がこの状況で喜んでいらっしゃる!!」
「あんなに足をブラブラさせるなんて」
「なんて子供のようなはしゃぎ方だ! 魔王様は戦闘を喜んでいらっしゃるのだ!!」
「魔王様今回の勇者達を葬りましょう!!」
「見てください! この勇者達の石像を無念悲惨の面持ち! 我々が質素に暮らしていた土地や財宝を力で奪とこうなる事を他の勇者いや!偽善者共に思い知らせてやりましよう!」
ゴブリン、トロール、ゴースト達の歓声と士気がどんどんと上がっていく時
「静まれ!!!!!!!!!!!!」
音を支配したのはレイだった。
「いいか、仮に勇者軍と戦うとしても魔王様の力は使わん」
(え?)
「な、何故ですかレイ様!! 魔王様がいれば勝てるんですよ!!」
トロールが体を起こしレイに向き合う
「いいか。魔王様は最後の砦だ、いきなり王が前線に立つわけが無いだろう。」
「それもそうね。そんな事よりどうして一度に六魔神が二人もやられたのか? こっちの方が重要じゃない?」
その声は俺の耳元から聞こえ初めた、俺が振り返ると肩の上に妖精? が立っていた。
「うぁ~!!」
俺の驚きの声を聞いたレイは翼を広げすぐさま俺から妖精をひ剥がしてくれた。
「ハイト無礼がすぎるぞ!!!」
「な、なにアイツ…俺はふくよかなレイの体に包まれながら聞いた」
「…魔王様全て突付けなのですが…」
「あ、ごめんいきなりだったから心情と分けるの追いつかなかった…」
「申し訳ございません魔王様。私は妖精ハイトです。」
ハイトはそう言うと妖精の姿から幼女の姿に変わり、俺達の目の前に立った。
(うわ可愛い。髪は金色でツインテールを更に巻いてい、正に小悪魔的だ。極めつけはまだ成長途中の体にサイズ感が合っていない、少し大き目の小パンにシャツ。…か、かわえ~~~)
「レイ。そんな事より本当に不味いことになったわ。」
ハイトは俺の下心満載な、瞳を無視して真剣な面持ちでレイに話しだした。
レイも何か気づいている様子でハイトを見た後、ゴブリン達全員に命令をさした。
「皆のもの! 一時、魔王室より退出せよ!」
ざわめくゴブリン達
「早くでぬか!!!」
レイの一瞥ゴブリン達は扉に向かっていく。
「あ、トロールお前は最後に出よ。扉閉め係りだ。」
そう言われたトロールは最後のゴブリンとゴーストがいなくあなった後、扉を丁寧に閉め出て行った。
静まった部屋にはレイ・俺・ハイトの3人のみの息遣いが聞こえる。
「あの~コレから~」
「まず最初に、レイス様、ロザリウス様が討たれた事はしょうがない。」
ハイトは俺の言葉を遮り
(魔王なんですけど僕…)
「そうね…問題は」
「「同時期ということ」」
二人はそう言うと同時に俺を見た…
「え…は、はにゃ?」
「魔王様あなたやっぱり…」
つづく
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