まずは見方を騙す!! #1
(後はこの窓を抜けて川に飛び込めば・・・)
「魔王様! 今度はどちらに行こうとされているんですか?」
俺は逃げ出さそうとしていた窓を閉じ
「や、やだな~。ちょっと川を眺めていただけだよ。ははは」
俺はそう言って引きつり笑いで振り返った。
「そうですか。では、存分に川を眺めてください」
「いや、もういいや」
「じゃあ、魔王室に戻りますよ」
「…はい」
俺の名前はブルー。先週9代目魔王だった父が肺炎でこの世をさったおかげで、
10代目魔王に就任した。
魔王に就任するという事はつまり、魔王の王国アラガンタを収め、正義を振りかざす、
勇者達を滅ぼし、世界の国名を全てアラガンタに統一しなければならない。
また、魔王に就任する権利を持つのは、直系男子第3子までだが、父の子は俺のみ…
つまり父無き今は自動的に俺が魔王になったわけだが…
『俺には魔力がほとんどない!!!!』
魔力がなければ、勇者達と戦うなんてできる訳がない!!!
父はそれは凄かった。魔力で大地を揺らし、豪炎の息を吐き、あらゆる自然の力を自在に操った。
まさに魔王だったが、なんで。なんで…なんで肺炎で逝ってしまったんだよ!!!!!
ま、そんな事で俺はそんな父と渡り合った勇者達が攻め込んで来る事を考えると夜も眠れなく。
ここ一週間、俺はどうやってこの魔王城から逃げ出すのかを考える毎日なんだが、コイツ…レイは俺が何処にいても必ず見つけ出し魔王室に連れ戻す。
何処に隠れてもだ。ゴブリンの賭博場にいても、ハーピーの虹の花園にいても、人魚の緋色の水瓶の中にいても、
どこにいても必ず、「魔王様! 魔王室に帰りますよ」っっだ!!
せっかく魔王になったんだから、多少の職権乱用で可愛い魔人たちの花園にお邪魔しても…いいよな?
うん! いい! 俺が許す! だって俺魔王だもん!
………魔王って事はやっぱり戦わきゃだめだよな…
「魔王様!」
「え? あ、はい!」
「着きましたよ」
「…はい」
そう言うとレイは大きく、そびえ立つ魔王室の扉に向かって
「魔王ブルー様がご入室だ!!!」
つづく
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