表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/94

欲しい・・・

更新します。

繁忙期にはいるので、超更新が遅れるかも。

           挿絵(By みてみん)

             「先輩が・・・啓二さんが・・・欲しい。」 

                 「薫が・・・欲しい。」






改札から吐き出されてくる人達を眺めている。

忙しそうなサラリーマンやOL、そしてカップルや女性・男性同士のグループ。

皆幸せそうに石塚薫には見えた。

季節は冬へと変わり、年の瀬を迎えようとしていた。

ショート丈の黒のダウンジャケットに、白いセーター、Aラインの黒のミニスカートに黒のソックスブーツ、出来るだけお洒落をして来たつもりだ。

待ち合わせ場所の駅の改札で、自分の体を動かしながら変な所は無いか確認する。

「薫。」

声を掛けられ慌てて声の主に視線を向ける。

「待った?」

笑顔の神居啓二先輩が立っていた。

白のブルゾンに、ブルージーンズ、細身で背が高い。

薫は笑顔で啓二先輩の腕にしがみつく。

こうして二人で歩けるのも後数か月しか無い。

啓二も薫から話を聞いており、残された二人の時間を大切に過ごしていた。

「少し急ごうか。」

啓二は薫の手を握り走り出す。

人ごみの中を二人視線を絡める、白い息が後ろに流れていく。

今日は映画を二人で観る予定だ。

薫が観たがった恋愛映画、ちょっと大人なシーンもありながら最後は涙を流していた薫。

映画を見終わった後、喫茶店で映画の内容について話していた。

映画以外の世間話で笑いながら、二人の時間を楽しんだ。

ウィンドショッピングや、ゲームセンターなどで遊び、時間があっと言う間に過ぎていく。

朝から曇っていた空から白いものが落ちて来た。

「雪・・・」

二人して空を見上げる。

都心にある小さな公園、雪が降り始めて家路を急ぐ人たちが見える。

色とりどりの傘が行き交う。

「先輩・・・・」

雪を見上げていた忍の腕を薫が引っ張る。

上を見上げる薫の顔が涙を浮かべていた。

「薫。」

啓二は優しく薫を抱きしめた。

「先輩と・・啓二さんと会えなくなるなんて・・・やだ。」

啓二の抱きしめる腕の中で、泣いている薫。

「啓二さん・・・」

薫が顔を上げて目を瞑る。

啓二がその頬に手を当て、優しく口づけを交わす。

ぐいっと啓二の首に薫がしがみつき抱き寄せる。

前屈みになった啓二の唇に激しく自分の唇を重ね、舌を絡めてくる。

「はぁ・・せん・・ぱい。」

「かおる・・・・」

二人の唇がゆっくりと離れる。

「先輩が・・・啓二さんが・・・欲しい。」

潤んだ瞳が揺れている。

「薫が・・・欲しい。」

二人の瞳が揺れ、そしてキス。

雪が二人を隠していた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ