言えないわよ・・・
ショートですが、更新したします。
※「あのさぁ、最近の高校生ってさぁ?どんな感じなのかなって?」
「ねぇ、楓。」
リビングダイニングに移った二人は6人掛けのテーブルの真向かいに座り、ビールを飲んでいた。
楓もタンクトップにショートパンツに着替えて、テーブルに向かっている。
姉に呼ばれてそのまま話を聞く。
「あのさぁ、最近の高校生ってさぁ?どんな感じなのかなって?」
要領を得ない問に首を傾げる楓。
「どうって・・・何が聞きたいの。」
姉はビールの缶を両手で弄りながら、どう切り出すか考えているように見える。
薄い灰色のパジャマを着た姉はビールを一口運ぶ。
「あの、これは知り合いの話なんだけどね・・・」
「知り合い?・・・・会社の。」
「うん。・・・そう、同僚の子供に高校生の女の子が居てね。」
「それで?」
楓は姉の顔を覗き込む。
「その、その同僚の娘さんがね・・・娘さんがその、ファザコン?て言うの?それが何となく激しくて・・・」
楓は眉間に皺を寄せる。
姉はまたビールの缶を弄りながら話す。
「その・・・人前でもスキンシップが激しいとかで、知人の旦那さんも困っているらしくってさぁ。」
「それで?」
「その・・・最近はその、そんな感じの子が多いのかなって?今はそんな感じが普通なのかなって?、その同僚が悩んでてさ。」
姉の何か歯に物が挟まったような言い様に、ビールを一口飲む。
「お姉ちゃんさぁ、いくら高校生って言っても、所詮は子供だよ。まだ親に甘えたい時もあるだろうし、そんなの一時の事。その同僚さんも安心して大丈夫よ。」
「そうかな・・・・」
「そうよ、そんな物よ、陽菜乃ちゃんもパパ大好き!って言っていたでしょ。それと同じよ、一過性の物だから大丈夫よ。」
「そんな、陽菜乃はまだ子供よ、高校生と一緒にしていいの?」
「所詮はまだ子供って事よ。」
二人で小さな溜息をつきビールを飲む。
「お姉ちゃん、ビールもう一本おごりね。」
「仕方がないわね。」
姉はそう言うと苦笑いを浮かべながら立ち上がり、冷蔵庫からビールを取り出す。
この家の冷蔵庫は、姉の陽詩のビールの棚と、妹のビールの棚が別々なのである。
ビールを勢いよく飲んだ楓が姉に向く。
「さっきの話の同僚の人って、前に偶然会たって言ってた元彼の事。」
何となく気になった楓は姉に聞くとは無しに聞いた。
「え?うぅん、それとは関係ない、さっきも言ったけど、会社の同僚の話しだから。」
なんとなく話しを濁してしまう。
「・・・・あっそう。」
楓は何か引っ掛かるものがあったが、直ぐに頭からかき消しイスから立ち上がる。
「何か食べる物あったかな。」
台所におつまみを取りに行く楓を見つめる。
「高校生相手に嫉妬してるみたいで、言えないわよ・・・」
陽詩は小さく溜息をつき呟いた。




