楓
今回もアダルト(性的な表現)な内容が続きます。
そのような表現が苦手な方は、このページより離れて下さい。
テーブルに座ったまま月菜を見送った楓は、目の前の冷めた珈琲を口にする。
少し落ち着こう・・・自分に言い聞かせる。
これからが大変だ・・そんな事を考えていると、月菜が放った一言が頭に浮かぶ。
「私はパパを抱きしめて、パパに馬乗りになって、パパを押さえつけて、むりやり・・無理やりキス(※舌を絡ませて・・)をしちゃった・・パパに愛しているって告白した時の、パパの驚いた顔は今でも忘れない・・」
※(舌を絡ませて・・)楓の怒りに任せた妄想がプラスされています。
頭の中に月菜の「無理やりキス(舌を絡ませて)・・」の言葉がリフレインしている。
ふつふつと怒りが込み上げてくる、神居月菜に対する怒りが溢れ出し、心の中の楓が般若の形相で関東平野の街を破壊しまくっている。ウガァー!!
・・・・待って。
東京スカイツリーを怒りに任せて破壊しようと手を掛けたとき・・・ふっと思った。
実の娘とキス?・・・・そんな話、忍から聞いてないんですけど。
心の楓が冷静になる、いつキスしたの・・・なんで私に話してくれなかったの・・いつ?なぜ?いつ?なぜ?
・・・何故黙っていたの、冷静に考えれば娘にキスをされ告白までされているのに、その事を何故私に話してくれなかったの???・・・・疑問。
段々神居忍に対しての猜疑心が沸き上がる。
楓の膝上の拳がワナワナと震えだす。ついでにテーブルもガタガタと唸りだす。
(神居忍君、そう言った大切なことは先生に報告するように。大事な事ですよ。)
教師の楓がつぶやく。
しかも、「私はパパを抱きしめて、パパに馬乗りになって、パパを押さえつけて、むりやり・・無理やりキスをしちゃった・・」はぁ?(※2回目リフレイン)
思い出す度、楓の怒りが頂点に達し、サナギマンからイナズ・・口から火を噴きそうになる。
なにそれ・・・押さえつけて・・・逆レ〇プですか?私・・忍からその話聞いてないんですけど。
(忍くん、先生に相談することはないですか?)
実の娘とキスした・・・聞いてないんですけど。
(忍くん、日直はその日の出来事を学級日誌に書いてください。)
「パパを抱きしめて・・パパに馬乗りになって・・パパを押さえつけて・・無理やりキス・・」(※3回目リフレイン)
そんな具体的な話、忍から聞いてないんですけど・・って男だろ!忍!跳ね返せよ!!!
(忍くん、先生は悲しいです。隠し事は良くないと思います。)
食堂の一角から不穏な黒い空気が立ち上る・・・・。
私より先に馬乗り(騎乗位)・・・・私より先に押さえつけて(拘束プレイ)・・・、私より先に舌を絡ませ(ディープキス)・・それは私の方が先?
テーブルに突っ伏して頭を抱える楓、頭の中を整理しているとこんな事より重要な事を聞いたような気がした。頭を抱えブンブンと振り回す。
「うっ・・なんだっけ・・・何かもっと凄いことを聞いたような・・・」
「あっ!」思わず楓の頭に天啓が下った。
それは、月菜の独白の最初の方の言葉・・・
「こっちに越してきて暫くしたある日、パパが遅く帰って来たの、確か会社の歓迎会って言てた・・・その日、パパから香水の香りがして・・私、パパに女の人が出来たんじゃないかって・・」
楓の目が冷たい光を湛える。
「会社の歓迎会?香水の香り・・・」
私以外の女の香り・・・私より先に関わった女・・・・怒!怒!誰!ウウガァアー!!!
般若の楓により東京スカイツリーは灰燼に帰したのであった・・
バン!食堂中に響く打撃音、楓はテーブルを思い切り叩き立ち上がる。
忍・・・覚悟しなさいよ、お見舞いの時間はまだたっぷりあるんだから。
楓は、キーキー唸って暴れていた。
何故か怒りの矛先が、憎き月菜から忍へとシフトチェンジされていた。
神居忍くん・・・ご愁傷様です。
合掌。




