心と体・・・そして真実
今回もアダルトな内容が含まれております。
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※もし・・・パパが触れてくれたら・・・想像する。
黒板に書かれる英語の文章・・コンコンとチョークが黒板を滑る音が響く、月菜は黒板に視線を向けてはいるが教師の説明が耳に入らない。
黒板に書かれた英文を、ただ・・ノートに書き写していた。
カーテン越に雨音が響き、すやすやと眠っていた月菜を優しく起こす。
「・・・・うっ・・・」
目をゆっくりと開く、いつの間に寝たのだろう。
ゆっくりと体を起こすと、軽く両手を上げて体を伸ばす。
そして、自分が制服のまま寝ていた事に気が付いた。
乱れた制服のスカートから雪のように白い足が伸びている。
「・・・・・・・・しのぶ・・」
昨日の自分の行動を思い出す・・・・
「パパに、キス・・・好きだって言っちゃった。」
その時の事を思い出して顔を赤くする。
ゆくりと自分の唇に指で触れる、忍とのキスを思い出す。
忍に馬乗りになり、押さえつけ、自らの意思で忍にキスをした・・・そして「愛してる・・」
二度目のキスは大人のキス、雑誌やネットでは知ってはいたが自然と体が動いた。
はしたないと思われても、どうしても止められなかった・・・慾・・・自分の忍に対しての慾。
恐る恐るゆっくりとパパの中に入り込み、やっと探し出した舌に自分を絡めた。
忍と、パパと一つになった気がした・・・、忍を離したくなかった、パパを誰にも渡したくなかった。
あの瞬間、忍に、パパに全てを捧げても良いと思った。
これが・・これが大人になると言う事なのか・・
思い出しただけでも体が熱くなる・・・・
「あっ・・・・はぅ。」
自分の体の衝動に自分自身を抱きしめる・・・
もしあのまま忍に全てを捧げようとしたら受け入れてくれたのだろうか・・
皺だらけになったシャツ・・・そっと胸元に手を当てる、もし受け入れてくれたら・・想像しながらゆっくりと自分のシャツのボタンを外す・・全てのボタンを外し終えた月菜は、白い可愛いデザインのブラに包まれた、大人に成りかけた膨らみに指をのばす・・
もし・・・パパが触れてくれたら・・・想像する。
「はっ・・・・・・うっ・・」今迄何度も想像した・・何度も・・何度も・・・でもパパと唇を交わしたことで、さらに想像が・・欲望が上回る・・・「パパ・・・・」・・・・もう片方の手が・・・太ももに触れる・・
そして・・・段々と・・・ゆっくりと・・・太もものその奥に指が流れる・・「しっのぉ・・・パっ・・ぱ・・・あ・・い・・はぁっ・・・」
月菜の顔が苦しそうに歪む、眉間に苦悶の表情を浮かべ、瞳が潤み少し開いた口から吐息が漏れる。
もう・・・体は大人なのか・・・子供なのか・・でも・・・・好きな人を思う気持ちに大人と子供の差は無いのかもしれない。
替えの制服に着替えた月菜は、昨日の事が夢でない事を再度確認したかった。
朝食の準備をしながら忍が起きてくるのを待った。
忍が起きてきたらもう一度キスをしたい・・・昨日の行為を、そして月菜のキスを受け入れてくれたパパが本当なのかを、そして部屋から出てくるのを待った・・・そして部屋から出て来たパパに向かって「おはよう!パパ。」そう声を掛けると忍に抱きつきキスをした。
パパは受け入れてくれた、避けることも無く・・その事を咎めるでもなく。
そして少しの会話・・・・そして忘れないように、忘れられないように頬にキスをして学校に向かった。
でも油断はしない、パパの周りには大人の女性が沢山いる、負けるものか・・・私がパパの一番近くに居て、一番パパの事を知っている・・そして一番愛している。
この恋は破滅だと自覚している、世間からは「性的異常者」そう後ろ指を指されるかもしれない。
でもその時は忍を強引に奪って、誰も二人の事を知らない場所で暮らそう、そう思っている。
後少しで高校を卒業する・・・その時まで・・絶対に誰にも私とパパの邪魔はさせない。
そして誰にも渡さない・・・決して。
黒板に書かれた文を、ノートに書き写す・・そのペン先が月菜の決意を表すかのようにパキンと折れた。
会社の近くにある喫茶店。
「陽詩と再会したときにこの店に来たな。」
そんな事を忍は思い出していた。
あの時と同じように、陽詩が忍の前に座り注文した珈琲に砂糖を入れている。
スプーンが受け皿に触れる音がする。
忍は陽詩が何かを言うのを待った。
「ごめんね、忍・・・時間を取らせて。」
陽詩が珈琲から視線を忍に向けた。
「・・・・・いや、大丈夫。」
忍は陽詩が自分になんの話があるのかと訝しむ。
「・・・忍、・・・あの昔の話なんだけど・・言いにくかったら答えなくていいから。」
陽詩は珈琲を見つめながら、言いにくそうにしている。
「昔の話?・・・」
「うん・・・昔の話。」
忍は陽詩を見つめながら首を傾けた。
「しのぶ・・・私達が別れた理由なんだけど・・」
「・・・・・・・」
「しのぶ・・・・あの時・・・あの時、何か・・・その、何か・・」
陽詩はモジモジするように話す。
「・・・その・・私に・・・本当は私に・・隠している事が・・・」
忍は陽詩のその言葉に、心臓が跳ねた。
「・・・・・」
「・・・・隠してることが・・私に話していない事が・・・あるんじゃない・・」
陽詩は忍の顔を食い入るように見つめた。
忍は陽詩が何を言いたいか理解したが、素知らぬ態度を取る。
「隠してること?・・・そんな事があるわけないだろ・・・あの時、君に話したとおりだよ。」
忍は心を落ち着けるために珈琲を口に運ぶ。
陽詩は手を握る。
「・・・でもね、・・・今考えると・・・ねぇ、忍・・・あなたと月葉さん・・合わないのよ。」
「・・・合わないって・・・何が。」
忍は内心焦っていた・・・ここでバレる訳には行かない、月菜が大人になって幸せになるまでは・・いや、墓場まで持って行かなければならない真実。
月菜を育てるために作り上げたストーリーは最後迄貫き通さなければならない。
「私は貴方と同じ高校だった・・・・・私が1年生の時から貴方と付き合ってたのに、その時には月葉さんと付き合っていた・・・」
陽詩は硬い表情で、忍を睨みつけるようにしている。
その当時陽詩は、自分が専攻したい専門授業が受けられる都心の高校に進学し、親元を離れ叔母の家にお世話になりながら学校に通っていた。
その高校の先輩と後輩の関係で神居忍と高橋陽詩は出会っていた。
「貴方が高校2年で、私が高校1年で・・・交際して・・その時には月菜ちゃんが居たって・・・そんなの・・・そんなの・・・嘘・・でしょ・・・貴方と大学3年迄つきあっていたのよ・・貴方は、そんな上手に隠し事が出来る人じゃなかった!」
陽詩の声が震えている。
「貴方にふられて・・・あなたの事を忘れたくて、こんな事その当時は考えもしなかった・・・・あの当時・・貴方のお兄さんが亡くなって・・確か・・奥さんとお子さんも・・」
忍は陽詩の声を遮る。
「下田さん、何が言いたいか分からないけど、あの当時君に言った事が事実だ、僕はあの当時君を裏切った、そう・・君を傷つけた最低な男だ、何が言いたいのか分からないが、これ以上僕、いや僕達親子に関わらないでくれ・・すまん・・・失礼する。」
そう忍は口にすると、伝票を手に席を立った。
「忍!ちょっとまって・・・・」
立ち上がって忍を引き留めようとしたが、忍は後ろを振り返る事無く店を後にした。
一人残された陽詩は・・・瞳に溢れてくる涙を抑えられなかった・・・本当の事を教えて・・。
「しのぶ・・・・・。」
とめどもなくあふれる涙が、テーブルに落ちて行った。




