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法事

作者: ヒデオ

田舎での法事。

いつもは家族揃って車で出かけるのだが、あいにくと故障してしまい、列車で出かけることに。

子供達は大喜びだったが、妻と私は、重い荷物を抱えて移動するのにいささかウンザリしていた。

それでも何とか田舎の最寄りの駅に着いて、迎えの車が来るのを待っているとようやくホッとした思いになった。

戦前に作られた古い駅舎を何度か改築したところなので、昭和の面影が残っていて、幼い頃に田舎で遊んでいた頃が懐かしく思い出されてきた。

そんなノスタルジーに浸っていると、子供達が私達の方に駆け寄ってきた。

「お父さん、お母さん、駅前に大勢の人が集まってバンザイって言っているけど何かな?」

私達には何も聞こえなかった。

「何も聞こえないけどなぁ。」

「そんな筈ないよ。河合君の出征を祝して。バンザイ!って言っているけど。」

河合は私の苗字だ。出征を祝して?どういうことだ。

そうこうしてるうちに迎えの車が来て、私達は田舎の家へと向かった。

家に着いた私は早速、法事の準備で忙しい中、手持ち無沙汰にしている祖母を捕まえて、駅での出来事を伝えた。

「そうか。それは、私の義理のお兄さん、おまえには大伯父さんに当たる人があの駅から出征してる様子だったんじゃな。

お兄さんは、あの駅から出征して満州で戦死なさったんだよ。

明日の法事はそのお兄さんの為のものだからねー。」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 法事へ行くのにたまたま駅を利用して、たまたま子供には見えて聞こえた……。 大伯父さんが法事参加者にちょっとでも自分のことを知っていてほしいと願ったのかも知れないですね。 大伯父さんのために…
[良い点] 読んでいて景色が頭に浮かびました。 8月15日、今日読む事ができて本当に良かったです。 [一言] とても読みやすかったので個人的にはもう少し文章量があればなと思いました。
[良い点] 出征兵士を見送る過去の声が子供達だけに聞こえたのも、「戦争を知らない子供達」の子供世代(場合によっては孫世代)に向けて、「かつて戦争という時代があり、自分達という先祖や親族がいた。」という…
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