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1.迷子になって

事務連絡です。

プロローグの前書き、後書きを編集しました。本編に変更はありません。

再度、確認しなくても大丈夫です。ご迷惑をおかけします。


今作に、問題点等ありましたら、遠慮なくおっしゃってください。

(著作権や誤字脱字、矛盾点など)


タイトルやキーワード、あらすじ等について、皆様のご意見を募集中です。

ご協力をお願いします。

 彼は、迷っていた。とある大学の敷地の中の木々の間で、立ち尽くしながら。


 彼はその大学の附属の高校の生徒である。背はひょろりと高く、代わりに横は肉がまったくついていない。

 顔は、可もなく不可もなくという感じだが、眼鏡をいつも掛けているので、さも勉強ができるような錯覚を与える。

 

「さて、一体全体どうしたものか?そもそもここはどこなんだ?」


 それが直近の問題である。


 彼は、ちょっとした気まぐれでぶらぶらと歩いていた、はずだった。

 どうやら調子に乗って、よく知らないところまで来てしまったらしい。


 「まあここにいてもしょうがないし、どっかには出るだろう。道もあるし、とりあえず歩こう。」


 当たり前の結論である。


 ともかく彼は歩きはじめた。木々の間を通り抜けるように作られた道を歩きつづける。


 すると目の前に、突然、鉄の門が現れた。

 戦前から残されているような、草が絡みつき、苔は生え放題で、蝶番は壊れかけでそして、どこか神秘的な雰囲気を持っていた。


 「こんな門、あったか?」


 たしかに自然の多い敷地で、いろいろ老朽化している設備の多いこの大学だが、すべての門は、構内マップにかかれているはずだ。そしてその中にこんな、おかしな門はなかった。


 こんな門を見つける前は、どこかしろには出るんだからと甘く見ていた彼も、ことここに至ってようやく危機意識を持ったようだ。

 未知の門に興味をひかれはしたものの、その異質さにも、同時に気づいたのだった。


 「とりあえず、来た道を戻ろう。」


 そう思って後ろを向くと、そこには大木が二本あった。二本の大木はお互いの枝を絡ませ、門番のように佇んでいた。その幹にも枝にも、苔が生い茂っていた。

 その周りも、人工的な自然から原生林の自然へと変貌していた。不規則に木や草が生えていた。

 空気も、都会の淀んだものから草の匂いまではっきりわかるほどの澄んだものになっていた。

 そんな空間に変わったここは、さもここ数十年は誰も立ち入ったことのない土地のようだった。


 当然だが、彼が来た道も、消失していた。


 「おいおいおいおい

 これはどういうことだよ」


 いつもは冷静沈着(な振りをしている)彼にも焦りが見えてきた。

 もうここら一帯で人工物は、あの不思議な門だけだった。


 「いやいやいや待て。ここは21世紀だぞ。21世紀に、こんな馬鹿げたことが起こるはずがない。つまりこれは現実じゃないということだ。」


 自分で言って、自分で納得する彼。

 本当だろか?

 ともかく、そう納得した彼は、さらに思考を続ける。


 「なら、これは夢か?いや、別に今日が特段、眠かったということもないし、寝た覚えもない。

 なら、これは幻か。きっとそうだ。ならば、なにかキーがあるはず……」


 彼は、そういって必死に頭を働かせた。過去、これよりも考えたのは高校の入試ぐらいだろうというほど考えた。そして……


 「そうか!門だ!

 これらすべては、僕があの門を見たときから始まった。さらに、人工物の消えたこの空間で、唯一の人工物があの門。つまり、この事態を解決するキーはあの門だ!」


 そう考えた彼は、わき目もふらず、あの門に飛び込む。

 これできっと、近くの道に出て、ちょっと歩けばいつもの通学路が見えて、そのまま家に帰れると思って。



 ブーブーブーブーブー

 彼が飛び出した途端、警報音が鳴り響きはじめた。


 そこはたしかに、どこにでもありそうな住宅街だった。

 穏やかな夕暮れ。

 買い物からの帰りだろう女性が、買い物袋を手に提げて歩いている。

 学校帰りだろう、制服を来た生徒たちが、通学かばんを持って家に帰っている。

 スーツを着ているサラリーマンが、せわしなく歩いている。


 だが、そんな何気ない風景も、警報が鳴り出したと同時に消えてなくなった。


 だれもかれもが固まった。

 それまで普通に生活していた人々は、一瞬止まり、そして周りをうかがいはじめた。


 「誰が、なにをやらかしたんだ?」


 そうとでもいうような様子だった。


 「え、これ何?なんかやらかしたか?」


 すべての元凶である彼が、そう言った。



 それからすぐのことだ。きっと一分もたっていないだろう。


 ドタドタドタ


 上品さのかけらもない足音が近づいてくる。それも複数。


 「そこの男!」

 

 よく見ると、彼らは揃って軍隊のような服装をしていた。

 旧日本軍のシンボルであるカーキ色の軍服らしきものに身をつつみ、長い銃を肩に抱えながら走っていた。


 急いで走りたいんなら、そんな重そうな銃を置けばいいのに。

 もう一度いうが、すべての元凶である彼はそう思った。


 「おい!今どっからでてきた!?」


 また、走りながら男たちのうちの一人が叫んだ。


 「へ?僕?」

 「そうだよお前だよ!」

 「な、何のようですか?」


 吃りながらも、何とか未知の事態に対応しようとする彼は、普段なら"立派な人"だっただろう。だが、ここは彼の"普通"ではないということを忘れてもらっては困る。


 「そこは、大日本帝国の国有地で陸軍技術研究所の敷地だぞ!知らないとは言わせん!!」

 「いや、知りませんけど……。

 ていうか、ここは某大学の敷地ですよ。むしろ、あなたこの大学知らないんですか?」

 

 かなりの危機的状況だというのに、相手を挑発するようなことをいう彼。怖いもの知らずというか、図太いというか……。

 ともかく、この発言は、彼の評価を急落させることとなった。


 「なにを言ってるんだ!?

 大学!?そんなものがある訳ないだろう!

 怪しい奴め!

 もういい!お前は不法侵入の現行犯で逮捕だ!!」


 「は?え?いや、僕がなにやったっていうんですか!?

 え?ちょ、ちょっとまって。暴力反対。痛っ!令状は?ねえ!」


 なんだかいろいろ言っていたが、ともかく彼は、軍服を来た男たちに手を掴まれ、不法侵入の現行犯で連行された。




 ちなみに、現行犯に令状は必要ない。

あらら。彼、捕まっちゃいましたね。


そういえば、現行犯なら一般人でも捕まえられるようです。

令状どころじゃないんですね。


ましてや、機密情報の塊である研究所への不法侵入ですから。そりゃ、捕まります。



さて、早速、ブクマと評価してくださった方がいらっしゃったようで、大変うれしく思います。

ありがとうございます。


前書きにも書きましたが、今作について様々な意見を募集中です。


なにか気になったことがありましたら、どんなことでも構いませんので、お伝えいただけると幸いです。


今後とも、よろしくお願いします。

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