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プロローグ

どうも。新上です。

例によって、プロローグには本編登場キャラが一切出てきませんが、そういうものなんだと思ってお読みください。

結構重要です。今回は。



P.S.本作に、なにか問題等ありましたら、遠慮なくおっしゃってください。

(著作権や、誤字脱字、矛盾点など)



「俺たち、何してるんだろうな」 


 ここは、1945年8月2日の陸軍第十一技術研究所。本来書類上には決して出ることのない、極秘の研究所。


「まったくだ。くる日もくる日も結果のでない実験ばかり。嫌になるぜ」


 ここでの主な研究内容は生物兵器。細菌やウイルスを軍事用に転換できないか、という研究だ。

 彼らは、東京帝国大學(今の東大)の医学部を卒業した秀才である。


「おい、口を慎め。

上官殿に聞かれたら、非国民だと言われて、最前線に送られるぞ。

それより、ちゃんと計っただろうな」


 こういう研究はわずかな差で結果が劇的に変わる。そのため、実験そのものの観点でも、再現性という観点でも、使用するものの量をしっかり計ることは欠かせない。


「ああ、ほらよ。誤差はほぼないはずだ」


 天秤を器用に操りながら不満を言いはじめていた男が、もう一人に計ったものを渡す。


  生物兵器の実験とはこれの繰り返しでしかない。ましてやこのような環境では、満足な結果など望むべきもないと、三人とも理解している。


 ただ、お国に言われたのだ。


「やれ」


 と。


 ただの学生上がりに過ぎない彼らが、刃向かうことなど出来ようか。

だからこそこうして結果のでるはずもない実験を日々淡々と繰り返している。


 ところがその単調な日々も今日で終わると言うことを、まだ、誰も知らない。



 生物兵器の研究に欠かせないこと、それが人体実験である。

 この研究所では、囚人達が実験に使われている。


 この日、実験番号7942399と呼ばれるウイルスの実験台に選ばれたのは、「非国民」と言われ捕まった男であった。


 実験台となったものは隔離された部屋に入れられ、そこを密閉したうえでウイルスを送り込まれる。

たいがいは、だんだん苦しみはじめるか、ケロッとしているかどちらかだ。


 どちらにしろ生物兵器としては使い物にならないという結果が出るだけでしかない。



 ところが今回は違った。


 その男を部屋に入れ、ウイルスを送り込んだ途端、彼は苦しみだし、わずか10秒のうちにその生涯を閉じた。


  成功である。


 実験を担当していた男たち三人は、狂喜乱舞していた。


「と、とうとうやったんだよな?出来たんだよな?」

「ああそうだ。その通りだ!これでほぼ完成だ!」


 苦節数年、無理難題を押し付けられてろくな人生を歩むことなどないと思われていた。

  このまま、実験室に閉じこもる毎日だと思っていた。


  それがこの時、変わったのだ。


 国の救世主などと呼ばれるかもしれない。そんな空想が彼らの頭を駆け巡っていた。


「おいおい、実用にむけてまだまだすることはあるんだぞ。これからだ。これから」


 いつも水を差すようなことばかり言うかれも、この時ばかりは違った。

 口ではこんなことをいっても、ウキウキした気持ちは隠せなかった。


「ちゃんと情報、残してあるよな。これからは再現実験と性能の調査だ。」

「おう!」


 二人は同時に答えた。



 この時、一つの歯車が壊れた。


 本来ならば、この男たちは結果が出せぬまま終戦を迎えるはずであった。

 そして非人道的な人体実験を繰り返したとして戦犯とされ、裏大東亜裁判とでもいうべき、存在しないはずの裁判にかけられ、すったもんだのあげく、幸せとはいえないまでもそこそこの暮らしをする。

 はずであった。


 この変化がよかったのか悪かったのか。それは誰にもわからないが、少なくともこの男たちにとってはいいことではなかっただろう。

はい。どうだったでしょうか?

自分も科学には疎いのですが、細菌兵器って怖いですよね。

核なんかよりもっと怖い気がします。

まあ、どっちもないのが一番平和ってことで。


次回から主人公登場です。

どうぞよろしくお願いします。

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