妹が色々なネタを突っ込んで来て困っている件について 1
映画ネタがふくまれます。ご注意ください。
暇つぶしにざっと書いただけなので、誤字があると思いますが、見逃してください。
ポカポカと温かい日差しが降り注ぐ春のある平日の昼の高校の教室。
昼ということもあり、皆席を移動するなり机をくっつけるなりして友達同士で昼食を食べている。
そんな教室の1番後ろの窓側の席。ここに高校3年の2人の少年が向かい合うように座っていた。別に腐の関係というわけではない。友達同士である。
昼ということで弁当を出して食べている男子生徒――粟桐洋介。その向かいに座る男子生徒――來間周一は机の横に置いているカバンの中をあさっている。
洋介の見た目はやんちゃっぽい感じ。それに比べて周一はおとなしいイメージだ。正反対に見える2人だが、保育園に通っていた時からの幼馴染である。
何かの縁なのか、小中高と12年間も同じクラスの腐れ縁である。
「おかしい。確かに朝入れたのに」
「どうした? まさか弁当ないのか?」
「ああ」
冷凍食品のから揚げを頬張りながら尋ねる洋介に周一はカバンの中をあさりながら返事をする。
「買ってこい」
「確かにそうした方がいいかもな」
から揚げを頬張ると弁当の隣に隠すように置いているスマホを指でつつく洋介。
普及したことにより、今では5歳児も持つスマホ。もちろん高校生にもなればほとんどの人が持っているだろう。もちろん学校は勉強をするところ。そのため電源を切るという条件のもと、持ち込みを許されているが、それを守っている人なんていない。現に教室の中では大半の生徒がスマホを触っている。
だが見つかれば没収されるため、人によっては隠して使っている。
「おい。LANEが来ているぞ」
「……妹からだ」
「お前、妹居たのかよ!」
机の上に出している周一のスマホに通知が来たことに気が付く洋介。それを持ち主である周一に告げる。
LANEとは無料通話アプリである。
そこに周一の妹である、椎名の名前が載っていた。
個人での連絡が来たようだ。それを開く周一。
見れば、スピーカーで音を出すようにという文字と共に、1つの動画が送られてきていた。
「なんだこれ?」
「とりあえず流してみろよ。これで女性の喘ぎ声だったら面白いが」
洋介を睨みつつ周一は動画を流し始める。
動画だと思っていたものは、ただただ静止画を映している物。ただその代わり音楽が流れ始める。それも結構な音量で。
流れ始めたのはかの有名な、任務遂行不可能と思われるミッションを行うアメリカの映画。その音楽だ。
クラスにいる全員の視線が周一の元に集まる。
「なにやってんだか」
ため息をつく周一。
「ブッ!」
「どうした?」
突然、洋介が吹き出す。顔は窓の外に向けられていた。
周一もそちらを見る――と同時にぽかんとしてしまった。
外に椎名がいた。椎名は高校1年。入学してまだ数日しかたっていない。
3年の教室は1階。そのため外に見えるいることは何ら問題ない。
問題はその見え方。
ちょうど腹部辺りにロープを括り付け、手足を広げてバランスを取り、ぶら下がるかのようにそこにいた。ちょうど周一と同じ目線ぐらいに。
つまり体は地面から浮いている。
簡単に言えば今流れている音楽が使われている映画で、床に重さを検知する装置が備えられていたために天井から侵入した主人公のような格好だ。
周一のスマホからは未だに音楽が流れている。それに椎名の姿が加わったために、映画のワンシーンを見ているようだ。
ただ椎名の手にはディスクの代わりに周一の弁当が。
「てめぇ! 何してんだ!」
「えぇ~……。可愛い可愛い妹が、お兄ちゃんのためにお弁当を届けに来たのに……」
明らかに落胆した表情をする椎名。
本人が「私可愛い」なんて言えば陰口を言われる案件。
だが実際は、母親譲りの整った顔立ちに白い肌。これも母親譲りの流れるように綺麗な黒い髪。
兄は普通なのになぜ妹がこんなにかわいいのかと言われるぐらい、本当にかわいいので何も言い返せないのが現実。
可愛いために彼氏なんていくらでも作れるだろう。誰しもがそう思うが、兄である周一は知っている。
こいつは時々とんでもないことをやる。そして入学早々やってくれた。
「もっとマシな持ってくる方法思いつかなかったのかよ! どこのスパイだよ! ミッショ〇イ〇ポッシブルかよ!」
「兄が普通過ぎるから、代わりに私が――」
「そんな気遣いいらねぇよ! 普通に扉から入ってこいよ! まずどうやってぶら下がっているんだよ!」
「えぇ! 普通に入ってくるなんておもしろくないじゃん!」
「おもしろさなんて求めてねぇよ!」
2人のやり取りについていける生徒はいなかった。全員呆然と見ているだけである。
「あ、そうそう。ロープは機材を使っているの」
「いや待て。機材ってなんだ、機材って! てか入学そうそうなんてもの持ち込んでやがる! てかいつ持ち込んだ!」
「今日持ってきたよ」
「先生に見つからなかったのかよ!」
「主人公補正で見つからなかった」
「いや、そんな補正ねぇよ!」
もはや無茶苦茶である。
「あ、これお弁当ね!」
「ああ。ありがとう」
椎名がお弁当を渡す。それで周一は落ち着きを取り戻した。
この僅かな時間で精神と体力がごっそりと削られた。
「疲れた。お前もう上に帰れ」
「うん、分かった」
「いやちょっとまて。それなんだ!」
「これ? リモコン」
椎名が腰にあるポーチから取り出した物にツッコミを入れる周一。
椎名が手に持っている物は、本人が言うようにリモコンだった。小さなピンク色の。大人のおもちゃにしか見えない。
「「「「ブフォッ!!」」」」
女子も含め、見ていた生徒全員が盛大に噴出した。
運悪く、食べ物や飲み物を口に入れていた生徒は口の中の物を散弾させる。
「お前何学校に持ってきているんだ!」
「これ機材のリモコン」
そういってリモコンをポチポチ押す椎名。確かに椎名の体が上がったり下がったりしている。本人の言う通り、ロープの巻き上げ機材のようだ。
ただ色と形が悪い。
「……」
「どうした?」
「これ持って」
黙って何かを考えていた椎名がリモコンを渡してくるので、周一は反射的に手に持ってしまった。
だがそれが間違いだった。
「んあ!! それすごいです!! あっ……あん……ん! ああ~~ダメ~~!! それ以上は本当にダメ! 止めて!」
股に手を持って行って、渾身の悶える演技をする椎名。
周りから見れば、悶える妹と悶えさせている兄だ。放送禁止レベルである。
周一以外の男子が突然、股間を抑えて前かがみに。
女子は周一に冷たい視線を向ける。周一は何も悪くないのに。
「うっせぇわ!!」
スパーンといういい音を出して周一が椎名の頭をはたいた。
頭を抑えて悶える椎名。
「お前もう帰れ」
「仕方ないな。また来てあげるね?」
「もう来るな!」
椎名に大人のおもちゃ――ではなく機材を動かすためのリモコンを返すと、椎名はすんなりと了承する。
周一が叫ぶころには、機材を捜査してスルスルと上へ上がっていった。
「お前の妹ってすげぇな……」
「……いるか?」
「さすがの俺でもいらん……」
実は妹好きである洋介も、さすがに拒否をする。
周一はそれを聞いてため息をついた。
唯一椎名から離れられる学校でも、これから約1年間は椎名と一緒になると考えると、胃に穴が開きそうな思いであった。
ご覧いただきありがとうございました。
作者自体こういう完全にネタに走った系の物語は初めてと言うことで、どう書けば読者が楽しんでくださるのかがいまいちわかっておりません。
見て分かる通りこの話は短編となっております。というのも映画にしてもアニメにしてもマンガにしても、他にどのようなネタがあるかがいまいちわかっておりません。普段見ないものでして……
ただ、もしまた何か思いつけば短編として出そうと考えておりますので、その時はよろしくお願いします。