33/33
エピローグ
人間は高所を求める。高ければ高いほどいい。
空を自由に飛べる鳥は、翼を得た代わりに脚力を失った。人はそれを不自由だと思うが、果たして鳥はそう感じているだろうか。
人は火星という最高の場所に到達することができた。そして同時に、まだ高いところがあるという事実を突きつけられた。人は地面から足を離すことを許されない。地を這い、酸素が供給される窮屈な建物に留まる他ないのだ。火星では一歩でも外に出れば、息のできない深海と変わらないのだから。
火星で我々を出迎えたジョバイロ船長は言った。
「我々には地を這う脚がある。この地獄を、我々の手で天国にしようではないか」




