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最後の審判 中編

 ついに相まみえた両者……

 なにかつまらないものを見下ろすような冷たい視線に、エルバアルの熱い視線が交差する。



「シャルロッテ……! お前いい加減にしろよマジで! やり過ぎだろうがこんなもん! 何がしたいんだよお前はさぁっ!!」



 激昂して罵るエルバアルに対し、シャルロッテはあくまで冷淡な態度を崩さずに言った。



「なにが。って…… 私はただ、マグダレーネを倒して世界最強の座に……」


「どうでもいいだろうがっ! そんな事はさぁ!!」



 エルバアルは到底納得しなかった。そんな事のためにどれだけの人を不幸にしてきたんだと憤った。



「なんだお前!? 一番にならないと死んじゃう病気かなにかなのか!? お前より弱いやつなんて腐るほどいるけど、みんなそれなりに一生懸命やってんだろうが!!

 お前とマグダレーネのどっちが強いかなんてどうでもいいよ! 二人とも住んでる世界が違うんだから喧嘩しなきゃいいだけの話だろうが。 そうだろ!?」


 必死に訴えかけてくるエルバアルの様子が可笑しくて、シャルロッテはつい吹き出してしまった。



「く……くく……くふふふふふ…………『喧嘩しなければいい』ですか? よくもまぁそんな事が言えますね。お前だって知っているのでしょう? どうしてマグダレーネが世界中の人々から嫌われるようになったのか…… 最悪の魔女が犯した、その罪を」



「…………っ!」



「彼女が人々にした事……それは『なにもしていない』


 飢饉も。疫病も。戦争も。マグダレーネには関係ない。


 魔女なんてはじめからどこにもいなかった」



 嵐は止み、荘厳な空気が辺りを包む。

 シャルロッテはまるで唄うように語りだした。



「最初に人々が彼女の存在を知った時。人々は恐怖に駆られて必死に討伐しようとしました。ところがまるで歯が立たない事を知ると、今度はその力を利用しようと媚びへつらうようになり……そして彼女はそれら一切を相手にしませんでした。

 やがて人々はある事に気付きます。彼女がまったく……『反撃をしてこない』と言う事にです。人々は妬み、そして狂いだしました。

 そこから先は早かった……人々はやがてあらゆる災厄を彼女の仕業だと吹聴してまわり、そして彼女と実際に会った事のない者達までその話を信じるようになりました」



「やめろ、その話は……関係ないだろうが」



 エルバアルは怒りの形相を浮かべて抗議した。彼はマグダレーネがその話を好まない事をよく知っている。

 だが、シャルロッテはまるでそれを無視するかのように話を続けた。



「どうしてこうなったか身をもって思い知ってるはず……そう、彼女が『反撃しなかった』からです。

 私は違いますよ。力と恐怖で人々を支配した……その間は誰も彼もが媚を売り続けました。


 ところでポコ。1つ尋ねますが……もしお前のパーティーにお前より強力な回復術師が現れてお払い箱になったら……どうしますか?」



「え? いや……普通に別のパーティーに移籍するし。もし受け入れ先がなかったら転職するけど」



「悔しくないですか? 敗北から逃げた事が影のように追ってこないですか? 前のパーティーの事が気にならないですか?」



「いや、別に……新しい職場の人間関係とかで忙しくてそれどころじゃなくなると思う」



 淡々と答えるエルバアルにシャルロッテは笑みを浮かべた。



「そう。それですよ。お前はそういうヤツですよね……そしてマグダレーネも。病気ですよお前達は」



「……はぁっ!? 何言ってんだお前!?」



 あくまで淡々と、胸の内を明かさぬように笑みを貼り付けたままシャルロッテが口を開く。

 



『「人は人。自分は自分。そんなの……許される訳ないでしょうが」』



 膨大な魔力が集まり、天使が唄う。



『「私こそがヒト。私こそが社会なのです。 排除してやるですよ二人とも。 この世界にお前達の居場所なんてどこにもない」』




キュィィィィィン!



 左手を突き出し、シャルロッテの前方に光が集まる。



ズキュゥン!



 放たれる光杖。エルバアルは防護魔法を、マグダレーネはディストーションコートをそれぞれ展開した。しかし



「……っあぐっ!?」


 

 光杖は何の抵抗も受けずに真っ直ぐマグダレーネの肩を貫いた。

 防護魔法は破られるどころか干渉すら受けておらず、何の影響もなかったかのようにすり抜けられている。



『「あらゆる魔法防御を無視するスキル」』



「なっ!?」



 マグダレーネは杖を前に突き出して黒い稲妻を放った。だがそれも



『「あらゆる魔法攻撃を無効化するスキル」』 『「あらゆる物理攻撃を無効化するスキル」』



 効果はない。何の手応えもない感覚にマグダレーネは困惑した。



「これをやると魂の残存量を消費してしまうので異世界に侵攻する時までとっておきたかったのですけど……まぁいいのです。『瞬間移動するスキル』」



「っ!!?」



 相手がいきなり背後に現れた事にエルバアル達は驚愕した。そのまま体勢を立て直す暇もなく、稲妻のような回し蹴りを受けて吹き飛ばされる。

 そして……



『「相手の魂に直接痛みを与えるスキル」』



バリバリバリバリバリバリッ!!!



「きゃぁぁぁぁぁっ!!?」



「ぐわぁぁぁぁっ!!!!」



 エルバアルとマグダレーネを筆舌に尽くしがたい激痛が襲う!



「光栄に思ってくださいよ? あなたたちを認めてのことなのですから」



 激痛に身悶える二人の様子を満足そうに眺めながら、シャルロッテがゆっくりと前に歩み出す。

 そして仮面のような笑みを浮かべ






「さぁ………………





 拷問の時間なのです」

それは……あらゆる努力を無にするスキル……

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