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もう選べない結末

凄く更新期間空いたにも関わらず、凄いたくさんの人が最新話待っててくれたみたいで本当にありがとうございます!

出来るだけ明日も投稿します!

「ヒェー。やれやれ。エライ目にあったぜ」


「ハハハ。災難だったな」


 あの後、俺達は宿舎に帰ってシンシアをベッドに寝かしつけていた。

 タロスはお湯をもらってタオルで頭を拭いている。


「ところでよぉ」


「ん?」


「最後の戦いになる……とか言ってただろ? その後はどうすんだ? 元お仲間の魔法使いを倒した後のことだよ」


「あぁ、そうだな……」


 俺は椅子に座ったまま頬杖をついて胡乱気に答えた。

 正直、その後の事はあんまり考えてなかったな……そんな余裕もなかったし。


「わからない……でも、そうだな。どこか遠くの国へ行って商売を始めてみたりなんかして……」


 言いかけて笑ってしまった。多分どこに行っても目立っちゃうよな。

 合成人間達の事もあるし、なんだか随分大所帯になってしまった。


「ま、なんでもいいけどよ! 当然俺達も連れていってくれるんだろ? 壱号やシンシア達も絶対ついてくるぜ!」


 タロスが白い歯を見せてニッと笑う。


「あぁ、それは勿論……」


 そう言いかけて俺は再び言い淀んでしまった。

 俺には決して忘れてはいけない事がある。でもそれは……


「なぁ……」


「うん?」


「俺は……許されるんだろうか。本当にこのまま、王国と手打ちをしてしまって……」


 この体は元々俺のものじゃない。一族の復讐を果たすために呪術によって生み出されたものだ。

 壱号が魔女の大釜を持ち帰ったあとも、俺は戒めのためと言って人間の体に戻ることを拒んでいた。


 シャルロッテを探し出して殺したあと、更に王国を裏切って戦争をふっかけることは出来る。出来る、出来るけども……


「いいんじゃねぇの? 別に」


「いや、別にってお前」


「簡単に言ってるように聞こえたら悪いな。でもさぁ、人の恨みなんてそんなもんだって。過ぎ去ったら忘れちまうんだよ」


「……むぅ……いや、うーむ……」


 タロスは少しおどけたような顔をしてなんでもない事のように言ってのけた。

 なんだろう、わりと深刻に悩んでたつもりだったんだが……こいつに言われると確かにそんな気もしてくる。


「俺はどっちかっつーと力仕事が担当だからさ。どんなにキツイ仕事でも終わって酒飲んで寝たらそれはもう過去の話なんだよ。

 アニキがどうしても殺し合いがしたいってんなら話は別だけど、そうじゃないなら義務感や帳尻合わせのために無理するこたぁないって。それに……殴り合いだけが戦いじゃぁねぇだろ?」


「……え?」


「別にアンタが故郷の人達の事を忘れる訳じゃねぇ。国王に会ったら文句の1つもビシッと言ってやれよ。戦いが終わった後は話し合いでケリをつけようぜ。それもまた……アンタらしいじゃねぇか」


 そんな……そんな事で許されるだろうか?

 いや、でも否定も出来ないな。そもそも王国のやつらを皆殺しにしたところで許されるかどうかもわからないのだ。


「そうか……そういう道も……あるんだろうか……」


「もしも文句を言うやつがいたらぶん殴ってやるよ。付き合うぜ。とことんな」


 ……どうしてこうなったんだろう。本当に、俺なんかにはもったいないくらいの仲間達に恵まれたと思う。

 いや、理由なんてどうでもいいな。それより……


「なぁ、タロス」


「うん?」


「ありがとう」


 俺はただ、やっぱりこういう事はちゃんと口に出した方が良いと思っただけなんだが……


 ヤツはまるで珍獣でも見かけたように目を丸くして


「カッカッカ! こいつぁたまげたぜ。明日は槍が降らぁな!」


「フンッ…… やかましい!」


 案の定、茶化されてしまった。


「ったく、シンシアもアニキのこんな珍しいとこ見逃すなんざ……って、あぁん?」


 っと、急にタロスが怪訝な顔をしたので何事だろうと思って覗き込む。

 ベッドの上を見るとシンシアは仰向けになったまま目を開けて、どこか焦点の合わない様子で天井を眺めていた。


 起こしてしまったのだろうかと思って声をかけたのだが……


「あ、す、すまん。うるさかったか?」


「……おい、シンシア?」


 俺とタロスの呼びかけに反応はない。


 幾ばくかの沈黙のあと、彼女がこぼした呟きは……



「………………イタイ………………」


「……え?……」


「………………イタイ……………………イタイ……………………イタイイタイ………………イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ






 彼女の様子は明らかに尋常ではなかった。

 まるで痙攣するような不自然な動きでビクリと90度に上半身を起こし、目からゴボゴボと血を流している。



「おいっ! シンシア!? 大丈夫か?」


「い、医者! 医者に連れていかないと!」


「落ち着け! 医者はアンタだ!」



 あ、そうだ。そうだった。

 いや、でもダメなんだよ。俺の回復魔法はスケルトンやグール、吸血鬼なんかには効果がないんだ。

 むしろ体内の魔力の流れを乱してしまうみたいで、組織を破壊して逆効果になってしまうらしい。


 ど、ど、どうしよう。吸血鬼専門の医者なんて知らないし……


「……カーミラさん……カーミラさんガ……」


 シンシアは頭を抱え、髪を振り乱しながらカーミラの名を呼んだ。


「そ、そうだ! カーミラのところに連れていこう。あいつなら何か知ってるはずだ!」


 俺はシンシアがカーミラに助けを求めているのかと思った。だが、彼女は……


「……チガウ……」


「え!?」




「タスケテ……ご主人様……カーミラさんガ……危ナイ!!」



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