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王国 後編

またまた更新遅れてホントにすいません!

あともうちょっとなんで頑張ります!

「ど、どういう事ですかな。あれだけの武威を見せつけておいて、突然の降伏宣言とは……」


「大事な事なので順を追って話す。周知の事実もあるかもしれないがよく聞いて欲しい」


 突然、降って湧いたような降伏の宣言に、将軍は随分と慌てた。

 俺もまたゆっくりと、自身を落ち着かせるように語りだす。将軍は神妙に頷き、黙って耳を傾けてくれた。


「まず、俺達がカーディスを襲った日。あの日シャルロッテは救援隊を率いてカーディスに向かっていた。そしてその日以降公式には生死不明となっている。

 だが、あの日俺達と救援隊の騎士や兵士達は……シャルロッテの禁呪によって壊滅的な被害を受けたんだ。それについては後ろに居並ぶ騎士達が証言してくれる。なんだったら住民達に目撃証言をとってもらっても構わない」


「我々も被害にあいました。誓って、エルバアル殿の証言は真実です」


 後ろを振り返って手を広げると、騎士達は一様に頷いた。


「言うまでもないが、シャルロッテは自分の魔法で自爆するような間抜けなんかではない。必ずヤツは生きている。

 ではなぜそんな禁忌を犯してまで潜伏しようとしたのか。 ……サラを消すためだよ。ヤツはずっとこの機会を伺っていたんだ。 ……アンタ達もその可能性については考えていたんだろう?」


 将軍は驚きではなく、苦々しい表情を見せた。立場上答えにくかろう。だが、その表情が全てを物語っている。


「誓って言うが、サラが消えた件に関して俺達は関与していない。更に言うともっとまずい事になっているかもしれないぞ……」


「……まずいこと、ですか?」


 ここから先はかなり憶測が混じる。だが、そうとしか思えないんだ……

 俺は出来るだけ緊張を伝えないように、ゆっくりと、冷静に語りだした。



「実はここまでなら俺としてもそこまで想定外の事態とは言えない。なにせ俺がサラを殺そうがシャルロッテがサラを殺そうが同じ事だからな。だが、しかし……

 ヤツがサラを殺したのなら、ヤツは王国内の障害を全て排除しきった事になるだろう? どうせマルスの件も筒抜けだろうからな。で、あれば今頃大手を振ってアンタ達と合流、英雄として俺を討伐しにくるはずだった……だが……」


「いまだ、我々の方にも何の接触もない……と……」


 この一週間。王国軍は丘の向こうに陣取ったまま、特に目立った動きもなくただ待機していた。きっと俺の仮説と同じことを将軍達も考えていて、シャルロッテが素知らぬ顔で接触してくるのを待っていたのだろう。だが、何も動きはなかった……


「なぁ、こうは考えられないか。俺達はサラを中途半端に叩いた状態でサラをシャルロッテに投げ渡してしまった。生きたままでだ。もし、あいつが呪術的に。あるいは魔術的にサラを隷属させる術を持っていたとしたら……あいつのことだ。そういう事が可能な知り合いの1人や2人いても、おかしくはない」


 俺の提案を聞くと将軍は目を見開き、ハッと息を呑んだ。


「そんな……! まさかっ!?」


「いや、わからん。向こうで何が起こったかは推測に過ぎん。こちらに紛れ込んでる間者を捕らえようともしたが、逆にこちらの間者を消されてしまっているような有様でな。

 だがシャルロッテが潜伏中なのは火を見るより明らかだし、どのみちアンタ達に何の接触もないのは事実だろう?」


「………………」


「今どこで何をしているのかはわからん。だが、こうは考えられないだろうか。あいつは何か別の力を手に入れて……もう王国の顔色を伺う必要がなくなったんだよ。俺『達』は追い詰められているぞ……」


 将軍は一度立ち上がって体ごと後ろを振り返った。居並ぶ騎士達が次々と首を振る。

 そりゃそうだろう。シャルロッテは魔王を討伐した救国の英雄の1人。かたや俺はただの山賊。

 それが『あんたたちの英雄は危険人物だから気をつけろ』などと、揺さぶりをかけようとする妄言にしか見えないだろう。


 だが、俺が。俺は知っているんだ。

 こういう話し方は苦手だが、伝えなければならない。

 シャルロッテ・バーンシュタインと言う女が……どういう人間かを……



「バカな…… シャルロッテ様があなた達を倒した後に、王国に牙を剥くとでも言うおつもりですかな?」


「考えてみてくれ…… もうウチの軍しか敵は残されていないんだ。このままヤツがあんた達の手を借りずに俺を討伐して王国に帰ってみろ…… 誰がヤツに意見出来る? 国王か? それともアンタか?」


「そ、それは…………」


 これだけ上層部の人間ならシャルロッテとの面識も当然あるし、ヤツがどういう人間かも少しは知ってるのだろう。

 でも、それじゃ足りない…… 俺しかいないんだ。あいつのことを真に理解しているのは。


「ヒトはヒトと言う檻の中で、初めて人間になる。シャルロッテみたいになんでも好き勝手出来る奴が、金も権力も欲しいものを全て手に入れてしまったら…… その後にどんな事を考えると思う?

 それは民衆との差別化だよ。知識人を次々と粛清し、本を焼き、学術機関を破壊し、民衆を物言わぬ木偶に作り替えてしまおうとする。未来永劫、誰も反逆の芽を息吹かせないように……

 アンタ達も。そして妻や子供たちも消されるぞ。もう見聞を広めすぎているだろうからな……!」


 証拠はなにも出せない。ただの俺の妄想だ。

 だが……ことシャルロッテに関しては、嫌な予感ってやつがいつもいつも悪夢のように現実になってしまうんだ。



 同胞達の無念を晴らすため……そんな宣言と共に俺は名を変えて戦を始めた。

 このまま国王からの謝罪も得られないままに矛を収めてしまえば、俺達のやってきたことは本当にただの山賊になってしまう。


 この降伏は決して簡単に切り出していいものではない。だが、それでも……!

 この事態は捨て置けない。ヤツが王国すら見限って独自の動きを見せ始めた以上、一刻も早くヤツの動向を掴まねば!


「い、一体なにを根拠にそのような妄言を……!」


「聞いてくれ! 俺が……俺が一番シャルロッテのことを知ってるんだ! ヤツの親父さんよりも、お兄さんよりも、国王よりも!

 もし俺の取り越し苦労ならば、アンタは労せずにまんまと相手を降伏させた事になる。

 だから頼む! 一か月でいい。俺達はシャルロッテを止めるために。アンタ達は英雄の行方を確認するために。

 名目が違ってても構わない。ただ停戦に応じて大々的にヤツの居場所を捜索させてくれ……

 世界の! 危機なんだ!!」


 俺は必死に懇願した。根拠は俺の勘のみ。だからもう……頭を下げてお願いするしかなかった。


「あ、あなたは一体……」



「俺の名はエルバアル…… 生前の名前をポコ。 勇者パーティーの…… 最後の1人だ」

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