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シャルロッテ

※注意! 人によってはショッキングなシーンとなります。少しでもグロ耐性に不安のある方はそのまま次話へお進みください。

 あらすじ的にはサラがシャルロッテの手下になったと言うだけのシーンです。


 普段は制限を感じる事のない視界が、ぼんやりと横長に開かれる。

 少し薄暗い、白く無機質な天井。


「おや、気が付いたです?」


 耳障りな声。


 手足の感触を確かめる。


 すぅっと、胸から腹部の方へ向けて肌をなぞる冷たい空気の感触。


 自分が裸にされて横たわっている事を自覚すると同時に、それまで後回しにされていた情報が我先にと入り込んでくる。


 手足は、何か皮の枷のようなもので床に縛りつけられていてほとんど何も動かせない。首にもだ。

 自分は仰向けに寝かされていて、口にも何か枷をハメられている。


「動かせないですよ。身体の方を一時的にいじらせてもらっているですからね」


 右手に立った影が照明の灯りを覆い隠し、不気味なまでに大きく感じる。こんな角度から人を見上げた事など久しくなかったから。


 眼球を右に向ければ、シャルロッテの顔が。


 サラは、ようやくそこで自分の運命を呪い……枷をハメられた口の代わりに、鼻から大きなため息を吐いた。



-------------------



「私もですね。カーディスのすぐ近くにいたのですよ。こう、鏡を使った手信号で間者から簡単な戦況を報告させながらですね……

 本当に驚いたですよ。まさかお前がポコに敗れるとは思っていませんでしたから。でも、良かったです。お前が無事に逃げ出してくれて……」


 『本当に良かった』とポツリと呟いて、シャルロッテはサラのへその上の辺りにそっと手をついた。

 余計な感覚を遮断されたなか、ゾッとするような冷たい手の感触に鳥肌が立ち、微かに膝が震えてしまう。


「ふぉっ……!」


「計画は狂ってしまいましたが、思わぬ拾い物と言うやつですね。ふふふ、慣れない鎧に兜まで被って、お尻を痛めながら馬を走らせた甲斐がありました」


 シャルロッテは人形のような笑みを浮かべながらサラの腹部を撫でまわした。

 心音が高鳴ってしまうのは仕方がない。この状況で緊張するなと言うのが土台無理なのだ。

 だからせめて……表情だけでも相手を喜ばすまいと、サラは不快感に顔をしかめた。


「くふふふ。そう邪険にしないで欲しいです。すぐに仲良くなれるですから。 ……実は他にも面白い生き物を捕まえているのですよ…… 博士」


 シャルロッテが手招きをすると、眼鏡をかけた天然パーマの青年が現れた。その表情が苦渋に満ちていて、サラの胸を冷たく暗い影が吹き抜ける。


「そろそろはじめましょうか…… 針」


 シャルロッテが掌を上に向けて差し出すと。博士と呼ばれた青年がビーカーに入った液体に針の先端を浸し、それをシャルロッテに手渡す。


 と、そこへ右足の方向の視界の外から、悲鳴じみた抗議がとんできた。



「いけません博士! そいつは悪魔です! 言いなりになっては……!」


「おやおや、まだ拷問が足りませんでしたか……」



 振り返ったシャルロッテの横顔を見て、サラは凍り付いた……

 人形のような笑顔が、横から見ると歪で、まるで本当に「貼り付けて」いるみたいだったから……


 その後に聞こえた絶叫は形容しがたいものである。



「ヴォイド……! うっ……! くっ……!」


 博士と呼ばれた青年がボロボロと大粒の涙を流す。


 そして、サラの悪夢が始まった……!


『あああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』



 博士の指示により、腕部にある痛覚神経の塊にシャルロッテが針を差し込む。

 アゴから肩、腕の骨がまるごと虫歯になったような苦い、苦すぎる痛み。塗布された特殊な酸が神経を刺激し、サラの精神を焼いた。


「ふごっ! ふぉっ! ふぉおおおおお!!!」


 これほどの痛みを受ければ体が勝手に暴れまわってくれるはずなのに、何の反応もない。


(どうして……! お願い! 動いて! 動いてぇぇ!)


 涙を浮かべるサラの顔に、シャルロッテの顔が近づく。



「両手に色んなものを抱えたままでは、人は抱きしめ合うことが出来ない…… 洗い落しましょう。私達が真に1つになるために」


 博士から指示を受け、シャルロッテがサラの太ももの内側に針を差し込む。


「おぐぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!!!」


 サラは……口枷が喋れないようにするためではなく、舌を噛まないようにはめられている事に気が付いた。



--------------------------



 30分後、シャルロッテはサラの様子を見てみようと口枷を一度外した。


「おほっ…… ご、ごめんなさい。もう絶対逆らいません。足でもケツの穴でもなんでも舐めます。ゆ、許して。許して……」


 左右の表情筋が崩れ、文字通りあられもない顔を晒して懇願するサラ。しかし……


「うーん。ダメですね。まだ抵抗する意思が残っている」


「そ、そんな! まって! ほんとうに!」


 再び口枷がハメられ、再び針が突き立てられていく。


 そして30分後、もう一度口枷が外され……



「おごぉぉぉぉぉ!!! ほ、ほのちきしょうがぁぁぁ!! おろふ! ほろひてやるぅぅぅぅ うぅ、うっうっうっ…………」


 サラは最後に残った精神に、赤く黄色い火をつけて命の限り猛った。

 そこに映るのは純粋な怒り。憎悪をも超えた炎のような怒り。


 それを見て、ようやく……ようやくシャルロッテは満足気に頷いた。



「あぁ、ようやく……初めてなんの駆け引きもない、純粋な心からの感情をぶつけてくれたのですね。ありがとう。ありがとう…………」


 果たしてそれは人間の貌であったのだろうか。


「さぁ! ここからが……本当のコミュニケーションです!」



------------------------------



 そして3時間後……



「あへっ アへっ あえへっ……」


 正気を失ったサラを、シャルロッテは愛おし気に抱きしめた。もはや手枷の必要もない。



(抵抗が弱まっている。屈服している…… ありがとう。私を受け入れてくれるのですね……)



 首筋に舌を這わすと、ふるるっと乳房が震えた。

 シャルロッテはまるで生まれたての子猫を見つけた幼女のような笑顔で、博士に振り返る。



「さぁ、最後の仕上げです。サラはもう綺麗な真っ白になりかけているのです!」



 手術台に乗せられ、サラが後頭部から頭を割られていき、脳髄がむき出しとなった。

 常人なら発狂死しかねない痛みだが、完全に屈服した彼女はロクな抵抗も見せなかった。


 そして……シャルロッテが以前に入手した吸血鬼の毒液。

 術式をかけ、長い時間をかけて自分の魔力になじませ、疑似的に支配下に置いたグールの素。


 それを、脳細胞を傷つけないように慎重に塗布していく。



---------------------------



 ……一週間後。


 シャルロッテの隠れ家にて、剣を振るうサラの姿があった。


「どうです? 調子は」


「はい。シャルロッテ様。問題ありまセん」


 剣閃が空を薙ぐ音を聞いて、シャルロッテは満足そうに頷いた。




 そして剣と魔法は1つとなり、最強と成る。


 最悪の、悪夢と共に……

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