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ホームから転落

ホームから転落


 生意気盛りの24,5歳、些か柔道の心得もある、それを使って同僚を痛めつけたこともある、何と言う恥知らず。


 腕に些か覚えあり、怖いもの知らず、ある時妹の千鶴子を連れて歩いていたら、後ろからクラクションを鳴らす。脇にそれ、通り過ぎる車のタイヤを蹴る仕草をしたら、男二人が降りて来た。路地に連れ込もうとするので、踏ん張ったら諦めた、何投げ飛ばされなくて良かったな、お前達命拾いしたぜ、そう毒づきながら。


 さあ今日はここで終了、何時もより早く終わった、会社に帰ろうとターミナルのホームの端を歩いていた、その時転げ落ちた。ホームの高さ1メートル以上、咄嗟に右横受け身をした、見事、手を挫くこともなく、骨折することもなく。


 しかし、その横にはパレットに積まれた鉄骨資材が有った、もし其処だったら受け身は無意味だった、これも運が良かった。


 ホームには緩衝材として厚手のゴムが付けてあるが、その一部が剥がれていて、そこに足を掛けたのでバランスを崩し落下した。


 幸い誰も見ていないようだ、何食わぬ顔をしてトラックに乗り込んだ。




フォークリフトに踏まれる


 4トンにも慣れ、運送屋らしくなり荷降ろし作業も板に付いてきた頃だった。力に任せて汗を搔くのは気持ちが良い、夏なら牛乳にサイダーを割って飲む、毎日屈託がない。ホームで働く日通作業員の人達とも打ち解け、時には荷降ろしで御世話になったときは、名物の最中を買ってきて渡した。


 そうしたなか、トラックに積んだパレット荷物をフォークリフトで降ろすとき、懇意にしている係の方の作業を手伝おうと、力任せにパレットの端を引こうとして、右足をリフトの内側に入れてしまった。


 そこにリフトが、あっと思ったときは運動靴に加重が。リフトが下がる、慌てて靴を脱ぐと右足がみるみる膨れ上がる、近くの病院に駆け込む。幸い骨折はしていない、だが腕の血管に太い注射を打たれた。処置が終わり、会社に報告したら迎えに行けないので、自分で帰って来い、と。


 そう此処まで自分で病院にトラックで来ました、勿論膨れ上がった足に靴は履けない、素足で運転して会社に戻った。


 流石に仕事は無理、2、3日休んだ。


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