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約束


 前期と後期スクーリングの間に1週間休みがあった。一時帰って仕事をする人もいるが、私は続けて休暇にしておいた、妻(まだ妻ではないが、結婚して41年、離婚することはなくどちらかが死ぬまで結婚が続くので)も帰らないと言うので、その間を利用して日光に行った、浅草発東武日光線だ。


 浅草と日光、どちらも馴染深い、そして縁がある街だ。浅草は、東京に家出した時新仲見世商店街の喫茶店で約4ヶ月働いた街、日光は自衛隊時代、日光駅から沼田までの80キロの道を徒歩で走破した起点の街、不思議な縁を感じた、そして一緒に行くことになった妻にも。


 通信教育を志す人達にはそれぞれの理由がある、百人百様。でも共通していることがある、働きながら学んでいることだ。しかし、妻は別だった、働いてはいなかった、単純に勉強したいというので、通信教育を選んだ。私は、学力不足と家庭的な事情で大学に進むことは出来なかった、しかし生活も落ち着いたので予てからの目的の通信教育を選んだ。


 男女は赤い糸で結ばれていると云うが、九州福岡県で生まれた男が、福島県郡山市で生まれた女性と東京で出会った、それも同期の女性が紹介して呉れた縁で。不思議だ、何かが違っていたら妻と出会うことはなかった。




約束


 女性との出会いがない運転手、真面目に勉強をと東京に出たら、出会い頭に素敵な女性に、もう、勉学に励む、何語っているのだ、本音を言えよ、そう詰問されても、一言たりとも云い訳出来ない程夢中になってしまった。


 また恋愛の免疫がない純粋な(自分で言うのも恥ずかしいが)青年、これを何とかしなければもうこの先はない(今思えばそうでもないが)と一目散に恋の虜となった。


 後期の2週間は妻の顔を見るのがこのスクーリングの全て、夢中になった私は、思い切って、正月郡山に行っても良いですか、と妻の本心を揺さぶったら、あっさり待っている、と。


 え、本当に良いの、俺、トラックの運転手だよ、大きな会社のサラリーマンじゃないし。家庭の事情も打ち明けていた、病気のお袋が居ること、見ての通り取り立てて良い男ではないこと(これは私が言わなくても、妻は勿論分かっている)。


 こうして、27歳となった私は21歳の妻に夢中になった。手紙を書くよ、私も書きます、本当、本当よ。


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