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作業着ぼろぼろ

作業着ぼろぼろ


 日本通運小牧ターミナルに会社は持ち込みで4トントラック5台入れていた。集配業務が主で、朝は雑貨を積んで配る、午後から工場からの製品を集荷する。雑貨を積むのは手間が掛かるのであまり皆やりたがらない、出来るなら纏まった物を運ぶ方を好む。


 ターミナルには各地から荷が集まる、それをホームの人がリフトで運んで来る。ホームで働く人達は、元はベテラン運転手だったが定年が近くなると、トラック運転から外されこの仕事に就く。50過ぎの方は、24歳の私にとって父親のような存在だ。荷降ろしを手伝って頂いた時は、名物の熱田区のもなかなど買ってきて渡し、仲良くして頂くよう気配りをしていた。


 配車係は30代半ばと20代後半の方が担当していた。その日の伝票を公平に分配して、下請けの我社に指示する。そして三ヶ月程過ぎた頃、私はこの配車に不満を持つようになった。


 荷が軽くても運送料が高いときがある、だから軽くてしかも単品の荷物は運ぶのに楽で仕事も早く済むので誰もがやりたがる。反対に、重くて取り扱いが厄介な荷は嫌う。


 例えば、組み立て式の物置がそうだった、扱いにくく大体が背中に負って荷台に運ぶ、パレット毎運ぶとそう積めないので、ホームからトラックの荷台に積む時は降ろす効率を考えながら積む、だから多種多様な荷物、所謂雑貨運びは敬遠される。


 皆若いので面倒なことは嫌だ、配車係も現在のような下請け苛めはなく、むしろ楽な荷物を回してくれていたが、それでも5人全部とはいかない。


 で、どうも私が一番雑貨を運ぶことが多いことに気付いた。しかし、これは運転の経験が浅いので仕方のないことだったが、私はその時はそう思っていなかった。この小牧ターミナルで働く期間が長い、短い、を基準に配車するのはおかしいと配車係に文句を言った。


 二人は黙って聞いていた、今思えばこの若造がと怒っていたことだろう、そして私の矛先は私より二つ下の同僚に向かっていた。彼は、北海道からこの名古屋で働き既に結婚して子供もいた。その彼をホーム下に呼び出し、お前ばかりえこひいきされて、楽な荷物が多いのはおかしい、と文句を言ったら、言い返してきたので、胸倉を掴んで背負い投げで投げつけた、その際会社支給の作業着が裂けた。


 しかし彼はこの私の暴行を配車係に告げ口することはなく、社長にも言わなかった。思えば、私の勝手な思い込みだけ、単なる僻み根性、本当に情けない、彼が自重してくれたので今の私がある、本当に御免なさい。


 このシリーズ少し休みます、9月10日から再開します。


 その間家族旅行記3をお楽しみ下さい。

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