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おむすび、おにぎり

おむすび、おにぎり


  遠足は竹の皮に大きなおむすびが2個と沢庵。それは、小学校6年の修学旅行まで続いた。名古屋の小学生は、奈良、京都見学が定番、若草山近く、修学旅行生受け入れ先の旅館に無事到着、夕飯迄にまだ時間がある。


  同級生がナップサックから何か取り出した。どうやら、お昼食べ残した弁当のようだ、俺に差し出して、食べる、見ると、何やら黒いものが巻いてある、海苔をまいたおにぎりだ。しかし真っ白いおむすびしか見たことがない俺にとって、全身海苔で覆い尽くされたおにぎりは異次元の食べ物に見えたが、思い切って食べた、美味い、海苔の匂いが食欲をそそる。またたく間に2個食べた。


 間もなく、夕食、おにぎり2個食べたが、茶碗でまた6杯食べた。海苔を食べたことがないと云えば嘘になるが、貴重な海苔を子供の弁当のおにぎりに持たせる親は、きっと金持ちだ。


 お袋もそうしたかったのかもしれないが、修学旅行もいつもの竹の皮に、白いおむすびと沢庵。

何処の家庭もそうだと思っていたとは思わないが、いつものおむすびは、きっとお袋の物事に頓着しない性格が成せる業か。




拳骨げんこつ


 小さい頃から“できもの”が出来やすい体質で、中学3年になってからはますます酷くなるばかり、何時も顔が腫れぼったい。その日は特に酷く、顔半面腫れあがっている。皆に見られるのが嫌で、学校を休むと言ったら、親父が、突然拳骨で後頭部を殴った。一言、男が顔のことでごたごた言うな。


 ふざけて、相撲を取った時、私の投げ技が決まり、勢い余った親父は後頭部を柱にぶつけた。もう体力では息子に勝てない親父が、気力で殴った。


 しかし、その拳骨で、中学校卒業式に“小中9年皆勤賞”を貰った。




軍医さん

 

 小学校1、2年の頃、夜中になると熱を出した。お袋は、私を背負って近くの医者に診て貰う。元軍医の井筒さんは、玄関を叩くお袋に嫌な顔をせず、一言、後で保険証持ってこいよ。

 



芥川龍之介


 消毒液の匂いが漂い、裸電球の光が薄汚れた壁に反射して影を見せる井筒医院の待合室は、子供にとって少し怖い。絵本が置いてある、見れば杜子春と蜘蛛の糸、父母が地獄で家畜となって鞭打たれ、もう一つは数えきれない人達が1本の糸にぶら下がっている。


 この後、嫌いな注射が待っている、見なければ良かった。


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