表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/117

養子縁組

養子縁組


 親父とお袋の実の息子ではなく養子であることは高校入学時の戸籍謄本で分かったが、いざ養子を貰うとなるとその手続きに苦労したとお袋が語ってくれた。


 親父とお袋は名古屋から飯塚に働きに来た赤の他人、私とは縁も所縁もない。その夫婦が、子供が欲しいというだけでは理由にならない。


 勿論、実親のどちらかが承認することは必須だが、不思議なのはどのような縁で私が養子になったかと云うことだ。親父とお袋は炭鉱の社宅で暮らしていたが、そこで祖母に育てられている赤子のことを知ったとのこと。


 第1章で、祖父母のことを書いたが、祖母は実父の母だが、祖父は実父の父ではない、つまり、祖母は再婚していたのだ。この経緯はお袋から聞いたことがないので分からないが、実父も悲しい思いをしていた。


 また、私は本当の戸籍では次男となっているが、実父は再婚で、私には腹違いで15歳上の兄がいることもお袋から聞いた。だから実父の家庭環境はかなり複雑である。実父と実母はかなり年齢が離れている、それも離婚の原因のひとつかもしれないが、実母は私を産んでから間もなくして別の男と結婚した。


 乳飲み子と4歳の子供を抱えては働きにも行けない。だから私を祖母に預けた訳だが、その祖母も再婚で私を養うには遠慮があった。実父の職業のことは聞いていないので分からないが、小さな炭鉱町、赤子を抱えて苦労している男がいることは、娯楽があまりない時代では恰好の噂の種になっていることは想像に難くない。


 親父とお袋には、昭和19年男の子が生まれたが半年後亡くなっている。親父が自殺したとき不思議な夢を見たが、その詳細については後日の稿で。しかし、親父とお袋は9歳違いとは云え、30代と20代、まだまだ子供が作れる歳だ、養子など考えなくても良い筈だ、だからかもしれないが家庭裁判所はなかなか養子縁組を承諾しなかったのかもしれない。養子にするため、お袋は何度も家庭裁判所に通ったと話して呉れた。


 こうして2歳になる前に親父とお袋の養子になったのだが、私は赤の他人とは云え、ふた親に育てられたから良いが、4歳上の兄は親戚の家を転々としたらしい。高校3年の冬休み自転車で勝川から飯塚まで旅したとき、実兄と再会した場所は祖父母の家だったが、実兄も唯一の肉親である祖母を頼りにしていた。


 今でも不満なことは、家族で写した写真が1枚もないことだ。勿論私は親父とお袋の養子となったので、実父は憚って何も残さない、渡さないとしていたが、それにしても何も分からないというのでは、このように間もなく古希となり人生も終わりになってきても、一抹の寂しさと恨みが残る。


 だから私の夢は、一度ゆっくりと自分のルーツを探してみたい。福岡県中間市で生まれたことは分かっているが、親のことは何も知らない。実兄にももう一度会いたい。


 実兄とは高校3年自転車で飯塚を訪ねたときと、自衛隊時代親父とお袋を連れて九州旅行をしたとき、親父が死んでからお袋と九州を旅したときと、はるばる勝川のアパートを訪ねてきてくれた時の計4回だけだ。


 私には悔やんでいることがある。それは私が結婚して間もなく実兄から電話が掛かってきた、内容は10万円の借金の申し込み、その時貸せる余力があったのに私は断ってしまった。それからもう二度と実兄から電話もなく今になっても音信不通だ。


 実兄も可哀そうだ、お袋と九州を旅した時実兄は結婚していた、義理の姉は綺麗な人で、これで兄も幸福な人生になると思いきや、子供3人が出来たあと離婚したことを後日知ったとき、嗚呼兄も実父と同じ道を辿っているのかと思うと悲しく切なくなった。だから、生きているうちにもう一度会いたいが、その望みは叶いそうもない。


実の兄が生きていることは、祖父が小さな土地を残していることで飯塚市役所の知らせで分かった。4歳違い、この2024年で80歳か、もう54年も会っていない。本当に縁が薄い、血が薄いとしか言いようがない。私には僻みがある、幾ら養子に出されたからと言って、高校1年でその事実を知ったことは、産みの親、実兄、親父お袋を含め、あまりにも私を知らなすぎる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ