天狗
天狗
中学3年、体育の授業で走り高跳びがあった。クラスの高木君は1メール60センチのバーを天狗のように飛び越えた。
担任の矢野先生の授業中、高木君は先生と口論となり、そのまま教室から飛び出した。フォークダンスの練習中、手を繋ぐのを躊躇っている私、名指しで叱られても、何一つ言い返せない私にとって、高木君は何者も恐れぬ天狗だ。
恋の相談
本田さんは、顔がふっくらして目が大きい。上に兄が一人、母親と、3人で暮らしている。仲良し6人組、ある日本田さんの家に集まることにした。男3人組の内、森君は欠席。二階で、男二人、女三人、話が進むうち、好きな人の名を告白することとなった。
私は、今枝さんが好きだと告白した、本田さんの番、何と本田さんは私を好きだと、思いもしない展開。しかしそれから本田さんを意識するようになった。
それから6年後、自衛隊員になった私は恩師の矢野先生の自宅を訪問し、本田さんへの想いを述べた。先生は、何と一緒に本田さんの家に行って呉れた。しかし、時既に遅く、本田さんは結婚していた。
好きだと言われてから、何一つしなかった私、秘めた想いも行動しなければ伝わらない、と身に染みて感じた。
脱脂粉乳
栄養補給の一環として、小学生の給食で粉ミルクが出される。白く濁った液体は悪魔の飲み物、それがブリキの容器に並々と。先生も悪魔、抵抗する生徒の机の上に、飲むまで置いておく。コーヒー味にしても不味さに変りはない。
こんなものを飲まされた団塊世代、切れるには訳がある。
丸干し三匹
中学から弁当。アルミの蓋を開けると、ご飯の上に焼いた丸干しが三匹、そのままお湯を掛け、頭からかぶりついて胃に流し込む。お陰で骨が丈夫になった。お袋、考えてそうしたのかな、きっと違うな。




