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高齢者雇用の現実

 辞めても、経験豊富だから警備会社だったらどこでも雇用してくれるさ、と思っていた。しかし、現実は

警備会社5社に応募し、内返事なし1件、メールでお断り2件、電話でお断り2件。既に内定したが2件、明確な理由なし2件、言い換えればもう76歳の警備員はお断り。念のため調べた結果、内定した2件は未だ募集中。先ず、面接してくれない、最初からボケ老人扱い。あるハローワークでは、求人票を持って窓口に行ったら、ご丁寧にも会社に電話をかけて呉れたが、年齢を言ったらもう結構です、と。

 雇う方は少しでも若い、能力があるを望むがそれはないものねだりというもの。警備業界がマイナーな職種であり、それに伴う劣悪な労働環境、長時間労働、低賃金で、望むような人材が来る方が奇跡だ。警備会社共通しているのは、その認識が甘いことである。

 11年間働いたS警備会社を退職した。現実は退職したのではなく、辞めさせられたと言うべきか。昨年8月頃、隊長といつものように勤務していると、突然、山ちゃんお前もうじき首だ、と。え、何のこと、普段から親しくし、息子のように思っている彼が、顔を紅潮させている。

 何でも、異動してきた営業所長と数人で歓迎会を開いたとき、その席で私の話が出て、そのとき既に75歳の私は雇用関係終了の対象者となっていたのだ。

 会社全般で70歳以上の高齢者が健康不安、職務上のミスが目立つことから、警備の質の維持を目的に、高齢者は排除する動きとなっていた。

 現に私もその経験がある。週2日の勤務なのでまだ働きたい私は、ダブルワークで別の警備会社に仕事を申し込んだ、既に71歳となっていた。その警備会社は清掃業務も兼ね、県下においては中堅の警備会社だが、今私が勤務している全国規模の会社に比べれば。

 担当者は、一言、70歳以上は雇用しません。聞いた私は、70歳になると面接の対象すらならないのだ、と愕然とした。

 それもあるので、隊長からの話は唐突ではあったが、そういう動きになっているのか、とのんびり構えていた私は、喉元に匕首を突き付けられている思いがした。

 だが、欠員が発生し、高齢者の私はその補充でなんとか首が繋がっていた。しかし、今年に入り欠員も充足されてきたので、いよいよその時が来た。私は未練たらしく、雇用関係はこのまま継続し、所謂補充要員として残しておく道はないか、と。隊長は、それは山ちゃんが口にすることではない、と。会社は最早この老人を雇う気はさらさらなかった。

 更に私は、有期契約から無期転換の話をした。厚生労働省の通達で、同じ会社に5年以上継続して働いている従業員が、雇用の延長を求めた場合は、会社はそれを拒否出来ないことを。

 それを持ち出すと、会社は断れないかもしれないが、現実警備先の担当者から苦情が出ている、と。不測の事態が発生したとき、適切に対処出来るのか、と。

 もう私は、何も言うまい、常駐、機械警備、現金輸送、身辺警護、交通誘導等、40年間の警備人生でありとあらゆる警備業務を実践し、かつエクセル、アクセスを勉強し、業務に反映させてきたのに、その全てを否定するのであれば、それも人生。こうして、9月末日で退職した。

 ハローワークに高齢者給付金の申請で20年ぶりに行った。午前中のこともあり、職を求めて大勢の人が来ていた。思えば、大手警備系列会社で、本社、支社の警備課長だったが、配置転換で気に染まぬ仕事に従事したことから少し精神的に病み、25年間積み上げてきたキャリアをあっさり捨ててしまった。何、辞めても働き口は幾つでもある、と。

 ところが、世間は構造的な不景気で、所謂失われた30年の初期で、この状態が何処まで続くか誰もが疑念と不安を抱く中を、世間知らずの私は何とかなるさと。

 警備会社も3社受けたが、何故か不合格、漸く乳製品を運ぶ会社に就職したもの、これも二月で辞めた。落ち着き先がホテルの駐車場係、もう其の頃は別居状態、何処まで転げ落ちることか。まだ、50代半ばで働き盛り、何でも出来る、何でもやる、しかし現実は甘くない。世間の見る目は、お前の実力はこんな程度、のぼせあがるではない、と厳しい。

 そして、尚も未練たらしく働こうとしているが、76歳になると面接すら至らない、洗い場の仕事でもと思い応募するも同じ。現実は、高齢者に働き場所はない。


 因みにスーパーの買い物かご回収業務も年齢制限で75歳まで、もう本当に何処もありません。

労働者の就業比率では、今後ますます70代が必要とされるだろう、勿論健康面に不安がある高齢者を雇うことに懸念は生じるが、私のように大病したこともなく、持病もなく薬のお世話になっていない高齢者もいる。私は、歳を重ねれば重ねる程個人差が出ると考えている。高齢者イコール痴呆、病弱者と誤った概念を持っている企業は、これからますます厳しくなるだろう。ましてやマイナーな警備業界が現実を直視せず、妄想を抱いているようでは。


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